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コロナ下の花粉症対策 重症者向け新薬ゾレアの効果は

ウィズコロナ時代の花粉症対策(下)

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NIKKEI STYLE

日経Gooday(グッデイ)

花粉症の症状によって起きやすい、くしゃみをする、目をこする、といった動作は、新型コロナウイルス感染症の拡大につながりかねない。そうしたことを防ぐためにも、2021年はこれまで以上に徹底した花粉症対策が求められる。そんな今シーズン、花粉症の重症患者向け注射治療の新薬「ゾレア」がいよいよ本格普及する。どんな人に使えるのか。気になる効果や手順は? ゾレアの基礎知識とともに、重症度別の花粉対策のポイントや花粉症のオンライン診療事情について紹介する。

自分に合った適切な薬を選ぶことが花粉症治療のコツ

前回記事(「コロナ広げる?花粉症 今季は強力な対策『助っ人』も」)で紹介した通り、花粉症の症状をもたらす体内のIgE抗体をターゲットとした、重症患者向けの抗IgE抗体医薬「ゾレア」(一般名:オマリズマブ)の登場で花粉症治療の武器がそろった。日本医科大学大学院の大久保公裕教授は「大切なのは、自分の症状の程度や、仕事、生活習慣などを医師と分析し、適切な治療戦略を練ること」と話す。

【軽症の人は】市販薬でコントロールできることも

花粉症の治療薬には薬局などで購入できる薬もあり、近年、第2世代の抗ヒスタミン薬のなかでも長く使われ、有効性と安全性が確かめられたものはスイッチOTC(処方薬から市販薬に切り替わったもの)として市販されている。

例えば、薬剤師のいる薬局で対面販売に限って購入できる(通販不可)「要指導医薬品」として、ステロイド鼻噴霧薬のフルチカゾンプロピオン酸エステル(商品名:フルナーゼ点鼻薬)がある。通販が可能な「一般用医薬品」としては、ロラタジン(商品名:クラリチンEX、第1類医薬品)やフェキソフェナジン塩酸塩(商品名:アレグラFXなど)、エピナスチン塩酸塩(商品名:アレジオン20など)など(いずれも第2類医薬品)がよく知られている。「症状が出たときだけ飲みたい」という比較的軽症の人は薬局で買える薬でコントロールしてもいいだろう。

【市販薬では効果に満足できないときは】つらい症状が残るようなら医療機関に相談を

市販薬では効果に満足ができない場合は、医療機関で相談したい。医師は、血液を採取し花粉症の原因物質を探るアレルゲン検査で原因がスギ花粉なのか、ヒノキ花粉か、あるいはハウスダストかなどを明らかにした上で、患者の鼻腔粘膜や目の結膜などの状態を総合的に判断して治療法を提案する。

現在、治療の基礎となるのは第2世代の抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン薬などの飲み薬だ。こうした薬は症状が少し出たタイミングで飲み始めると症状が軽くなるといわれる(このような予防治療を「初期療法」と呼ぶ)。もちろん、初期療法などを行っても、花粉の飛散量が多く、症状が出てしまったときは、薬の種類を変更し自分に合った薬を探ることも大切だ。

なお、医療用医薬品では、より効果が強く、副作用としての眠気が少ない抗ヒスタミン薬や抗ロイコトリエン薬の新薬が登場し、治療の選択肢が増えている。

例えば、2016年に登場したデスロラタジン(商品名「デザレックス」)は副作用としての眠気がより少ないもので、自動車の運転などをする人に向いている。また、エメダスチンフマル酸塩貼付薬(商品名「アレサガテープ」)は、効果も眠気も強い成分を皮膚から徐々に吸収する貼り薬にすることで、効果が持続し眠気も少ない医薬品として開発された。また、鼻づまりの強い患者のためには、抗ヒスタミン薬に鼻づまりを軽減する成分を配合したものもある。それぞれ効果に個人差があるのでじっくり自分に合った薬を探すことが重要だ。

