日本経済、コロナ前への回復いつ? 生産性向上が急務

緊急事態宣言再発令後の3連休最終日、多くの人が訪れたJR渋谷駅前(11日、東京都渋谷区)
緊急事態宣言再発令後の3連休最終日、多くの人が訪れたJR渋谷駅前(11日、東京都渋谷区)

2021年の日本経済はどんな姿になるのでしょうか。民間シンクタンクの間では、「経済活動の回復は緩やかにならざるを得ない」(みずほ総合研究所)との慎重な見方が広がっています。

最大の問題は、収束の兆しが見えない新型コロナウイルスの感染状況です。ワクチン普及への期待は高まっているものの、先行きは不透明です。政府はまず、首都圏を対象に2度目となる緊急事態宣言を出し、その後、対象地域を広げてきましたが、外出自粛や飲食店の営業時間の短縮要請といった行動制限は企業や個人の行動を大きく左右します。対面型のサービスを提供する外食、旅行、娯楽産業は引き続き厳しい状況です。

東京五輪・パラリンピックを今夏に予定通り開催できるかどうかも焦点です。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の嶋中雄二参与・景気循環研究所長は、仮に中止になると3.6兆円程度の損失が発生し、21年の実質国内総生産(GDP)を0.7%程度押し下げると試算します。開催に伴う投資総額約10兆円のうち残る1兆円、観光客らによる消費約2兆円、国や東京都による大会経費への支出(未執行分約0.6兆円)が見込めなくなるためです。

嶋中氏は今年の景気を占う上でのポイントとして、緊急事態宣言の実際の解除時期、ワクチンによるコロナ収束の効果、マネーストック(通貨供給量)急増の影響、好調な中国経済の行方、バイデン米新政権の経済政策を挙げます。

先行きを読みづらい要素が多く、予測は難しいですが、日本経済が「コロナ前」に戻るのはいつでしょうか。ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎経済調査部長は、実質GDPの水準が、消費税引き上げ前の直前のピーク(19年7~9月期)に戻るのは、24年度の半ば頃になると予測しています。回復力の弱さに加え、「コロナ禍のもとで企業の倒産が増え、家計の所得が減った結果、経済の基盤が毀損した」とみているためです。

嶋中氏は、コロナ前の水準まで戻るのは23年7~9月期頃と推測します。

日本以外の主要国の経済をみると、コロナの感染者が多い欧米は日本よりも足元の落ち込み幅は大きいですが、問題は経済の「回復力」です。設備や労働力を最大限に活用した場合の成長率である潜在成長率を比べると、欧米は日本より高い水準です。欧米の経済は22年には19年の水準を回復するとみるシンクタンクが多いのです。主要国の中で最も回復が遅れる可能性が高い日本にとって、生産性の向上による潜在成長率の回復が急務といえます。

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斎藤太郎・ニッセイ基礎研究所経済調査部長「21年1~3