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ジープ初PHEV「レネゲード4xe」 力強く悪路でエコ走行

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NIKKEI STYLE

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道なき道を突き進むクロスカントリーの祖……こうしたイメージの根強いジープにも、いよいよ電動化の波が押し寄せてきた。ブランド初のプラグインハイブリッド車(PHEV)「レネゲード4xe」の仕上がりを試す。

全モデルにPHEVをラインアップ

ジープにプラグインハイブリッド……という組み合わせは、好事家の皆さんには、ちょっと違和感があるかもしれない。ただ、欧州ではすでにスタートしているブランド別平均CO2排出規制において、燃費に不利なSUVを専業にするジープがとくに苦しい立場にあることは想像にかたくない。いくつかの報道によると、2022年中には、あの「ラングラー」も含めて、すべてのジープにPHEVが用意される計画なのだという。

そんなジープのPHEV第1号がレネゲードとなったのは、イタリアが主力生産拠点(ほかにブラジルや中国でも生産中)となるこのクルマが、欧州におけるジープ最大の稼ぎ頭だからだ。ちなみに、同じパワートレインを搭載する「コンパス4xe」も、欧州では2020年末に発売となっている。

日本ではご承知のように、欧州ほどヒステリックにCO2排出低減圧力が高まってはいない。それでも、欧州に続くレネゲード4xeの市場として日本が選ばれたのは、イタリア生産のレネゲードの供給先のなかで、PHEVのような高付加価値商品を柔軟に受け入れる素地がある市場……と判断されたからだろう。なるほど、日本には欧州ブランドのPHEVが続々と上陸している。それに、フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)系ブランドで、いま日本でもっとも売れているのはジープであり、そのジープのなかでレネゲードはラングラーに次いで2番目に売れているのだ。

日本に導入されるレネゲードの4xeでも、比較的オンロード&豪華志向の「リミテッド」とジープ独自の高い悪路走破基準を満たした「トレイルホーク」という、おなじみの2グレードが用意される。ただ、FFと4WDがある純エンジン車とは異なり、4xeはその名のとおり四輪駆動のみで、基本的なパワートレイン構成も両グレードで共通。核となるエンジンの出力チューンだけが差別化される。

EV走行はモーターで後輪駆動

今回試乗したレネゲード4xeはトレイルホークだった。1.3リッターエンジンの出力は179PSで、リミテッドの131PSより高出力化されているが、車重がリミテッドより70kg重いので、体感的な動力性能は大差ない。トレイルホークではマッド&スノータイヤや210mmという地上高(リミテッドは170mm)、車体下面のスキッドガードなどの悪路向けスペックが充実しているかわりに、シートヒーターやレザーシート、アダプティブクルーズコントロール(ACC)といったリミテッドにある安楽装備が省かれる。

4xeのパワートレイン構成は意外と単純だ。というか、最近、急激に増殖している欧州PHEVでは典型的なもののひとつである。

フロント部分だけを見ると、1.3リッターターボ+6段ATにベルト駆動のスターター兼発電機(俗にいうISG)を追加しただけのマイルドハイブリッドである。ISGの最大トルクは53N・mにすぎず、エンジンとの間に断続機構もないので、この部分でモーターのみのEV走行はできない。いっぽう、リアは独立したモーターで駆動される。前後タイヤ間に機械的なつながりはない。

で、PHEVなので、14kWhの容量をもつリチウムイオン電池に電力が残っている間は、基本的にエンジンを停止したEV走行となる(リチウムイオン電池の残量キープを優先する「E-SAVE」モードを選ぶと別だが)。

……と、ここまででお気づきのとおり、EV走行時の4xeはリアモーターのみで走る後輪駆動である。そのリアモーターは最高出力128PS(定格出力60PS)/最大トルク250N・mというなかなか強力なものなので、実用上の動力性能になんら不足はなく、最高130km/hまでのEV走行が可能なので、日本では高速道路も含めてEVでフルカバーできる。ただ、フルスロットルなどの高負荷になるとエンジンが始動して、電力供給と駆動力の両面で加勢する。

アドオン型電動化システム

EV状態で走るレネゲードは当然のごとく静かで、1860kgの車重も感じさせない軽快な走りをする。「後輪駆動のレネゲードってどんな味?」という点は興味深いが、駆動方式のちがいが乗り味に出るような運転をしようとすると、必然的にアクセル開度が大きくなり、エンジンが始動して4WDに移行してしまう。なので、よくも悪くも安定性がそこなわれるようなケースはほとんどない。

こうした4xeのパワートレインシステムが昨今の欧州車に多いのは前記のとおりで、日本でおなじみの例でいうと、ボルボのPHEVもそのひとつである。

複雑なフルハイブリッドが最初から普及した日本的な感覚では、このようなシステムはあまりピンとこないかもしれない。しかし、このタイプは古典的な純エンジン車をベースに、コンポーネントをひとつ追加するごとに純エンジン車→マイルドハイブリッド車→プラグインハイブリッド車……と段階的にグレードアップできるのが特徴である。以前はハイブリッドを毛嫌いしていた(!)くせに、ある時点からいきなりハイブリッド/プラグインハイブリッドをフル展開する必要に迫られた欧州メーカーにとって、こういうアドオン型のシステムは都合がいいのだろう。

