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中華圏向け日本酒輸出 コロナ禍でも好調なワケは

世界で急増!日本酒LOVE(29)

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NIKKEI STYLE

猛威を振るうコロナ禍の影響で、日本酒業界も打撃を受けている。国内では緊急事態宣言などで飲食店が時短営業を余儀なくされ、業務用卸が低迷しているからだ。世界に広がるSAKEブームにも水をさされた形と思いきや、日本酒輸出協会(SEA、東京・渋谷)の松崎晴雄会長は「東アジア向けの輸出は、コロナ禍にあっても好調です」。グローバルな目線で日本酒を取り巻く足下の現状や展望を松崎会長に聞いた。

日本酒輸出協会の設立は1997年。海外での日本酒の普及と日本酒の国際化を支援する任意団体として、それに賛同する国内の蔵元約20社とともに結成された。これまで20年以上にわたり協会メンバーが米国や香港、欧州などを訪問、現地で日本酒プロモーションなどを展開してきた。

日本酒の輸出量は10年前と比べ約2倍、金額ベースで約3倍の伸びとなっているが、実際に「手応えを感じられるようになったのはここ5年くらいのこと」という。昨年以降、新型コロナウイルスが猛威を振るう中で、「香港・台湾・中国が日本酒の消費をけん引。香港では2020年5月に前年比約86%増の輸出量の伸びを記録した」(松崎氏)。コロナ前より伸びているという意外な事実を明かす。2020年1月~11月までの累計輸出額で見ても、香港は前年比48%の伸びで、「約20年来、最大の輸出先だった米国を抜いた」(数字はJETRO調べ)。

米国はコロナウイルスの感染者が世界で最多となっており、日本酒の消費の落ち込みは一時的なもの、との見方がある一方で、松崎氏は「将来的にもアジア圏は大きな市場であることは間違いない」と断言する。

松崎氏はもともとは国内の百貨店で食品・和洋酒部門を担当していた。百貨店の香港進出を機に日本酒の海外輸出に興味を持つようになったという。百貨店を辞めて独立してからは、それまでの経験を生かし、日本酒コンサルタントや酒類ジャーナリストとして活躍。全国各地の酒蔵訪問を重ね、各地で開催される鑑評会の審査員も歴任。日本酒輸出協会のトップの傍ら、JETRO(日本貿易振興機構)や国税庁などでも日本酒の輸出支援のためのサポート業務を手がけるエキスパートとして知られる。

コロナ禍にあって、なぜ中国・香港・台湾のいわゆるアジア中華圏の日本酒輸出が好調なのか。その背景について、松崎氏は「いち早くコロナ収束にめどがついたことや、急速な経済回復が日本酒消費を拡大している」と分析。アジア圏では大吟醸酒や吟醸酒が人気だが、「今後、純米酒や本醸造酒、普通酒などの魅力も理解されるようになれば、もっと厚みのある大きなマーケットになるはず」と期待する。

同時にタイやベトナム、ミャンマーといった国々の潜在力にも着目する。なぜなら「日本食レストランが増える可能性が今後、高いから」という。今後の経済成長や人口規模といった観点からすれば、「インドやフィリピンもかなり有望株」と見る。

一方、米国は現在、コロナ禍で打撃を受けているが、「まだまだ伸びしろはある」と松崎氏はいう。種類豊富に日本酒がそろっていて、好きなものを購入できるのは、全米でまだ10州ほどだが、「流通がもっと充実すればワインのようにスタンダードな日常酒として定着する可能性がある」からだ。

欧州に関しても「輸出量が全体の1割にも満たない、まだ小さなマーケットだが、こちらも希望が持てる」。中でも注目する先がグルメ大国の一つ、スペインだ。「手の込んだ調理よりも、炭火焼のような素材を重視した料理が多く、和食のようにシンプル。日本同様、イカやタコも食べる珍しい国でもある」点がポイントで、そこに日本酒が浸透する余地がある、と松崎氏は考えている。

スペインの開拓に成功すれば、同じヒスパニック系の中南米へも道が開ける。両エリアは言語も共通で、中南米のシェフたちの目は多くがスペインに向いている。アジア圏では吟醸酒が人気だが、欧米はむしろ複雑味や重厚感のある酒が好まれがち。そうした酒の好みや役割を意識した上で市場開拓していけば、勝算は十分ある、というわけだ。

日本酒の海外輸出を増大させるのに、松崎氏が重要とする要素は「2つ」ある。まずは現地生産のSAKEを増やすこと。日本から輸出される日本酒よりも、現地醸造のSAKEの方が関税などがかからない分、割安だからだ。リーズナブルな価格帯のSAKEが市場に出回れば、マーケットの裾野が広がり、消費拡大に向けた好循環が生まれる。

現在、世界約60箇所でSAKEが醸されているという。大関や月桂冠といった大手も海外進出し、宝酒造は米国で栽培した山田錦で醸した酒を製造販売している。日本の酒蔵が現地で合弁会社を設立し、現地の担い手に技術提供したり、現地の小規模醸造所(マイクロブリュワリー)で現地の人たちの手でSAKEが造られたりしている例も増えている。

2つ目は「日本酒普及のための現地の担い手の存在」だ。その国のお国言葉で日本酒の魅力を説明し、現地の料理に合わせる提案をした方が、日本酒の普及は加速するからという。

松崎氏はこれら2つのために、現地のSAKE関連企業や醸造家、ディストリビューター(日本酒を日本から輸入したり、現地に卸販売する人など)などとタッグを組み、現地でイベントなどを展開したいと考えている。「SAKEマーケティングハウス」という法人を2019年に立ち上げたのもその一環だ。「現地在住の日本人や日系ルートの関係者だけではどうしてもマーケットに限界がある。現地の一般消費者にダイレクトに訴求するための新しいチャンネルを開拓したい」と松崎氏は意気込みを見せる。

新しいチャンネル開拓の必要性はコロナの影響で国内でも高まっている。日本酒の飲める場所が飲食店から自宅へとシフトし、これまでの業務用卸から一般小売ルートの開拓が急務になっている。コロナの影響で、免疫力アップのために発酵食品が注目されているが、「その流れに乗って発酵食品の一つである日本酒の健康ポイントも発信できるチャンスかも」と指摘する。

全国の酒蔵をリスペクトしつつ、「自分は彼らと同じではなく、半歩先、一歩先のポジションを歩まないと、と思っています。酒蔵ができないことをやっていくのが自分の役目」。そう自覚する松崎氏は日本酒業界のそれぞれの立ち位置を考えながら、自分なりのスタンスで日本酒業界に貢献していきたい、と話した。

(国際きき酒師&サケ・エキスパート 滝口智子)

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