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中学3年CFOが描いた みんなのためのサステナブル

マキコの部屋 #01

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NIKKEI STYLE

 外資系企業や「ほぼ日」最高財務責任者を経て50代でベンチャー企業に転身した篠田真貴子さんをホストに、オンラインイベント『マキコの部屋 #01 これからの世代と考える「持続可能なビジネス」とは』(日本経済新聞社COMEMO主催)が開催されました。「マキコの部屋」初回のゲストは、ミドリムシを使った健康食品やバイオ燃料開発を手掛けるユーグレナ第2期CFO(Chief Future Officer:最高未来責任者)の川崎レナさん。15歳の川崎さんが語る「新しい経済」のカタチとは。

篠田真貴子さん(以下、マキコさん) 私が働く「YeLL」というベンチャー企業は、オンラインの1対1の面談によって、企業で働く人の話を社外の人がじっくり「聞く」という機会を提供しています。私自身、人の話を「聞く」ということに仕事上関心を寄せていますので、今日、川崎レナさんにお話をお伺いできることを、とても楽しみにしていました。

川崎レナさん(以下、川崎さん) 川崎レナです。中学3年生の15歳です。小さい頃から人権の活動などをしていて、最近は環境問題などにも関心をもつようになっています。今は、ユーグレナのCFOをやりながら、アース・ガーディアンズ・ジャパンという団体を友達と一緒に設立して、その代表も務めています。

マキコさん そして学校にも行っているという、非常にお忙しく過ごされている状況だと思います。まずはユーグレナCFOにチャレンジした理由から教えていただけますか?

川崎さん 小学生のときに「ランドセルは海を越えて」という本を読んで、自分がどれだけ恵まれているかということに気づきました。日本で使わなくなったランドセルを、アフガニスタンの教育を受けられていない子供たちに寄付をしたという話です。私が普通に受けられている教育を、アフガニスタンの子供たちはこんなにも努力をしないと受けられないことに「おかしい」と感じ、そこから、活動をしたいと思うようになりました。

私と同年代や私より少し下の世代の子供たちの活動支援をしてきましたが、それはあくまでも個人対個人の支援です。もっと大きなスケールで「自分には何ができるのか?」「どれだけ変えられるのか?」を考えていたときに、ユーグレナの募集を知りました。私の活動をもっと広げて、もっと人を助けたいという思いで応募しました。

マキコさん 「ランドセルは海を越えて」を読んだ小学生は川崎さんの他にもいるはずですし、大人もたくさん読んでいると思います。でも、そこから「いかに自分が恵まれているのか」ということをくみ取ることは、なかなか難しいことだと思います。川崎さんがそう思えた背景にはどんなことがあったのでしょうか?

川崎さん 小学生のときに、先生と何人かのクラスメートと一緒に、ホームレスの方がたくさん住んでいる地域を訪ねたことがありました。学校で寄付を募って集めたものを届けに行く活動です。そこで見た現実は「恵まれている日本でも、私と同じ年くらいの子供たちが、こんなにも過酷な状況で生きなければならない」ということでした。私は何もしていないのに、恵まれた環境や教育が与えられている、そのことをずっと考え続けているうちに「私とこの子たちが違うということは、多分、私が何かしないと変わらない」という考えに至りました。

マキコさん 自分が恵まれているという意識を持ったところから、具体的なアクションを起こすまでには、ある種の「ジャンプ」があったと思います。具体的には何がきっかけになったのでしょうか?

川崎さん 最初から活動をしたいとか、活動を広げたいとか思っていたわけではありませんでしたし、途中で嫌になった時期もありました。「私が動いても誰も動いてくれないんじゃないか」「失敗したら目立ってしまうんじゃないか」という、日本人特有の「出る杭(くい)は打たれる」の思考が出てきてしまったからです。

でも、私が小学生のときには、同世代ですでに活動を始めている子供たちはたくさんいて、やらないことのほうが恥ずかしいことだと思うようになりました。それまでの気持ちがパッと吹き飛ばされた感じでした。

「サステナビリティ」ってなんだろう?

マキコさん 日本を「サステナビリティ」という観点から見たときの話をここからしていきたいと思うのですが、まずは「サステナビリティとは何ですか?」と聞かれたら、川崎さんはどのように答えますか?

川崎さん 「環境」の文脈で使われがちですが、教育にも当てはまりますし、一人ひとりの生き方にも当てはめることができると思います。「私の人生はサステナブルです」と言うこともできます。動詞でもあり主題にもなるような、フレキシブルな言葉だと思います。

マキコさん 「サステナブルな○○○○」という言い方ができる、意味の幅が広い言葉だと思うのですが、今回のテーマは「サステナブルなビジネス」です。「サステナブルなビジネス」とは、どんなものだと思いますか?

川崎さん 私の理想は、全員のことをちゃんと考えて、全員が経済的にOKになって、全員を巻き込んで変化を起こせるようなものが、「サステナブルなビジネス」だと思っています。ある世代やある層だけが関わっていることは、サステナブルではないと私は考えています。持続可能とは、100年後の未来にもつなげていけるようなビジネスや物事であることだと思うので、一部の人だけが持続可能になっても、それは持続可能とは言わないと思います。

ビジネスや経済的な考えからではなく、「社会のために」という視点から考えて、対象の層も含めてすべての層を盛り込むことによって、やっと持続可能ということになると思います。

マキコさん 川崎さんのこれまでの活動の中で、「サステナブル」を実現するために実際に取り組んだエピソードがあれば、ぜひ伺いたいのですが教えていただけますか?

