オンライン学習の効果は? 英検合格者が倍増の学校も

小中学生に1人1台の情報端末が配布される(学習塾の動画を自宅で勉強する小学生、2020年4月)
小中学生に1人1台の情報端末が配布される(学習塾の動画を自宅で勉強する小学生、2020年4月)

政府は全国の小中学校でタブレット端末やパソコンの配備を進めています。新型コロナウイルスの感染拡大で、従来の計画を前倒しし、3月末には「1人1台」を達成するとの目標を掲げます。子どもたちが学習用端末で授業や宿題に取り組むオンライン学習にはどんな効果があり、課題は何でしょうか。先行する学校を訪ねてみました。

私立の中高一貫校、安田学園(東京・墨田)は2020年3月から教育ソフト「モノグサ」を活用した英語のオンライン学習を始めました。当時は新型コロナの感染拡大に伴う休校期間で、生徒が家庭にあるスマートフォンから小テストに答えるという形でのスタートでした。

ソフトの特徴は、テストの内容が全員一律の内容ではなく、生徒の理解度に合わせて難易度が変わることです。教師は、それぞれの生徒が単語や構文をどこまで覚えたかを即座に把握することができ、遅れている生徒には激励のメッセージを送ることもできます。

効果は英語検定の合格率にあらわれました。中学2年の約90人のコースでは、21年1月時点の英検3級の合格率が前年の59%から93%に上昇。高校2年の約70人のコースでも準2級の合格率が34%から80%に上がりました。進路指導部の市川祐部長は「生徒一人ひとりの家庭学習の様子が可視化できる」とソフトの利点を挙げています。英語に加えて国語や数学など5教科で活用しているそうです。

公立の学校ではどうでしょうか。埼玉県飯能市は20年8月末までにすべての公立小中学校にタブレットを配布し、9月からオンライン学習を始めました。市立富士見小学校では約520人の児童が、自分の考えや意見をタブレットに書き、先生やクラスの仲間と共有できるアプリを使っています。

意見を口に出して言いにくい児童も、タブレットに書くことで「コミュニケーションが活発になった」と同校の浅沼健一校長は話します。先生の側にも、紙のノートを集める手間が省けるといった利点があるそうです。ただタブレットは終日ネットに接続可能なため、先生と児童のやりとりが夜間に及ぶこともあります。特に心身の不調で学校に来られない児童との交信には大いに役立つ半面、「長時間労働につながる恐れもある」(浅沼校長)といいます。

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山口慎太郎・東京大学教授「教育、多様性の尊重を」
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