また、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染が心配で医療機関にできるだけ足を運びたくないという人は、オンライン診療を利用するのも一策だ(オンライン診療については次ページ下のコラムを参照ください)。

従来薬で改善しなければ「ゾレア」を検討

飲み薬で十分な効果が得られない場合は、ステロイド鼻噴霧薬が有効なことも多い。これらを使用しても効果が不十分な場合、従来はステロイド内服薬と抗ヒスタミン薬の配合薬(「セレスタミン」など)も用いられてきたが、悪心・吐き気・下痢などの消化器症状や倦怠感、満月様顔貌(顔に脂肪が沈着し、満月のように丸くなった状態)などステロイドがもたらす副作用が問題だった。そこに置き換わる有望な薬として登場したのが冒頭でも触れた注射治療の新薬「ゾレア」だ。

花粉症に限らず気管支ぜんそくやじんましんなど多くのアレルギー性疾患に有効だと考えられる「ゾレア」だが、花粉症での使用に当たっては「最適使用推進ガイドライン」が設けられている。新薬であるため慎重な投与が求められているわけだが、従来の薬物治療で十分な患者に高額な薬剤が使われるのを防ぐのも狙いの一つだと考えられる。同ガイドラインによると、「ゾレア」が使用できるのは主に次の2つの条件を満たす場合だ。

(1)スギ花粉に特異的なIgE抗体が認められること

使用の基準の一つは、スギ花粉特有のアレルゲンに対する血液中のIgE抗体(血清特異的IgE抗体)の量が一定以上(クラス3以上)であること。西日本ではヒノキ花粉の影響が大きい患者も多いが、ヒノキ、スギ両方のIgE抗体を持っていることが多いのでスギ花粉の血清特異的IgEの量が基準を満たしていればゾレア治療を行える。

(2)既存の薬剤を1週間以上使っても症状が改善しない

重症または最重症の患者で、抗ヒスタミン薬やステロイド鼻噴霧薬による治療を1週間以上行っても症状が改善されない場合。なお、「ゾレア」を使用しても抗ヒスタミン薬の併用は続ける。

治療開始後2週間で効果が得られる

こうした条件に当てはまる患者に対しては「ゾレア」による治療が行える。治療は、体重に応じて決められた量を2週間または4週間に一度皮下注射する。そして、その効果は2週間ほどで表れる。

効果が出るまでに2週間かかる理由について、大久保教授は次のように解説する。「ゾレアは、血液中のIgE抗体が肥満細胞と結合するのをブロックする薬剤で、いったん肥満細胞に結合してしまったIgE抗体には作用しない。ゾレアを使用する前にIgE抗体と結合して活性化された肥満細胞が2週間ほどかけて新たなものに置き換わる(ターンオーバー)ことで、IgE抗体の結合した肥満細胞がなくなるのです」

ゾレア(オマリズマブ)による鼻症状の改善

その効果は上のグラフで示した通り。花粉飛散前の鼻症状のスコアが3点台であったが、飛散後は従来の治療だけの群(基本治療の群)では最大7点近くに悪化。それに対して「ゾレア」治療を併用した群ではピーク時が5点未満で、治療開始2週間後には飛散前の状態(3点程度)に戻っている(0点でないのは、アレルギー性鼻炎ではない人でも、くしゃみや鼻水などが出ることがあるため)。

昨シーズン、「ゾレア」の発売はシーズンぎりぎりになったが、大久保教授によると、治療を受けた患者は全国で数千人。多くの患者が「新薬のおかげで快適な日常を取り戻せた」と話しているという。

その有効性は患者の間でも知られつつあるようだ。例えば工場で機械作業をする人など、重い花粉症状が仕事に支障をきたす人の場合、これまでは、重い副作用があるため専門医が推奨しないステロイドの筋肉注射などを行うクリニックを受診することもあったが、「ゾレア」登場後は、「重い副作用を避けたいのでゾレアを使ってみたい」と相談に訪れることも多いという。

