シンボルマークは「ほていさま」

「ほていちゃん」の1号店は、大衆酒場の聖地、上野。安さだけでない、料理と店作りのうまさが評価され、一気に繁盛店になった。すぐに2号店を開店し、現在上野だけを4店を展開する。それと並行して、新しい店舗を増やして行った。

経営は、居酒屋やラーメン店、「伝説のすた丼」のFC事業を行うフォートップス。会社全体では50店以上を展開する。大衆酒場ではあるが、少し洗練されているのは、この辺に理由がある。店内のオペレーションも考えられており、コロナ対策はもちろん、本来飲食店がもっとも気をつけなければならない、食中毒への対応も良い感じだ。調理のスタッフは、ゴム手袋をし、手が直接食材に触れないようにすることを励行していた。

立ち飲みカウンター。清潔感が印象的

かつてお笑い芸人の番組で「きたなシュラン」という人気コーナーがあったが、行って見ると確かに味は悪くなかったが、特筆できるものではなかった。それよりは、厨房が汚いのが気になった。こうした店に比べ「ほていちゃん」は厨房のステンレスがピカピカに磨き上げてあり、安心感がある。「ほていちゃん」は、経営主体が企業だけに、この点はきちんとしている。それが当たり前なんだけど。

大衆酒場も最近は、保健所がうるさいのか、きれいな店が増えている。上野の「大統領」もすごいピカピカだ。おいしい、おいしくないは、個人の好みだから、なんとも言えないけど、店選びの際は、まずは、ここを大事にしたい。その点、「ほていちゃん」は大丈夫。コロナで皆が悩んでいる中、ここでさらに食中毒を出したくないから。

「オススメ純米酒」(480円)。普通酒はとっくりで390円

外食記者歴30年、かつてふり客として様々な店に突入した経験談を語ると、地方を含めて、初めての店に入った瞬間、「あちゃ~」と思った店は10軒にとどまらない。店が醸し出す雰囲気が「おいしそう」ではないのだ。こういう時は「あ、ゴメンなさい。店を間違いました」とか言ってごまかして店を出るのだが、こうしたギャンブルを続ける中、時々良い店に出合う。その喜びが忘れられず、出かけてしまう。酒場巡りの醍醐味だ。

*価格は特記以外は税別

(フードリンクニュース編集長 遠山敏之)

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