2030年と2040年 日米2つの予測本が指し示す未来とは八重洲ブックセンター本店

入り口のすぐ脇の面陳列棚で2つの予測本を上下に並べて展示する(八重洲ブックセンター本店)
入り口のすぐ脇の面陳列棚で2つの予測本を上下に並べて展示する(八重洲ブックセンター本店)

ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。今回は定点観測している八重洲ブックセンター本店だ。緊急事態宣言を受けて東京駅周辺の人出はめっきり減っている。同店の来店客も少なく、新刊が入荷してもランキングを駆け上るような反応が出ない。そんな中、書店員が注目するのは、テクノロジーを軸にこれからの10年、20年の間になにが起きるのかを見通した2つの未来予測本だった。

知ることで未来に備える

その2冊は成毛真『2040年の未来予測』(日経BP)とピーター・ディアマンディス、スティーブン・コトラー『2030年 すべてが「加速」する世界に備えよ』(土方奈美訳、ニューズピックス)。予測の射程こそ20年後と10年後と違っているが、テクノロジーを軸に長期の未来予測を語る点では変わりない。成毛氏の本の帯には「知っている人だけが悲劇を避けられる」との言葉が踊り、もう一方の本の副題には「世界に備えよ」とある。これから10~20年の間に起こることをしっかり見通して備えよというのが両書に共通するメッセージだ。

まず成毛氏の本からみていこう。元日本マイクロソフト社長でこの20年は様々なビジネス書を書いてきた成毛氏は「はじめに」で語る。「『今日』には、これから起こることの萌芽がある。現在を見つめれば、未来の形をつかむことは誰にでもできる」。こんな視点からまず描かれるのがテクノロジーの進化で実現する様々な未来だ。続いて日本の経済、生活、地球温暖化や自然災害のリスクを見ていく。

運転手のいない自動運転バス、ドローンによる配達、空飛ぶ車、前に立つだけで健康診断してくれる鏡……前半のテクノロジーから見た未来は明るい要素が次々と並ぶが、日本の経済を見つめる2章以降は悲観的な見通しが支配的になる。

「少子高齢化が進んだ2040年の世界は想像するだけでも恐ろしい」と著者は書く。団塊ジュニアが65歳になり、15歳未満の人口が10%を割り込む世界。しかし、そこでも希望を語ることを忘れない。例えばテクノロジーの進歩で医療費が減る可能性、食糧難に対応するフードテックの進展……。本書の主眼は、単にこうなるという未来を示すのではなく、「現在の知識を使って未来の方向を推測する力」をつけることで、その力で身の処し方を考え、未来に対応する力を養っていこうと呼びかける。

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