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NiziUは第3段階 芸能事務所JYPの活動プランを読み解く

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NIKKEI STYLE

日経エンタテインメント!

オーディションプロジェクトNizi Projectの成功で、日本でも一躍脚光を浴びている韓国の芸能事務所JYP ENTERTAINMENT(以下、JYP)。日本でも知名度の高いTWICEや2PMなどが所属する事務所だ。

なぜJYPは今回、ソニー・ミュージックエンタテインメントとタッグを組んで日本を拠点に活動するガールズグループの育成に乗り出したのか。そこには、JYPのビジョンがある。

JYPは3段階に分けた制作活動プランを打ち立てていた。

第1段階
韓国の歌手を海外に出していく。

第2段階
韓国の歌手と海外の歌手がミックスした1つのチームを作って海外に出していく。

第3段階
海外の人材でチームを作って海外に出していく。

今回のNizi Projectは、第3段階に当たる。日経エンタテインメント!2019年5月号でインタビューした際、J.Y. Park氏は、3段階目を本格的に始動できるタイミングが整ったと考えていることを明かしている。さらには、「このプロジェクトをまず日本でスタートしたいと思った理由は、JYPのブランドがある程度(日本で)確立してきていること、そして、JYPが追い求めている価値やカラーが多くの人々に愛されると確信することができたから」と語った(以下、J.Y. Park氏のコメントは同号より)。

設立から20年が過ぎるJYPが、いかにしてビジョンを達成しながら海外進出を進めてきたのか、その歴史を振り返ってみたい。

第1段階 韓国コンテンツを海外へ

J.Y. Park氏が、現在のJYPの前身となる会社を設立したのは97年のこと。世界で成功した第1号となったのが、02年にデビューしたピ(Rain)だ。さらに、07年にデビューしたガールズグループWonder Girlsがそれに続いた。

◎ピ(Rain)

デビューと同時に俳優としてドラマにも出演し、人気スターに。翌年には中国やタイでアルバムを発売し、ソロアーティストとしてはK-POPの中でも最も早く海外でも成功を収めた。05年には日本盤アルバムを発売したが、当時の日本はドラマ『冬のソナタ』が社会現象となり、第一次韓流ブームの真っ只中。男性的な魅力にあふれたピも人気を博し、07年には東京ドームでコンサートを開催するほどに。今でこそトップK-POPアーティストのドーム公演は珍しいことではないが、当時は、俳優のイ・ビョンホンに続き韓国人として2人目の快挙だった。

◎Wonder Girls

07年にデビュー。海外での活動を積極的に行い、09年にはアメリカの大手エージェンシーCAAとマネジメント契約を締結。同年、Wonder Girlsは韓国人歌手として初めてビルボード・ホット100チャートにランクイン(76位)し、"アジアのスパイス・ガールズ"と呼ばれた。

この期間に、韓国SM Entertainment(以下、SM)から00年にBoAが、01年には神話(SHINHWA)が日本に進出し、05年に東方神起が日本正式デビューを果たしている。Wonder Girlsがアメリカに進出した09年は、東方神起が初めて東京ドームでコンサートを実現し、YG ENTERTAINMENTのBIGBANGが日本メジャーデビューを果たした年だ。

他に先駆けてアメリカ進出を本格的に仕掛けたJYPだったが、08年のリーマンショックのあおりを受けたアメリカのレコード会社が、09年から大幅な人員削減やプロジェクトの予算カットを行ったことで、予定していた展開がストップしてしまった。

しかし、ピやWonder Girlsに対する現地での反応に手応えをつかみ、J.Y. Park氏は「最初の一歩は小さかったけれど、次につながるステップだったと思えるので、苦労はしましたけれども、やってよかったと思います」と当時を振り返る。10年代以降のK-POPの海外人気を考えると、Wonder Girlsの功績は決して小さいものではなかったと言えるだろう。

第2段階 韓国と海外の歌手をチームに

北米進出への挑戦と並行して始めていたのが、第2段階の韓国以外の外国人のデビュー候補生を探すことだった。「海外公演をする際に、その国の文化をバックグラウンドに持つメンバーがいると、その国の人たちと分かち合えることが増える」のが、その理由だ。いち早く第2段階を形にしたのが、08年にデビューし、アメリカ出身・タイ育ちのニックンをメンバーに擁するボーイズグループ2PM。10年にデビューしたガールズグループmiss Aは中国人と韓国人メンバーで構成。以降、GOT7 やTWICEら"多国籍"グループが相次いで誕生した。

◎2PM

08年の韓国デビュー後、10年からアメリカで活動を始め、同年末から日本での活動を本格化した。13年には念願の東京ドームでのライブを実施。NHK Eテレの『テレビでハングル講座』でレギュラーコーナーを持つなど、日本市場への比重は高かった。

◎miss A

JYPで練習生を経て中国でガールズグループのメンバーとしてデビューしていた中国人出身のジアとフェイ、JYPアメリカの練習生だったミン、韓国でスカウトされたスジで結成。10年に韓国、11年に中国デビューを果たした。

