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スパークリング日本酒 仏で広がる人気、なるか逆上陸

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若い世代に日本酒を飲んでほしい、食事やパーティーの乾杯に日本酒を使ってほしいと、地方の若い蔵元経営者や自治体トップが地道に働きかけている。日本酒の市場規模は2020年に約4500億円と、出荷数量ピークの1973年比で4分の1だが、関係者はシャンパン感覚で味わえるスパークリング日本酒を突破口に、海外展開に期待をかけている。

毎年、フランスで「Kura Master」と呼ばれる日本酒コンテストが開かれ、えり抜きの日本酒が純米大吟醸酒部門など6部門で覇を競う。2020年、同コンテストのサケスパークリング部門最高のプラチナ賞を獲得したのは、群馬県川場村の永井酒造が出品した「MIZUBASHO PURE」だった。

同社の人気純米吟醸酒「水芭蕉」から独自手法で生み出したスパークリング日本酒で、コンテストでも「初めての味わい」とフランス人審査員たちの関心を集めた。

永井則吉社長は川場村生まれの48歳。老舗蔵元の6代目になる。永井氏がフランスに目を向けたきっかけは、日本で進む若者の深刻な日本酒離れだった。ピークの4分の1まで落ち込んだ日本酒の需要を支えているのは60歳代の男性だ。若い世代はビールやハイボールを好み、日本酒の人気は薄い。

一方、ワインの市場規模は世界で20兆円。この1%でも取れれば、日本酒市場の規模は5割増となる。フランスなど欧州では日本食の人気が根強く、健康志向にも合うため富裕層に浸透している。

永井氏は彼らが日本食を味わう時、ワイン代わりに日本酒を飲んでほしいと考えた。食前酒としてスパークリング日本酒、食中に大吟醸酒、食後にデザート日本酒と取りそろえ、フランスのソムリエに認知させることが大切だ。

そして欧州での日本酒人気が逆上陸すれば、日本でも「日本酒はおしゃれ」との感覚を持つ若者が増えるかもしれない。永井氏は「中国、台湾、韓国では20歳代の若者が日本酒を飲み始めた。欧州でも浸透すれば、日本の若い世代の関心も高まる」と期待を寄せる。

しかし大吟醸酒をスパークリング日本酒に進化させるのは簡単ではなかった。永井氏は5年かけ、その間700回以上失敗を重ねた。アルコールが発酵する際に発生する炭酸ガスを封じ込めることでスパークリング日本酒になるが、これが難しく、1000本以上の酒瓶を破裂させたという。

甘味を出すのも苦労した。砂糖などを添加すると日本酒のカテゴリーから外れるため、麹(こうじ)の力で米本来の甘さを引き出す必要があったからだ。

大手メーカーも若者に目を向けている。宝酒造が11年に発売したスパークリング清酒「澪」は、累計販売7000万本のヒット商品だが、このほど元スケート選手の浅田真央さんをアンバサダーに任命した。若い世代への一段の浸透を図るためだ。

行政も日本酒振興に動く。日本酒で乾杯を呼びかける京都発の運動は地道な広がりを見せた。京都市の門川大作市長は13年、地元酒造組合の発案を引き取り「京都市清酒の普及の促進に関する条例」、通称「日本酒で乾杯条例」を打ち出した。以来、日本酒で乾杯することの関係条例は約80の市町村で制定された。

新型コロナウイルス感染症の拡大前、京都市役所では職場関係の飲み会、食事会や対外パーティーでは最初の乾杯は必ず日本酒だった。門川市長は「日本酒で乾杯条例から7年、だんだんと日本酒を身近に感じてくれるようになった」と語る。ハレの場の飲み物というイメージが強い日本酒を、日常場面でもっと使ってほしいとの思いが強い。

第2次世界大戦前、スパークリング酒の先輩であるフランスのシャンパンの輸出比率は10%程度だったが、今では70%以上だ。

日本酒も、若い蔵元経営者や自治体、酒造会社など担い手がスパークリング日本酒の新しい魅力を発信して海外向け需要を伸ばし、国内では若い世代に浸透させれば、先行きは暗くない。コロナ禍で一時的に飲み会は減っているが、収束後には日本酒で乾杯してみるのも悪くないだろう。(編集委員 鈴木亮)

[2021年1月9日付日本経済新聞夕刊]

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