「iPad Air」と「iPad」の実力や使い勝手を徹底比較

前述した通り、今、初めてiPadシリーズを購入するのであれば、「iPad Air」または「iPad」がお薦めだ。ここからは両機の実力や使い勝手を徹底比較してみる。

縦はiPadが3ミリ長く、 横幅はiPad Airが4.4ミリ長い。厚さはiPadのほうが1.4ミリ厚く、実際に手に持つとこの差は大きく感じる。画面サイズはiPad Airが10.9型、iPadが10.2型。iPad Airは狭額縁なので、電子書籍や映画などのコンテンツに集中できるだろう

まずサイズだが、 ほぼ変わらないものの、実際に手に持つとiPadはかなり厚みを感じる。重さは、iPadのほうが30グラム程度重く、実際に手に持ったときもずっしりと重く感じられる。生体認証は、両機とも「Touch ID」(指紋認証)に対応。センサーの搭載位置の違いで多少使い勝手に違いがあるものの基本的には変わらない。ディスプレーは、広色域「Display P3」に準拠しているAirのほうが色の再現性が高い。ただし、iPadのほうもタブレットとしては高品位だ。

ディスプレーは、アップルが定義している広色域の「Display P3」に準拠しており、階調感ある鮮やかな色合いで、写真は非常にきれいに表示される
Airに比べると鮮やかさがやや劣り、暗部の表現も劣るものの、タブレットとしては、高品位なディスプレーといえる

性能は、最新プロセッサーの「A14 Bionic」を搭載するAirが圧倒的に高い。下の図はCPUの演算性能を比較したものだが、マルチコア性能では約2倍の差がついている。3Dグラフィックス性能を比較した図でもAirがiPadを圧倒している。

CPUの演算性能はiPad AirがiPadを圧倒。マルチコアのスコアは約2倍、シングルコアでも大きな差が出ている
3Dグラフィックス性能を計測する「3DMark」のテストにおいてもiPad AirがiPadを圧倒している。Airが搭載している最新世代プロセッサーのA14 Bionicと、iPadが搭載している旧世代のA12 Bionicの差が如実に表れているといえそうだ

カメラは、背面、前面ともにAirのほうが高スペックだ。風景などを撮影するときに役立つ背面カメラは、Airのほうが広角で描写力が高い。ただし、iPadのほうもスナップ写真を撮影するには十分な性能を持っている。ビデオ会議に役立つ前面カメラも、明るく人物の表情がわかりやすいなどAirのほうが優秀だが、iPadも立体感の表現などはまずまずで、十分実用レベルだ。

対応周辺機器はAirのほうが確実に勝る

充電や各種周辺機器を接続する端子は、Airが「USBタイプC」、iPadが「Lightning」を搭載する。これはUSBタイプCを搭載するAirのほうが圧倒的に使いやすい。何よりUSBタイプC対応のUSBメモリーなど、USBタイプC対応機器をそのまま接続できることが便利だ。サードパーティ製のさまざまなUSBタイプC機器を利用できるので、例えばUSBタイプCハブを用いて、USBタイプA端子や映像出力端子、SDカードスロットなどを増設できるなど拡張性も高い。汎用品のUSBタイプCケーブルを利用できるので、ほかの機器とケーブルを共通化できる点も重宝する。

一方、Lightningを搭載するiPadは、iPhone向けのLightning周辺機器が使えるというメリットがある。Lightning対応機器は割高なので新規購入するメリットは少ないが、iPhoneユーザーですでに利用している周辺機器があるならiPadと共用できる。なお、Lightningを搭載するiPadでも、純正オプションの「Lightning - USB 3カメラアダプタ」を利用すればUSBタイプA対応のUSBメモリーなどを利用できる。

手書き入力用のペンは、Airが第2世代、iPadが第1世代の「Apple Pencil」に対応する。第2世代のApple Pencilは、本体のダブルタップで消しゴムモードに切り替えられるなど、第1世代ユーザーの声を反映した改良がなされており使い勝手が向上している。手書き入力機能を重視するなら第2世代のApple Pencilが利用できるAirに注目したい。実際の書き心地もAirのほうが勝る。ただしiPadの手書き入力も、廉価なアンドロイドタブレットに比べればかなり快適といえるだろう。

純正キーボードは、Air用としてはトラックパッドを搭載する「Magic Keyboard」とトラックパッドが付かない「Smart Keyboard Folio」が、iPad用としてはトラックパッドが付かない「Smart Keyboard」が用意されている。トラックパッドを搭載する「Magic Keyboard」は非常に使いやすいが高価な点がネック。サードパーティ製のキーボードを使用するならAirもiPadも変わらない。

iPadは税別3万4800円から入手できるお手ごろ価格が魅力。性能や機能を考えるとお買い得感がある。AirはiPadと比べるとかなり高価な印象となるが、上位のProシリーズに匹敵する性能と機能を備えていることを考えると、こちらもコストパフォーマンスは高い

上図はAirとiPadの全ラインアップの直販価格だ。価格に関しては税別3万4800円から入手できるiPadが魅力的だ。機能や性能ではAirに比べると劣る部分も少なくないが、廉価なアンドロイドタブレットと比べると高性能かつ使い勝手が良い。

低価格でiPadシリーズを入手したい人にはiPadがお薦めだ。なお、ストレージ容量はできるなら128ギガを選択したい。一方、多少高価でも最新iPadの魅力を満喫したいという人にはAirがお薦めとなる。Airであれば仕事から趣味まで幅広い用途に活用できる。

(ライター 滝伸次)

[日経PC21 2021年3月号掲載記事を再構成]

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