死亡リスク3.5倍も 心房細動、息切れや動悸に注意

日経Gooday

写真はイメージ=(c) kzenon-123RF
写真はイメージ=(c) kzenon-123RF
日経Gooday(グッデイ)

心房細動にかかると、心不全や脳梗塞、認知症になりやすくなる。結果的に死亡リスクが上がり、生活の質は下がる。そんな怖い心房細動は、どんな病気なのか。どうすれば予防や早期発見ができるのか。2020年に行われたオムロン ヘルスケア社のメディア向けオンラインセミナーにて、京都府立医科大学不整脈先進医療学講座講師の妹尾恵太郎さんが心房細動についての講演を行った。その内容を再構成して、心房細動の最新情報を紹介しよう。

心臓が細かく震えて、うまく働かなくなる

心房細動は、放置すると危険な不整脈のひとつだ。日本の患者数は年々増加していると推定され、2020年には約100万人と言われている(下グラフ)。

Inoue et al. International Journal of Cardiology 2009:137;102-107

心臓は、左右の心房と心室、合わせて4つの部屋に分かれている。全身から流れてきた血液は右心房に入り、右心室から肺動脈を通って肺へと送られる。肺できれいになった血液は肺静脈を通って左心房に戻り、左心室から全身へと送り出される。

心臓の拍動は、電気信号によって制御されている。正常な状態では、右心房の洞結節が規則正しく送る信号が、房室結節を経て左右の心室に伝えられ、心室が力強く拍動する。ところが異常な信号が心房付近で起こり、心房が細かく震えてけいれんしたような状態になるのが心房細動だ。異常な信号は、ほとんどの場合左心房につながる2本の肺静脈で発生し、心房に伝わってくる。

正常な心臓(左)では、洞結節から規則正しく送られる信号が心房に伝わり収縮する。さらに、心房から房室結節に伝わり、左右の心室に伝えられ、心室が収縮する。ところが、異常な信号が心房付近で起こると、心房が小刻みに震えて不整脈になる(右)。原図= (c) alila-123RF

心房が細かく震えると力強い拍動ができなくなり、脈が乱れ、人によっては、息切れ、呼吸困難、動悸(どうき)といった症状が起こる。

次のページ
心房細動による悪影響とは