
「ほていちゃん」のもう一つの良さは、料理のレベルが高いこと。100円台の刺し身やつまみが並ぶ「晩杯屋」と比べると、100円台の料理もあるものの、300円台が中心。コストパフォーマンスは「晩杯屋」に軍配があがる。ただし、「晩杯屋」が築地や豊洲などの市場との長い付き合いで安く仕入れた素材中心だったり、原価率を抑えた料理が中心だったりするが、「ほていちゃん」はもう一手間かけている。
例えば「なめこりゅうきゅう」(360円)。りゅうきゅうは、アジやサバ、カンパチなどをしょうゆ、みりん、ゴマなどとあえた料理。九州・大分の郷土料理とされるが、それを結構なボリュームで出してくる。2人で食べてもよいくらいだ。

「牛がけ チーズオムレツ」(330円)もそうだ。「晩杯屋」は納豆入りのオムレツだが、「ほていちゃん」の「牛がけ チーズオムレツ」は、ミートソース風のソースがかかっていて、食べ応えがある。立ち主体の「晩杯屋」と違い、一人の立ち飲みだけでなく、2~3人で訪れた時でも楽しめる仕組みになっている。そして、焼き鳥、焼きトンなどの焼き物はない。
大衆酒場らしくないところは、そのほかにもある。なんと店内にはフリーWi-Fiが飛び、立ち飲み席にはコンセントもある。1号店がある上野周辺の店舗はないようだが、最近出店した店舗には、すべての席ではないが、こうした設備を施しているようだ。実際に使用したことはないが、休日の昼飲みで、携帯の充電をしたり、メールやネットを確認したりする時は、ありがたい。

そもそも「ほていちゃん」は、主要ターミナルの駅近にあることが多い。あまり店を探してウロウロする必要がない。基本的には1階の路面店。「マクドナルド」のような駅前から見える超一等地ではないが、酒飲みなら分かる酒場街の良い場所に店がある。しかも、近年出した店は、角地に立地しており、派手なのれんも含めて、認知度バツグンだ。要は見つけやすい店なのである。それで一人分の予算は1600円程度。居酒屋チェーンに行くより、お得だ。
客はオヤジの1人客が多いのは当然だが、30代のカップルや女性同士も見かける。飲みたい女性が増えていることを実感する。立ち飲み席は、30分強でサク飲みする1人客、テーブル席はきちんと飲みながら食事をする2~3人が多い印象だ。緊急事態宣言後は、公式ツイッターで酒類提供は19時までで、20時での閉店を宣言しているので、平日の仕事帰りには使いづらいかもしれないが、休日や早上がりの時に訪店するのは、悪い話じゃない。