川崎さん 私は、最初は貧困の人や困っている人たちを助けたいという気持ちから始まって、さらにそこから日本だけではなく他の国の人たちも救いたい、と思うようになりました。

でも、例えば私が実際に海外に行っても、その人たちの苦しみは私にはわかりませんし、その人たちの技術を私が超えることもないと思うんです。慈善活動で「先進国の学生が外国で井戸を掘りました」というようなものがありますが、井戸を作る技術は現地の方々のほうが優れているはずです。

私がやらなければならないことは、そこに行くことではなく、その前にまずは「自分の周りから変えていく」ことをしないと、その人たちには何も届かないし、社会にいいインパクトも残せません。

そのことに最近になってやっと気づいて、今の日本の子供たちに向けた教育を始めました。それは普通の学習教育や授業をすることではなく、日本人が世界で活躍するために必要なSDGsの教育や、リーダーシップやファシリテーションの教育です。それによってたくさんの国の人をもっと助けられるようにするために、今、私たちの世代が動かないといけないという解決策に気づいたので、活動としてやるようになりました。

15歳から逆質問 「マキコさんの夢はなんですか?」

イベント参加者からの質問 たくさんの人や世代が関わると、みんなをまとめたり同じ方向に向かっていくことはとても難しいと思います。まとめるためのキーワードやポイント、考え方はありますか?

川崎さん 私はこれまで、子供たちだけではなく、大人の方(学校の先生や親など教育関係の方)にもワークショップをする機会がありました。その経験を通して気づいたことは「大人は子供と同じようにはいかない」ということでした。大人向けのワークショップと子供向けのワークショップでは、プログラムもボキャブラリーも全部変えなければなりません。

例えば、幼稚園生にワークショップをすると、とても純粋に「ぼくは世界を変えたいんだ!」と言ってきてくれる子がいたりしますが、大人の方は「自分は何も変えられない」という現実を見てきた歴史が子供たちよりもずっと長いなどの理由で、なかなかそうはいきません。

でも、大人でも子供でも、全員が同じように考えるわけではなく、世代が違うからではなく違う人間だから、1人1人違うことを考えるのだと私は思っています。

そこで、世代の違う人が集まるようなワークショップで私がやっていることは、まずは「原点に戻ってもらう」ことです。「一度、3歳児だった頃に戻ってみましょう!」「世界を変えたいとか、スーパーヒーローになりたいとか、考えていた頃に戻ってみてください!」と言っています。

原点に戻ってもらって、それから現実を見て、本当に現実的に必要な策を考えてもらいます。一番純粋な思いを理想としてもっていた頃の気持ちがあれば、世界は変えられると思うからです。

川崎さん 私がマキコさんに質問したかったことは「将来の夢ってなんですか?」です。持続可能ということを考える場合、未来を見据えないといけないと思います。マキコさんのプロフィルを拝見して、すべてをやってきた方だという印象をもったのですが、すべてをやりきってきた人がどんな夢をもっているのか、どんな未来を見据えているのか、とても興味があります。

マキコさん 自分の中で「すべてをやってきた」という意識はまったくなく、確かにいろいろな組織でいろいろな役割を果たしてきましたが、これからの人生を考えれば、私は「今が一番若い」わけなので(笑)夢はいろいろありますが、「こういう世の中で暮らしたい!」というものが私の中にはあって、それは「属性(例えば女性である、何歳である、何人である)にとらわれることなく人と人がつながることがスタンダードな世の中になること」です。

そして、そのことに関連しますが、「組織と人の関係が今よりもフラットになって、自然体の自分のままでも組織の中で生き生きとやれる状況が普通になること」です。今はまだまだ過去の時代を引きずっているところがあって、組織が上で人が従属するという関係が前提となっているような気がします。

川崎さん 私がなぜこの質問をマキコさんに聞きたかったかと言うと、最近私がすごく素敵だと思う人たちはみんな、夢をもっていて「まだいけるな!」と思っているからなんです。私たちの世代に期待しているよ、ということをよく言われますが、先輩方の輝いている姿を見ることで、もっと「自分たちもちゃんとやらなきゃ」と思えると思います。

誰もが夢をもって「まだいける!」「まだ大丈夫!」と見せてくれることによって、他の人たちは元気づけられると思います。5歳の子が頑張って自転車に乗っている姿を見れば「私も頑張らなきゃっ!」て思うものですし、90歳の方がオリンピックに出ると言っているのを聞けば、同じように「私も頑張らなきゃっ!」と思えるものです。持続可能な社会を作っていくにあたって、「もう遅いから」「まだ早いから」ということはないと思います。すべての人が役割を果たせると、私は思います。

篠田真貴子さん 株式会社YeLL 取締役 1968年東京生まれ。慶應義塾大学経済学部卒、米ペンシルベニア大ウォートン校MBA、ジョンズ・ホプキンス大国際関係論修士。日本長期信用銀行、マッキンゼー、ノバルティス、ネスレを経て、2008年10月にほぼ日(旧・東京糸井重里事務所)に入社。最高財務責任者を務める。2018年11月に退任し、1年3カ月のジョブレス期間を経て、2020年3月からベンチャーの「YeLL」取締役に。
川崎レナさん 株式会社ユーグレナ 第2期CFO(Chief Future Officer:最高未来責任者) 大阪府のインターナショナルスクールに通う15歳。趣味はミュージカル。2011年よりWWFユースメンバー、特定非営利活動法人JUMPのワークショップ選抜メンバーなどを務めるほか、アース・ガーディアンズ・ジャパンを創設しディレクターなども務めている。

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