初心者向けレシピ本10選 自炊簡単に、料理の知識も
ステイホームで、自宅でご飯を食べる機会が増えている。テークアウトもいいが、自炊できたらより食事が楽しめそうだ。簡単で料理の知識も付く、初心者向けレシピ本を専門家が選んだ。
1位 ゆる自炊BOOK
写真満載、3工程で手軽に
料理本でよく目にする「少々」「1かけ」「ひとつまみ」などの分量を、写真で説明。ひとつまみってどれくらい? という初心者の疑問に答えている。多くのレシピが3工程以内で作れるシンプルさ。材料や工程はすべて写真付きで紹介されており、切り方や分量を把握しやすい。「とにかく懇切丁寧。隣でプロから料理を習っているような心強さ」(とけいじ千絵さん)。「いつでもおふくろになれる肉じゃが」「居酒屋っぽいさば豆腐」などレシピ名もユニークで、作ってみたくなる。
レシピだけでなく食材の保存方法、狭いキッチンでの調理スペースの作り方、合理的な洗い物の仕方などがイラスト付きで載っており、料理に不慣れな人の参考になりそう。作り置きやお弁当作りの初歩的なテクニックも紹介している。「初心者向け料理書の定番。まず最初に持つべき一冊」(室彩水さん)、「一人暮らしを始める学生や新社会人にもおすすめ」(山本寿子さん)。26種類の野菜がまだ食べられるか否かを判断できる、巻末の「くさりかけ野菜事典」も面白い。
(1)著者・シリーズ名 食べようびMOOK(2)出版社名 オレンジページ(3)価格 1204円+税(4)発行年 2016年(5)レシピの例 豚肉と小松菜のうましょうゆ炒め/給料日前の天使・もやしバタ炒め
2位 世界一美味しい手抜きごはん
写真分かりやすく直感的に
安くて簡単でおいしい料理を得意とする料理ブロガーによるヒット書籍。すべての調味料の分量がイラスト化されており、文章を読まなくても直感的に作ることができる。各レシピは「混ぜるだけ」「材料を全部入れてレンジでチンするだけ」など単純なものが多く、初心者でも「料理してみようかな」と思わせる一冊。
「簡単な料理が多く載っている。レシピも分かりやすく写真も食欲をそそる雰囲気で良い」(滝村雅晴さん)。各工程の火加減がイラストで示され「加熱のタイミングも分かり、失敗しない」(生田目早苗さん)。
「肉豆腐」といった主菜からサラダ、丼物やパスタ、デザートまで種類が豊富。肉豆腐を冷凍うどんにかけて肉うどんにするなど「ついでレシピ」や「アレンジレシピ」もあり、応用が利く。
(1)はらぺこグリズリー(2)KADOKAWA(3)1300円+税(4)19年(5)おつまみ角煮/黄金カルボナーラ
3位 覚えておきたい!新・料理の基本123
定番レシピの押さえたいツボ紹介
鶏のからあげ、肉じゃが、オムライスなど定番レシピを掲載。「少ない油で、サクサクのトンカツを揚げたい」「シャキッとした肉野菜炒めをつくりたい」など、初心者が押さえたいツボを、ページの最初で紹介しているところも分かりやすい。「1冊で和・洋・中・エスニックが作れる。厚焼き卵も書いてあるとおりに作ると失敗しなそう」(今泉マユ子さん)
新鮮な野菜の見分け方や切り方のおさらい、丸ごと1匹のサンマの選び方と下ごしらえの仕方など、素材の扱い方も丁寧に説明されている。調味料の正しい量り方や、米と雑穀の種類やとぎ方も紹介。「保存や調味料、下ごしらえのページ数が充実。家に1冊あってもよい」(島本美由紀さん)
(1)別冊エッセ(2)扶桑社(3)1100円+税(4)20年(5)ハンバーグ/トンカツ
4位 忙しい人のためのきほんの料理
定番の味をシンプルに
ハンバーグ、肉じゃが、からあげ、卵焼きなど、基本的なメニューを、できるだけ少ない材料、基本的な調味料で作れるよう工夫されている。「働く人の強い味方。毎日おいしいごはんが食べられる工夫がいっぱい」(山本さん)、「道具、調味料、切り方、だしと基本が押さえられている。レシピはベーシックな中にプラスアルファのアクセントがあってよい」(畑田祐子さん)。
本の左ページ全体を料理の写真が占め、食欲をそそる。「えびとほたてフライの盛り合わせタルタルソース」など、「人を呼べるおもてなしレシピ」のページもある。
(1)大庭英子(2)KADOKAWA(3)1400円+税(4)20年(5)チキンソテー/豚バラ肉のソテー 生トマトソースかけ
5位 料理はすごい!
