N
NIKKEI STYLE キャリア
日本経済のニュースがわかる!

2021/1/21

日本経済のニュースがわかる!

一方、新たな課題も生まれています。一例が住居を旅行者に貸し出す「民泊」です。空間のシェアとして日本でも数年前から急速に人気が高まり、大手の米エアビーアンドビー以外にも、旅行関連会社などが次々と参入しました。ただ普及段階では、当時の法律だった旅館業法にあてはめられない物件も多くみられました。そこで政府は18年6月に違法の「ヤミ民泊」をより厳しく取り締まる住宅宿泊事業法(民泊新法)を施行。各社が物件を削除したことで一時、約1万件まで掲載数が減りましたが、今は2万5000件超まで回復しています。移動のシェアの1つであるライドシェア(相乗り)サービスを巡っては、既存のタクシー業界との共存が課題です。海外では米ウーバーテクノロジーズ、シンガポールのグラブなどのサービスが活発に使われていますが、日本ではタクシー業界の反対が強く、「白タク行為」としていまだに禁止されています。タクシー料金より安価なライドシェアが解禁されると顧客の奪い合いにつながるためですが、ユーザーの利便性を損なっている面もあります。

スキルシェアに追い風の「ニューノーマル」

順調に拡大を続けてきたシェア経済ですが、新型コロナウイルス問題で大きく揺れています。感染拡大防止のため自宅で過ごす時間が増え、空間や移動手段をシェアする必要性は薄れました。海外からの観光客や国内の外出頻度が減り、カーシェアや民泊は利用が急減しました。一方、モノの流通は活発です。メルカリに加えて、ヤフーや楽天も同様のフリマアプリに力を入れていて中古品取引は盛んになりました。

「ニューノーマル」と呼ばれる新しい生活スタイルは、スキルシェアには追い風です。在宅勤務など場所や時間にしばられない自由な働き方が増えると、空いた時間を副業にあてる余裕が生まれます。オンライン主体で働ける企業は副業者を受け入れやすくなります。今後は高いスキルが求められる仕事もシェアされるようになるでしょう。

コロナを巡っては当初、品薄になったマスクや消毒液がフリマアプリで高額で出品され、転売行為として批判されました。各社はこうした商品の出品を禁止しました。消費者同士の自由な取引とはいえ、モラルが守られなくなると本当に必要な人に行き渡りにくくなる弊害も生じます。社会で大きな不利益とならないよう、一定のルールや規制も求められます。

全体としては、ITを駆使したサービスが次々生まれていて、シェア経済はまだまだ成長が続くでしょう。個人間取引では、ユーザー同士が互いを評価し合うことで、サービス提供者と利用者が対等な関係を築きやすくなりました。今後はさらに、個人の信用度を点数化しサービス提供に生かす「信用スコア」のような、新たな概念ともつながっていきます。シェア経済の広がりは、今後さらに私たちの生活に大きなインパクトを与えるでしょう。

(「Q&A 日本経済のニュースがわかる! [2021年版]」から再構成しました)

Q&A 日本経済のニュースがわかる! 2021年版

著者 : 日本経済新聞社
出版 : 日本経済新聞出版
価格 : 1,650 円(税込み)

管理職・ミドル世代の転職なら――「エグゼクティブ転職」

5分でわかる「エグゼクティブ力」
いま、あなたの市場価値は?

>> 診断を受けてみる(無料)

「エグゼクティブ転職」は、日本経済新聞社グループが運営する 次世代リーダーの転職支援サイトです

NIKKEI 日経HR


ビジネス書などの書評を紹介
ブックコーナー ビジネス書などの書評はこちら