コロナ禍で変わる紙文具の潮流

コロナ禍による巣ごもり生活で紙文具のトレンドにも変化が起きている。文具専門店の伊東屋が昨年開催したイベントでは大きめのシステム手帳も人気で、同社は「外に持ち運ぶことが減ったためではないか」とみる。ロフトではノートなど紙文具をビジネス用途だけでなく「おうち時間用に購入する人も多い」(広報担当者)。

アナログ文具は見た目も楽しめる。昨年11月の東京の文具女子博には紙文具以外にも、有名小説を題材にしたマスキングテープやラメ入りペンなどが多く出品されていた。デジタル化が進むからこそアナログ文具に回帰してみるのはいかが。

■ガラスペンも人気

匠(たくみ)の繊細な手作業で生み出される造形美や色合いと、独特な書き味を楽しめるガラスペンの人気も広がっている。

インクスタンド(東京・台東)では、若い女性を中心にガラスペンが人気だ
店頭には青や黄など鮮やかなペンの数々――。文具店カキモリ(東京・台東)の姉妹店で、インクを調合できるインクスタンド(同、1月25日~2月中旬は店舗の移転で一時休業)の店頭には長野県軽井沢町など各地の作家が作ったガラスペンが並ぶ。広報の岡本華歩さんは「シャリシャリとした書き味にはまり、20~30代の女性を中心に人気が広がっている」と話す。

沖縄や岡山の作家の作品を扱うジュリエットレターズ(福岡市)の昨年のガラスペンの売り上げは一昨年の1.5倍ほどだった。「おうち時間に手書きを楽しむ人が増え、人気が広がったのではないか」(同店広報の堤萌子さん)

近年、万年筆の人気が広がっている。ガラスペンは使用後にペン先を水で洗うだけですみ、様々なインクを使い分けるのに向く。万年筆ファンが、手書きの選択肢を増やすためにガラスペンを始めるケースも目立つ。東京都の会社員、宮入有希子さん(39)もガラスペンを愛用する1人だ。「洋服と同じ感覚で、新しいペンを購入している」といい、コレクションは30本以上に。宮入さんのインスタグラムにはガラスペンで書いたおしゃれな文字の写真も並び、フォロワーは8000人を超える。

国内各地の作家が個性的なペンを生んでいる。福井県坂井市のグラススタジオ嘉硝(かしょう)は、実用性にこだわる。六角形で机から転がり落ちにくく、太字~極細字まで4種類のペン先から選べる「ヘキサゴン」は量販店にも並ぶ。

初心者がガラスペンを選ぶ際のポイントは何か。インクスタンドの広瀬琢磨代表は「見た目も大切だが、書き味にこだわるべきだ」と話す。「作家の名前を表に出している商品は品質も担保されている」と助言する。手に取って眺めて、心癒やされるガラスペンも巣ごもり生活を充実させてくれそうだ。

■ランキングの見方 製品名(メーカー)。数字は専門家の評価を点数化。(1)色や種類など(2)税込み価格の目安(3)メーカーや紹介のホームページ、販売サイトなど。写真は三浦秀行撮影、スタイリングは西崎弥沙。

■調査の方法 伊東屋とロフト、文具の専門家がピックアップした商品を基に、紙文具26商品をリストアップ。新型コロナウイルスの感染防止に十分配慮しながら評価会を開き「書く楽しさを味わえるか」「デザインや書き味など、ものづくりへのこだわりを感じられるか」などの観点から、専門家が実際に使って1位から10位まで順位付けし、編集部で集計した。

■今週の専門家 ▽今津朋子(東急ハンズ MD企画部チーフバイヤー)▽オダギリ展子(事務効率化コンサルタント)▽菅未里(文具ソムリエール)▽北沢孝之(ステイショナー「BUN2」編集長)▽清水茂樹(雑誌「趣味の文具箱」編集長)▽高橋咲彩(「LDK」編集部)▽土橋正(ステイショナリーディレクター)▽萩原康一(アサヒヤ紙文具店店長)▽浜田芳治(多摩美術大学プロダクト研究室教授)▽広瀬琢磨(カキモリ代表)▽宗村泉(印刷博物館副館長)▽やまぐちまきこ(「フムフムハック」編集長)=敬称略、五十音順

(生活情報部 荒牧寛人)

[NIKKEIプラス1 2021年1月16日付]


注目記事