親子で一緒に学ぶ
小学生から使えるレシピ本。最初に包丁やフライパンの置き方や使い方、野菜の切り方を解説している。「親子で料理するときに使いたい。料理を知るために最適の本」(吉川愛歩さん)
卵料理ならスクランブルエッグ、オムレツ、卵焼きなどが紹介されており、一通りのメニューが作れる。ギョーザの包み方や焼き方、マヨネーズやパスタ生地の作り方なども載っている。「サンドイッチの作り方から始まるところが面白い。小学生向けとあなどるなかれ。プロの技がさりげなくつまったレシピ本」(滝村さん)
(1)秋元さくら、宮木康彦、笠原将弘、菰田欣也(2)柴田書店(3)1600円+税(4)20年(5)ハムとチーズときゅうりのサンドイッチ/スモークサーモンとアボカドのサンドイッチ
6位 超簡単なので自炊やってみた。
8つの「壁」越える工夫
少ない材料でできる「人気のひと皿おかず」や火を使わない「レンチンすぐできレシピ」を本の最初に置き、初心者のやる気を引き出す構成になっている。
最低限の調理道具や、買い出しのメモの取り方、ご飯やうどんの時短レシピを紹介するなど、道具、技術、知識、料理本、買い物、時間、ワンパターン、狭さという8つの「壁」を越える工夫がされている。「火加減の目安や調理時間が、工程ごとに記載されていて初心者に優しい」(立田智香さん)
おつまみや丼物が豊富だ。「野菜でさっと作れる『ベジつまみ』レシピがおすすめ」(吉川さん)
(1)自炊研究会編(2)家の光協会(3)1200円+税(4)18年(5)豚肉とキャベツのあっという間のポン酢しょうゆ炒め
7位 がんばらない晩ごはん献立
2品同時に短時間で
31日分の晩ごはん献立が載っている。主菜が「かきとほうれん草のバターしょうゆ炒め」なら汁物として「水菜とベーコン、落とし卵のスープ」、主菜が「回鍋肉(ホイコーロー)」なら副菜が「じゃことちぎりピーマンのレンジ塩炒め」といった具合だ。各献立に段取り表が付き「2品同時にできるように工夫されている。トータル何分で完成できるかの目安もありがたい」(糸井純子さん)。
「切る前の食材を見せてくれるので、使う量が把握しやすい。献立作りの悩み解消にもなる」(島本さん)。後半の「もう1品作りたいときの副菜」集も便利。
(1)重信初江(2)学研プラス(3)1300円+税(4)18年(5)豚の梅しょうが焼き/えのきとにんじんのお吸いもの
8位 ロジカル和食
調理科学の視点で解説
できあがりの目標を設定し、どうすればいいのかを調理科学の視点から説明するユニークなレシピ本。「ぶりの照り焼き」であれば「くさみがない」を目標におき、「しょうゆ、みりんに10分つける」と目標達成のための公式を掲げる。そのうえで浸透圧など科学的に公式の理由を解説する。
「特に加熱のポイントが分かりやすく、経験者でも『だから固くなっていたのか』と、この本の通りに試したくなる」(生田目さん)。「この本のレシピをすべて作ったら料理上手になると感じる。解説が納得しやすく理解できるので、他の料理にも応用できる」(今泉さん)
(1)前田量子(2)主婦の友社(3)1300円+税(4)20年(5)ぶりの照り焼き/厚焼き卵
9位 Mizukiの今どき和食
鍋やレンジで手軽に
メインおかず、サブおかず、ごはん・汁ものの3つのパートに分け127の和食レシピを紹介。煮物は小鍋やフライパンで簡単に作れる方法が追求されており、時短をかなえるために便利な調味料やレンジを積極的に活用する。「レンジなどを使う、基本プラスアルファの手軽なおかずが多い。初心者でも試してみたくなる」(畑田さん)
難しいイメージのある和食に気軽に挑戦できる。「定番の和食・家庭料理の作業工程を極限まで削り落とし、ハードルをうんと下げてくれる。コツも随所にちりばめられていて、他のレシピに応用できそう」(とけいじさん)
(1)Mizuki(2)学研プラス(3)1200円+税(4)20年(5)レンジde焼き豚/フライパン肉じゃが
10位 これがほんとの料理のきほん
下ごしらえをマスター
「炒めものは、準備とダンドリで勝負が決まる」「揚げものは油の量や温度より下ごしらえ」「煮ものはやっぱりさしすせそ」など、初心者がつまずきがちな点を乗り越える料理のコツが紹介されている。「字の大きさ、量ともちょうどよく、料理しながら読める。家庭で押さえておきたいメニューはこれ1冊でマスターできる優れ本」(糸井さん)
下味つき冷凍や作り置き調味料のページも役に立つ。「焼き始めは、動かさない」など、各料理の最も重要なポイントである「『これがツボ』がとても勉強になり、他の料理にも応用できる」(立田さん)。
(1)しらいのりこ(2)成美堂出版(3)1200円+税(4)20年(5)豚肉とキャベツのみそ炒め/きんぴらごぼう
自己流に走らず まず分量守って
書店には数多くのレシピ本が並ぶ。最近は著名な料理研究家の本と並んで、「ブログやユーチューブ、SNS発のレシピを書籍化した本も多く、動画のように視覚的に見せる工夫がされている」(ジュンク堂書店の山本寿子さん)という。また料理本のジャンルが細分化している中で「発酵食品や薬膳などを取り上げ、体の調子を整えることを目的に書かれた本が売れている」と二子玉川蔦屋家電の糸井純子さんは話す。
レシピ本への興味をきっかけに料理研究家になった滝村雅晴さんが考える、初心者が選ぶ際のポイントは5つ。(1)使う食材数が少なく、どこでも買える(2)料理の工程がシンプルで文字が少ない(3)工程の写真がある(4)掲載レシピ数が多い(5)作りたかった料理が掲載されている。そのほか「レシピの用語解説や切り方、道具の説明、代表的な調味料など最初にそろえるべきものの情報が載っている本が1冊あると便利」。いきなり自己流に走るのではなく、調味料などまずは書いてある分量を量って作ることを、多くの専門家がすすめる。
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今週の専門家
(生活情報部 砂山絵理子)
[NIKKEIプラス1 2021年1月23日付]
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