コロナ下ですが談笑流ジョークをどうぞ 不要不急かも
立川談笑
2021年の幕開けとして、ジョークを用意しました。重苦しいときこそ息抜きが必要です。今っぽいのを集めましたよ。
「新常態」な日々
(ちょっと気になる空気音のあと)
部下「部長、2人っきりのエレベーターの中でおならは勘弁してくださいよ」
部長「あっはっは。やっぱり、おならだと思ったか?」
部下「そりゃ分かりますよ!」
部長「よーし、できた! 実は、せきをおならでごまかす練習をしてたんだ。どうも3日前から屁(へ)とせきが止まらんのだよ。ごほっ、ブッ、ごほごほ、ブッブッ!」
部下「だれかー! エレベーター止めて~!」
コロナ下で「自主隔離日記」をスタート。
1日目「海外旅行も濃厚接触もないが、念のため自主隔離しようと思い立った。食品、飲料、医薬品、着替えや日用雑貨などなど、数か月いや数年でも持ちこたえるだけの量を用意した。パンデミックが収束するその日までこの部屋から一歩も外出しないぞ!」
2日目「コンビニでプリン買った」
「そういえば君のいるイギリスは、トイレットペーパー不足で困ってるって?」
「ああ。でもウチはいま代用品でなんとかしのいでるよ。それにしてもロンドンタイムズはお堅いね」
幼稚園で。
先生「コロナにならないように、お歌をうたいながら手を洗いましょうね」
女児「はーい。どんなおうたがいい?」
先生「ゆみちゃんの好きなお歌でいいのよ」
女児「はーい。(手を洗いながら)ぬーすんだバーイクではーしりーだすー」
先生「待ちなさい」
「はい。どんなお悩みでしょう」
「この、ミニチュアダックスについての相談です。オスで2歳になります。子犬のころから室内で飼っています。しっかりしつけたはずなんですけど、ちょっと目を離すとソファをガリガリかじったり、じゅうたんをボロボロになるまでひっかいたり、ひどいんです。今は新型コロナのために私もテレワークですよ。外出もしないで1週間も2週間もこの子と家の中にじーっとしてるとストレスがたまって、もう……」
「では、ソファをかじったりじゅうたんをひっかいたりを、やめさせたいと?」
「いいえ! ようやくこの子の気持ちが分かったんです。ガリガリしたくなってしまう気持ち、どうしたらいいんでしょう?」
「あんまり他人に近づかないように、外出を避けてたんだ。そしたらストレスで食べ過ぎちゃってさ」
「おい、お前のシャツ。ボタンがソーシャル・ディスタンスとりはじめてるぞ」
「ねえ。今度の新しい彼、いい感じじゃない」
「でしょー! すっごくいい人。もう、これまで付き合う男はどれも最低のばっかりだったから」
「んー、確かに。男運が悪かったよねえ」
「私、この新型コロナで分かっちゃった。ソーシャル・ディスタンスで、いい男が選べるようになったの。行動変容したの」
「難しいこと言ってるわね。どういうこと?」
「まず初対面の人とは、きっちり距離を保つ。接触を避けるの。会ってすぐ手をつないだりとか、その日にいきなり最後まで仲良くなったりしない。これが、コロナ時代の新常識」
「うーん。あんたにとっては結果オーライだったね」
「新型コロナウイルスのパンデミックという人類最大の危機を救うための志願者は君かね?」
「はい!」
「感染拡大を防ぐ。これは過酷な任務だぞ。何週間、何カ月、いや何年かかるか分からん戦いだ。命の危険にさらされることも十分考えられる」
「覚悟の上です」
「よし。まず外に出るな。家にいてテレビの前でひたすらごろごろしてろ」
「はい。……それで?」
「それだけだ」
「……は? それだけ? あっはっは。過酷っていうから何かと思ったら。外に出ないだけでいいんなら楽なもんっすよ。テレビじゃなくユーチューブとかでもいいっすか?」
「ただし、給料は出ないぞ」
「……へ?」
「税金も社会保険料も家賃も今まで通り普通に払ってもらう。これでも楽か?」
「か、過酷ですね……」
2020年は、自分がいま欲しいものすべてを手に入れる年にしたかった。
2020年は、自分がいま持っているものすべてを理解する年になった。
「パニック映画って、怪獣の来襲だったり天変地異だったり危機はいろいろだけど、どれも似てる気がするんだよね」
「それ、科学者の声に政治家が耳をかたむけないところから始まるところじゃない?」
人気コメディアンがインタビューを受けていた。
「あなたのジョークは、政府の施策をことごとく辛辣な皮肉で笑いにしていますね。それはなぜですか?」
「50年後、孫にたずねられたときのためさ。『ねえ、おじいちゃんは第3次世界大戦がはじまる前に、何か抵抗しなかったの?』って」
「また公共工事の官製談合があったってよ。事前に入札情報を漏らしちゃったんだって」
「老朽化した水道の工事だからな」
「大統領閣下! イラン政府が北朝鮮に、閣下を『信用するな』と」
「よくある中傷だ。妻も同じことを言われた」
「イランが夫人にまでそんなことを……」
「いや、イランじゃなくて前の妻だ」
いつもハッピーでいることではなく
最後は趣向をかえて、ジョークというよりエールを。
いまの時代の俺たちにまとわりつく、いわれのない罪悪感といったらどうだ。
古代ギリシャ語に堪能でなくたっていいし、変化球を3通りに投げ分けられないからって落ち込む必要なんて、さらさらない。
きょう一日、歯を磨いて、なにか食べて、風呂に入って、テレビのニュースを10分間消したままでいられたなら、それだけで大したもんだ。あんたは良くやってるって。
明るく前向きに過ごすってことは、いつもハッピーでいることじゃないんだ。たとえ最悪な一日があっても「この先きっと良いことが待ってるはずさ」って思っていられる心の持ちようだよ。
人類が直面する危難はまだ去りません。皆さん、どうぞ穏やかに日々をお過ごし下さいね。
1965年、東京都江東区で生まれる。高校時代は柔道で体を鍛え、早大法学部時代は六法全書で知識を蓄える。93年に立川談志に入門。立川談生を名乗る。96年に二ツ目昇進、2003年に談笑に改名、05年に真打ち昇進。近年は談志門下の四天王の一人に数えられる。古典落語をもとにブラックジョークを交えた改作に定評があり、十八番は「居酒屋」を改作した「イラサリマケー」など。
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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