◎GOT7

14年にデビューし、メンバー構成は韓国人4人、アメリカ人・香港人・タイ人が各1人の7人組。16年から精力的にワールドツアーを敢行し、19年にはアジア、南北アメリカ、ヨーロッパ、オセアニアを巡る自身にとって過去最大のツアーを計画していた。特に、出身メンバーのいるタイでの人気は絶大。[※1月19日、JYPとの専属契約終了]

◎TWICE

韓国人5人、日本人3人、台湾人1人からなる多国籍ガールズグループ。日本人メンバーのサナ・ミナ・モモの存在は日本で大きく、既存のK-POPファン以外にも大きくファン層を広げた。ライブでは若い男女のファンだけでなく親子連れも多く、広く一般層に受け入れられていることを感じる。

この時期、他の事務所も多国籍グループのプロデュースに乗り出していた。SUPER JUNIORで中国・日本など活動エリアごとのユニット編成を試みたSMは、EXOやf(x)でも外国人メンバーを積極的に採用した。

10年以降、K-POPの海外人気が本格化するにつれて、各事務所の練習生にも韓国人以外が占める割合が増えていった。その中で今や"多国籍であること"は、戦略というよりもごく自然な流れのようにも見える。

一方で、特に東アジアの日韓中の政治的な問題に翻弄されることが多かったのも、2010年代だった。11年頃には日韓関係が政治的に冷え込むなか、K-POPが日本の代わりに中国市場を狙っていくケースが見られ、韓中関係が悪くなるとまた状況が変わる。こうした不安定な要素の解消も、第3段階のローカライズに移行した要因ではないだろうか。

第3段階 海外の人材で世界へ

韓国のコンテンツ輸出に始まったJYPの世界進出は、現地の人材をメンバーに加えることでローカライズを進め、今はまさに韓国以外の国から世界を目指すグループを育成をすべく歩み始めたところだ。

Nizi Projectのオーディションの応募条件は、国籍は問わないが、「日本語でもコミュニケーションを取れる」ことが必須だった。一方で、ハワイとロサンゼルスでもオーディションを開催。その理由についてJ.Y. Park氏は、「私たちがやっている音楽のベースはR&B、ヒップホップ、ソウルなどアメリカに影響を受けているから。アメリカの文化を楽しんで育ってきた子どもたちは、よりうまく消化していけるだろうという考えからです。また、彼らが英語も駆使できるということであれば、世界進出の助けになるとも考えています」と話している。NiziUにはアメリカ・シアトル出身のNINA、インターナショナルスクール出身のRIMAら英語を流暢に話すメンバーが含まれている。

"韓流3.0"の中のNiziU

実は、ローカライズ戦略そのものは"韓流3.0"とも呼ばれる近年のトレンドとしてすでに在るもので、JYPではNiziUに先駆けて、18年にボーイズグループBOY STORYを中国でデビューさせている。JYPチャイナと中国のテンセント・ミュージック・エンタテインメントがタッグを組んだプロジェクトだ。また、SMもボーイズグループNCTの派生ユニットとして中国をベースにした中国人メンバーによるWayVを16年に結成。さらには先日、日本や東南アジア、北米、ヨーロッパ、アフリカなどにまで派生ユニットを拡張していくことも発表した。

ワールドツアーのような、移動を伴う活動が難しいWithコロナ時代に入り、今後、"韓流3.0"のローカライズは、プロジェクトが走り出す前には意図しなかったメリットも生みそうだ。

ただ、これらの"ローカライズ"のプロジェクトとNiziUには、大きな違いがある。それは、メンバーの成長を含めて誕生の過程から見せることで現地の共感を集め、ストーリーを共有することによって、より"ローカル"に深く根付かせる戦略を採った点だ。あえて自社でトレーニングを積んだ練習生限定でメンバーを選抜しなかったことは、"育成システム"にこだわりを持つJYPにとっては、大きな決断だったかもしれない。タッグを組んだソニー・ミュージックとは、2PMに始まるプロジェクトを通して、長きにわたり信頼関係を築いてきた。より現地のビジネスに精通した会社と合同でプロジェクトを推進することで、より効率的・効果的な"ローカライズ"を目指すものと思われる。

すでに一大ムーブメントの中で華々しいスタートを切ったNiziUだが、今後は具体的にどのような活動をしていくかに注目が集まる。「まずは日本で底辺を拡大させて外国に出ていくというステップを踏んでいきます」との言葉からは、まずは日本で国民的スターとしての地位を確立していくことからという、世界進出を焦らない方針も見て取れる。

もはやK-POPは"韓国発の音楽"を指す意味合いから、ジャンルの1つを指す言葉に変わってきている。K-POPの影響を受けながらも韓国人メンバーのいないグループが各国を拠点に活躍することで、K-POPは新たに大きくその世界観を広げていく。その最前線の1つを、今まさにJYPが切り開いているのだろう。

(ライター 横田直子)

[日経エンタテインメント! 2021年1月号の記事を再構成]

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