リチウムイオン電池をほぼ使い切ると、4xeは1.3リッターターボエンジンを核としたハイブリッド車になる。こうなると、パワーの源泉はエンジンのみになるが、270N・mという最大トルクは自然吸気換算で2.5~3リッター級に相当するわけで、絶対的な動力性能に物足りなさはとくに感じない。FCAジャパン担当氏によると、フロントのISGはエンジンの駆動アシスト、充電サポート、リチウムイオン電池の残量低下時にはリアモーターへの直接電力供給などを担当、リアモーターは必要に応じた駆動と本格的な回生をおこなう。

PHEVでもトレイルレイテッド

ハイブリッド状態になった4xeも、力強いエンジンやISGのアシスト、アクセル開度に応じて積極的に駆動参加するリアモーターなどによって、パワーフィールは力強く、その所作は洗練されたものだ。

メーター上はリチウムイオン電池残量が0%になっても、実際には2割ほどをキープする制御になっているとか。なので、クルマが停止すれば律義にアイドルストップして、そこからの再発進ではほぼ例外なく、EV状態でスルリと滑らかに転がり出す。

コーナリング中に意地悪にアクセルを踏み込んでも、無粋なアンダーステアにおちいらないのは、強力なリアモーターを最大限に活用した緻密な前後駆動力配分をしているゆえだろう。そして変速ショックが滑らかなのは、ISGのアシスト効果に加えて、4xeの変速機が専用トルクコンバーター式6段ATになっているおかげだ(純エンジン車のFFは6段DCT)。

同じ4xeでも別の機会に乗ったリミテッドは少しばかり車重を持てあました感もあり、凹凸が連続する荒れた路面でドタバタするクセがあった。しかし、悪路用により潤沢なサスストロークが確保されたトレイルホークなら、舗装路でちょっと振り回したり、フラットダートを気持ちよく流したりする程度で、アゴを出すようなことはない。

今回は試せなかった悪路性能も、誇り高きジープが「トレイルレイテッド」を自称するのだから、私のようなアマチュアが不満を抱くはずもない。欧州で公表されている最大渡河水深500mmというスペックも、純エンジンのトレイルホークになんら遜色なく、よりリニアな反応を見せる電動パワートレインによって、悪路でのコントロール性も向上しているという。

悩ましい価格と装備設定

ちなみに、リミテッド4xeとトレイルホーク4xeの価格差は5万円。前記のように舗装路の乗り味でもトレイルホークのほうが好印象であるうえに、各部の仕立てもよりジープらしい。しかし、実際に購入するとなると、シートヒーターやACCといった500万円カーには必須的な快適装備が、リミテッドにしか用意されない点に引っかかる向きもあろう。このあたりはなんとも悩ましい。

それ以前に、同じレネゲードでも、純エンジン車なら、4WDのトレイルホークは4xeより100万円以上安い。そして、レネゲード4xeには自家発電でリチウムイオン電池の残量を増やすチャージモードの類いは備わらず、日本の急速充電にも対応していない。よって、自宅や勤務地などの生活拠点に200Vの充電設備がある人でないと、4xe本来の乗り味やメリットを享受しづらい。PHEVとしてはいかにも手軽そうなレネゲード4xeだが、実際に購入に踏み切るには意外にハードルが高い。

まあ、これを逆にとらえると、200V電源を引き込んだガレージや駐車スペースさえおもちであれば、レネゲード4xeは現時点でもっとも買いやすい輸入PHEVということでもある。しかも、街乗りからレジャーまで万能感の高いコンパクトSUVというところも強みだ。同じレネゲードの純エンジン車と比較しても、荷室フロアがちょっと高くなる以外に、実用性の犠牲もとくにない。

レネゲード4xeはこのように、それなりの魅力はあるが、万人向けとはいいきれない。そんなクルマを欧州とほぼタイムラグなしで導入するFCAジャパンのジープ戦略は、最近はなかなかアグレッシブである。そういえば、純エンジン仕様のエントリーモデル「レネゲード ロンジチュード」は、このご時世でありながら値下げが発表された。その新価格は4xeより約200万円安い299万円だそうである。日本でガンガン攻めてくれる最近のジープは、素直に頼もしい。

(ライター 佐野弘宗)

テスト車のデータ


ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4255×1805×1725mm
ホイールベース:2570mm
車重:1860kg
駆動方式:4WD
エンジン:1.3リッター直4 SOHC 16バルブ ターボ
フロントモーター:交流同期電動機
リアモーター:交流同期電動機
トランスミッション:6段AT
エンジン最高出力:179PS(132kW)/5750rpm
エンジン最大トルク:270N・m(27.5kgf・m)/1850rpm
フロントモーター最高出力:45PS(33kW)
フロントモーター最大トルク:53N・m(5.4kgf・m)
リアモーター最高出力:128PS(94kW)
リアモーター最大トルク:250N・m(25.5kgf・m)
システム最高出力:239PS
タイヤ:(前)235/55R17 99H/(後)235/55R17 99H(グッドイヤー・ベクター4シーズンズ)
ハイブリッド燃料消費率:16.0km/リッター(WLTCモード)
価格:503万円/テスト車=513万4500円
オプション装備:ボディーカラー<グラナイトクリスタル>(3万3000円)/フロアカ―ペット(4万1800円)/ラゲッジマット(2万9700円)

[webCG 2021年1月19日の記事を再構成]

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