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有森裕子 リアルのマラソン大会は開催されるのが奇跡

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NIKKEI STYLE

日経Gooday(グッデイ)

明けましておめでとうございます。例年とは勝手が違う年明けになりましたが、皆さんゆっくり休まれたでしょうか。1日も早く健康で安心して暮らせる日々が戻ることを祈っております。首都圏や関西など11都府県に緊急事態宣言が再び発出され、油断できない日々が続きますが、引き続き健康に気をつけて過ごしていきましょう。

オンライン大会に参加したことで「歩く」が習慣に!

2020年は新型コロナウイルスで、東京五輪も含め、多くのマラソン大会やランニングイベントが延期・中止になりました。一方で、オンラインで参加できるマラソン大会が開催されるなど、新たなランニングの楽しみ方が登場しました。私が理事長を務める「スペシャルオリンピックス日本」[注1]でも、2020年10月からオンラインマラソン「スペシャルオリンピックス日本 オンラインマラソン2020」[注2]を開催(詳しくは「有森裕子 実況付きで『オンラインマラソン』は楽しい」)。おかげさまで多くの方に参加いただき、おのおのが生活されている地域でランニングやウオーキングを楽しんでいただけたようです。参加者が走ったり歩いたりした合計距離は早々に日本1周を達成し、最終的には24万7222kmに到達したところで、約2カ月間のイベントを終えました。

私もこの取り組みのおかげで、今まで以上に歩く習慣が身につきました。時間があれば目的地までの距離を調べて歩くようになり、東京・西新橋から阿佐ヶ谷まで約16kmの道のりを約6時間かけて歩いたりもしました。途中でいろいろ寄り道をしながらでしたが、このときの合計歩数は2万1200歩を超えました。オンラインマラソンは初めての試みでしたが、今後も定期的に開催してもいいかなと思ったぐらい楽しいイベントでした。

参加者を限って開催した「奈良マラソン」ではどんな工夫が?

一方で、手探り状態の中ではありますが、リアルの大会も少しずつ再開しています。その1つが、私が毎年12月に参加している「奈良マラソン」です。2020年は、参加者がフルマラソン、ハーフマラソン、10kmを思い思いのコースで走ってタイムを測定する「奈良マラソンONLINE 2020」を開催し、それとは別に、12月12日、13日に「奈良マラソン KONOIKE 2020」というリアルな大会が開催されました。

1日目の12日は、「10分の1奈良マラソン」と称したオリジナル種目で、毎年走る奈良の町ではなく、奈良電力鴻ノ池パーク内の特設コース・約4.2kmを50分以内で完走するというものです。普段ならフルマラソンに1万2000人ほどが参加する規模の大会ですが、コロナ対策として定員を500人に限定し、1時間ごとに100人ずつの入れ替え制で、5回に分けてスタートしました。

ソーシャルディスタンスを確保するため、スタートも一斉ではなく、5人1列ずつ、数秒おきに距離を空けて走り始めます。もちろん事前の体調確認や検温を行い、スタート直前までマスクを装着し、ゴール後の集合はなくその場で解散するというルールも徹底していました。また、タイムは計測せず、純粋に走ることを楽しんでもらう大会にしたことで、ランナー間の距離も適度に保たれていました。

[注1]スペシャルオリンピックス日本:知的障がいのある人たちに、さまざまなスポーツトレーニングとその成果発表の場である競技会を提供する国際組織「スペシャルオリンピックス」の、日本国内での活動を推進する非営利組織。

[注2]知的障がいのある人もない人も関係なく、期間中に参加者全員の走った、もしくは歩いた総距離で日本を1周し、その後は世界1周を目指したオンラインイベント。2020年10月から12月中旬まで開催された。

 翌13日には、約42kmのフルと約21kmのハーフの距離のリレーマラソンが開催されました。1.7kmの周回コースを2~10人編成のチームでタスキをつないで走るというもので、私は号砲を担当したのですが、小学生から参加できるので、親子で楽しく走っていらっしゃる姿も見かけました。リレーマラソンの開催は初めてだったようですが、こちらでも密を避けるためにリレーゾーンを2つに分けるなどして対策が練られていました。

リアル大会の開催は関係する人たちの全面協力が必須

今回の奈良マラソンは、例年のように古都・奈良の文化財や町並みを眺めながら走るコースではありませんでしたが、パーク内の山の中を走るコースは緑豊かで美しく、奈良マラソンの名物でもある坂道も体験できるようになっていました。沿道の応援者がいない中、苦しい坂道の途中にはランナーへの応援メッセージが並べられていて、運営側も最低限の人数で対応できるように工夫されていたと思います。

本来、マラソン大会はタイムや順位を競うものですが、今回の奈良マラソンは、コロナ禍において安心安全を第一に、走る楽しみに重きを置いて企画が練られていました。コースの選定を含め、奈良マラソンの楽しさをぎゅっと凝縮したような大会になっていて、さすがものづくりの町だなぁと感心しました。私自身、久しぶりのリアルイベントでランナーの皆さんに直接声援を送れたことが楽しかったですし、何より参加者の皆さんが気持ち良さそうに走っていた姿が印象的で、とても良い大会だったと思います。

