2021/1/18

アナフィラキシーは189万人中21人、大半はアレルギー歴あり

ファイザー・ビオンテック製ワクチンの接種で重篤なアナフィラキシーが起きた21人のうち、19人は女性で、半数は41~60歳(残りの半数は27~40歳)だった。17人は、食品、薬や他の種類のワクチンのほか、ミツバチやスズメバチの刺傷により過去にアレルギー反応を起こしたことがあった。7人にはアナフィラキシーの既往歴があった。

21人のうち18人は、接種後30分以内にアナフィラキシーの症状が現れた。そのほぼ全員が、ただちにエピネフリン(アナフィラキシーの一般的な治療薬であるエピペンの有効成分)の投与を受けた。入院が必要になったのは4人だけだった。21人のうち少なくとも20人は、20年12月23日までに完全に回復したか、退院していた。

これらの症例に地理的な集中は見られず、ワクチンのロットもばらばらであったため、ワクチンの汚染が問題だったという証拠はない。症例の研究はまだ初期段階にある。女性の症例が多いのは、実際に生物学的原因があるせいなのかもしれないし、調査期間中に接種を受けた189万人のうち62%が女性だったという事実を反映しているのかもしれない。

ファイザー・ビオンテック製とモデルナ製、リスクに差は?

現時点ではリスクに明確な差はない。単純な合計を比べれば、ファイザー・ビオンテック製ワクチンは米バイオ製薬モデルナのワクチンよりも多くのアナフィラキシーが発生しているが、CDCの関係者は、最初に承認された前者の方が調査期間中の接種人数が多かったからである可能性が高いとしている。

ファイザー・ビオンテック製ワクチンは調査期間中に189万3360回接種された。モデルナ製ワクチンの22万4322回の約8.5倍だ。さらに、モデルナ製ワクチンの接種が始まったのは20年12月21日で、調査期間の最後の3日間しか接種されていない。モデルナ製ワクチンの接種でアナフィラキシーが確認されたのは1例だけで、CDCはさらに多くのデータがそろうのを待っている。

ワクチン接種を受けるべきか?

記者会見でメソニエ氏とCDCワクチン評価チームを率いるトム・クラーク氏は、ワクチン接種を推奨される人は基本的に接種を受けるべきだと強調した。

まれなアレルギー反応が起きた場合に迅速に対応できるようにするため、ワクチン接種後は15分間観察する必要がある。アナフィラキシーや即時型アレルギー反応の既往歴のある人の観察時間は30分だ。

ファイザー・ビオンテック製の新型コロナワクチンは2回接種が基本だが、クラーク氏は、2回目の接種を受けるべきでない場合として2つの具体例を挙げる。

「1回目の接種で即時反応があった人は、2回目を受けるべきではありません。また、このワクチンの成分や、よく似た化合物に対してアレルギーがあることがわかっている人は、最初からワクチン接種を受けないことをお勧めします」。ワクチンの成分にアレルギーがあるかどうか不明な人は、接種を受ける前に医師に相談するとよい。

ファイザー・ビオンテック製とモデルナ製の新型コロナワクチンはどちらもメッセンジャーRNA(mRNA)とそれを保護するポリエチレングリコールを含んでいる。CDCは、ポリエチレングリコールにアレルギーのある人は、このタイプのワクチン接種は受けるべきではないとしている。ポリエチレングリコールに化学的に似ているポリソルベート(乳化剤として食品や化粧品などに使われる)にアレルギーのある人も同様だ。

CDCは、アレルギーに関する懸念がある人はワクチン接種前に医師に相談することを勧めている。

「幼少期に軽いアレルギー反応が出たことがある人と、1週間前に重篤なアレルギー反応が出た人では、大きな違いがあります」とメソニエ氏は言う。「臨床医が患者の判断を助けることが本当に重要になってきます」

(文 MICHAEL GRESHKO、訳 三枝小夜子、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2021年1月8日付]

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