Men's Fashion

テレワークこそネクタイ 新常態の「映え」は逆張りで

女がときめく男の装い

ファッションディレクター 清水久美子

2021.2.4

テレワークが日常になるにつれ、オンのビジネススタイルのカジュアル化が加速しています。いかに楽ちんで、きちんと見えるか。そこのところは、できる男性のみなさま、抜かりないと拝察します。




モニター越しの会議 「リラックス感」に物足りなさ

Tシャツやニットの上に軽いジャケットやカーディガンをオン。今時感のあるリラックスしたコーディネートは、そつがなく、違和感はありません。

けれど、皆が皆、リラックスモードでモニターに登場する昨今に、何やら物足りなさを感じているのが、そう、丸の内を牙城にする女性たち。モニター越しでも女性にとっては出会いの主戦場。“適度”に見せかけたテクニカルなメークと、アクセサリーなどのトッピングで細かな工夫をし、本日も9時30分、「おはようございます」と戦地に向かいます。どんな状況でもときめきを求める、ポジティブな女心を前に毎日がリラックスモードでご対応、というのもなんだか男気のないものです。

周囲が楽ちんに流れているからこそ、逆張りをもくろめば、ときめきの視線の豊作は必然です。テレワークがノーマルになった今こそ、このほんの少しの工夫で好感度はハネ上がるのです。

では、どんな工夫が女心に効くのでしょう。その答えは、そう、ネクタイ。ネクタイは男性特有の太い首、厚い胸板をエレガントにほのめかす、鉄壁の小物。モニター越しでは上半身が勝負という今、あらためて注目したい逆張りアイテムなのです。

「んーー、とはいえ、周囲がねえ、リラックススタイルの中、なんだか気恥ずかしい気もするんだよね」とは、下半身だけスエット、がすっかり板についてきたダーリンのセリフ。男性にとってネクタイは、誠実さ、清潔感、健全な上昇志向や野心などを意味する、社会で闘う男のフォーマルなイメージが強いアイテムでもあります。

けれど背景が自宅でそのテンションの高さは、「……浮くのでは」という見解を持つのもごもっとも。丸の内の空気感で選んだネクタイでは、その危険度は確かにあります。