ただ、今回の奈良マラソンは成功に終わりましたが、「ここの大会が成功したのだから、リアルな大会をどんどん増やしていける」「うちの県も開催しよう」という流れになる状況ではまだないと思います。新型コロナウイルスの感染者が増え続け、変異したウイルスも国内に入ってきた今、リアルな大会を開催することがどれほど困難で、奇跡的なことであるかを念頭に置いた上で、開催するか否かを考えることが賢明だと私は思います。そして開催するのであれば、主催者やボランティアだけではなく、参加者も応援者も、大会に関係するすべての人々が全面的に協力する体制が取れることは必須になるでしょう。

実業団でもレース開催、トラック長距離は記録ラッシュに沸く

実業団の方では、2020年12月20日に、第39回山陽女子ロードレース大会が感染防止ガイドラインに基づいて開催され、私も増田明美さんと一緒に解説者として参加しました。私の地元・岡山の市街地を走るハーフマラソンは、東京五輪マラソン女子代表の前田穂南選手(天満屋)や一山麻緒選手(ワコール)が参加することで注目されていました。しかし蓋を開けると、一山選手が2km過ぎから先頭集団を引っ張ったものの、15kmすぎに国内の実業団に所属する外国人選手にスパートされて離されてしまい、結局、外国人選手が1位、2位を独占。日本人トップは一山選手の3位で、タイムも1時間10分17秒と、決して良いとは言えないものでした。前田選手は9位に終わり、心配に思った方もいたかもしれません。

4位以下の選手は、タイムに大きな差はなく団子状態でゴールしました。コロナのために大会が減ってしまい、実戦感覚が薄れて"様子見"だった選手が多かったのかもしれません。あるいは、練習ではスピードトレーニングをしていたけれども、久々の実戦でそのスピードが発揮されなかったことも考えられます。ただそんな中でも、もう少し前で思い切ってスパートし、自分を追い込める選手がいても良かったのではないかとも思います。

ただ、各選手がこのレースをどういう位置付けにして参加していたかで、結果の受け止め方も変わってきます。例えば、前田選手はこの大会をトレーニングの一環としてとらえていたように思います。増田さんの取材によれば、前田選手は毎年、米・ニューメキシコ州のアルバカーキで合宿を行い、アップダウンの激しいクロスカントリーコースを走り込むことで体幹を鍛えていました。体の大きい彼女がブレのない走りができていたのは、こうしたトレーニングの効果が大きいのだとか。

しかし2020年は、コロナで海外合宿ができず、近くに適したクロカンコースもないので、クロカントレーニングが減ってしまいました。そこで前田選手は、体幹が弱くならないように、監督の指示で体幹を鍛える筋トレと、鍛えた筋肉を走りにつなげるトレーニングを始めたばかりだったそうです。

筋トレで強化した筋肉を、走り(スピード)につなげるには時間がかかります。おそらく筋トレを始めたばかりの前田選手は体が重く感じられて、筋トレの成果をまだうまくスピードにつなげられていないのでしょう。そうした背景を知れば、タイムが伸びなかったのは当然とも考えられます。そんな体が重い中でも、レース前の記者会見で「自己ベストを狙います」と発言して大会に挑み、9位に食い込んだことは評価できるように思います。

実業団レベルの選手だけではなく、市民ランナーにも言えることですが、どんな選手でも出場するすべての大会で最高の結果を出すことは難しいですし、そこをあえて目指す必要もありません。本命の大会により集中して結果を出すためには、他のレースを実戦トレーニングとしてうまく活用することが大事です。例えば「このレースはラストスパートの練習にしよう」など、レース一つひとつの目的をどう定めるかがポイントになってくると思います。タイムや順位だけを見て、「五輪代表選手なのに、この結果で大丈夫なのか?」と心配するのではなく、本番に向けてそれぞれの選手が自分の課題に取り組んでいる過程であることを理解し、応援していただければと思います。

最後にトラックの話題にも触れておきましょう。2020年12月4日に開催された第104回日本陸上競技選手権大会・長距離種目は、東京五輪代表の選考会も兼ねていたため、選手たちの奮闘が目覚ましく、日本記録ラッシュとなりました。1万メートル男子は相澤晃選手(旭化成)、1万メートル女子は新谷仁美選手(積水化学)、5000メートル女子は田中希実選手(豊田自動織機TC)が、見事な走りで五輪の切符をつかみました。コロナ禍による世の中の変化に心揺さぶられることなく、勝負をかけた本番でしっかり結果を出してきたことに拍手を送りたいです。どのアスリートも今年の東京五輪が実現することを願いながら努力を重ねていることと思いますが、今後、どのような状況になっても、すべてを自分の力に変えてがんばれる強靭な精神と肉体を育んでほしいと思います。心から応援しています。

(まとめ 高島三幸=ライター)

[日経Gooday2021年1月12日付記事を再構成]

有森裕子さん
元マラソンランナー(五輪メダリスト)。1966年岡山県生まれ。バルセロナ五輪(1992年)の女子マラソンで銀メダルを、アトランタ五輪(96年)でも銅メダルを獲得。2大会連続のメダル獲得という重圧や故障に打ち勝ち、レース後に残した「自分で自分をほめたい」という言葉は、その年の流行語大賞となった。市民マラソン「東京マラソン2007」でプロマラソンランナーを引退。2010年6月、国際オリンピック委員会(IOC)女性スポーツ賞を日本人として初めて受賞した。

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