治療については経験の豊富な医師に相談を

前編でも述べた通り「ゾレア」の価格は薬価引き下げ後も1本当たり3万円(3割自己負担の場合は薬剤費のみで約9000円)と決して安くはないが、これまで重い花粉症の症状で1年のうち何カ月も生活を楽しめなかった患者にとって「ゾレア」は期待の新薬といえそうだ。

知っておきたい!花粉症におけるオンライン診療・電話診療

コロナ感染を防ぎながら治療薬を処方してもらうのに便利



 新型コロナウイルス(COVID-19)の感染が再び広がりを見せるなか、政府による特例措置もあり、オンライン診療や電話診療が広まりつつある。月1~2回以上の注射が必要な「ゾレア」治療は適用にならないが、いつも通りの飲み薬をわざわざ医療機関に足を運ばずとも処方してほしいという人には便利なシステムだ。

 オンライン診療や電話診療を受ける場合、花粉症の薬をいつも処方してもらっている医療機関があれば、まずそこに対応しているかどうかを問い合わせてみよう。今シーズン、初めて花粉症でつらい思いをする人や、薬局で購入できる市販薬の効果が十分でなく医師に相談したいという人は、厚生労働省が公表している「対応医療機関リスト」[注1]などで近くの医療機関を探すことができる。

 オンライン診療や電話診療の対象者や具体的な診察内容、医療費の支払いの方法などは医療機関によって異なる。オンライン診療の場合は多くの場合、スマホ用のアプリ(オンライン診療システム)などをダウンロードし必要な個人情報を入力。アプリから診察の日時を予約すると医師からアクセスがあり診療が開始される。

 処方箋は医療機関から患者の希望した薬局にファクスで送信され、薬剤師から電話などで必要な服薬指導を受けたり、「お薬手帳」の画像による「飲み合わせの確認」などを経た後、薬局から薬が配送される。医療費は初診料、再診料が対面診療と異なるほか、システム利用料が加算される場合もある。

オンライン診療の流れ


治療効果を見極めながら適切な花粉症治療を



 注意したいのは、オンライン診療は特例措置ですべての疾患が対象になったとはいえ、向いている疾患とそうでない疾患があることだ。花粉症の場合は複雑だ。市販薬で症状をコントロールできる人も多い「ありふれた病気」であると同時に、患者によって症状が異なる「やっかいな病気」でもあるからだ。治りにくい患者に適切な治療を行うためには、鼻粘膜を観察したり血液を少量採取するアレルゲン検査を行ったりすることが必要だ。

 大久保教授は「花粉症のオンライン診療は、使用経験の長い処方薬で症状がなくなるような軽症の人であれば、時代の流れにそぐう措置であるともいえる。今後、より適切な問診を可能にするためのツールの開発も進むだろう」と示唆する。しかし、過去の治療で満足のいく改善が見られなかった症状を今シーズンも引きずったまま他人に迷惑をかけたくないし、自分のコロナ感染リスクも高めたくないという人であれば、感染対策をした上で花粉症の治療に積極的な医療機関で対面診療を受けるのがいいだろう。

厚生労働省の「対応医療機関リスト」[注1]

[注1]https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/rinsyo/index_00014.html

(文 荒川直樹、図版制作 増田真一)

[日経Gooday2021年1月13日付記事を再構成]

大久保公裕さん
日本医科大学大学院医学研究科 頭頸部感覚器科学分野 教授。1984年日本医科大学卒業、88年同大学院修了。89~91年米国国立衛生研究所(NIH)アレルギー疾患部門へ留学。日本医科大学付属病院耳鼻咽喉科部長、日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会理事長、奥田記念花粉症学等学術顕彰財団理事長、日本耳鼻咽喉科学会代議員。専門は鼻科学、アレルギー学、鼻科手術。

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