明治、大正、昭和、平成、令和……。明治以降、元号は皇位継承があるたびに改められてきたが、果たして元号の改正と人気の名前との間に何か関連性はあるのだろうか? 明治安田生命保険が公表している過去109年間の新生児名の人気ランキングを分析すると、興味深い現象が浮き上がってくる。
大正は「正一」「正二」「正三」… トップテンの半分が改元効果
まずは男児名から調べてみよう。明治以降、元号改正があったのは明治から大正、大正から昭和、昭和から平成、平成から令和の計4回。その改元直後の人気トップテンの推移をまとめたのが表である。大正、昭和、平成、令和と時代を経るにつれ、改元との関連性が徐々に薄れている様子が読み取れる。
明治から大正への改元では、大正の「正」と年号を組み合わせた「正一」「正二」「正三」が大正元年、2年、3年でそれぞれ首位に浮上。「正雄」「正」「正治」「正夫」「正男」も次々とトップテン入りした。改元効果がトップテンのほぼ半分を占める勢いだ。
日清戦争や日露戦争の勝利を経て、日本が国際舞台で力強く躍進してゆく時代。モダンな西洋文化や大正デモクラシーも花開き、人々は改元の契機を積極的に名付けに取り入れ、時代の新たな変化や荒波を乗り越えていこうという風潮が強かったようだ。正義感や礼儀正しさを重んじる当時の気風にもうまく合致していたと考えられる。
昭和も「昭一」「昭二」「昭三」… 「和夫」も上位に
大正から昭和への改元でも、同じように名付けへの影響が見て取れる。
1926年における昭和元年は計7日間しかなかったのであまり影響が出ていないが、昭和2年、3年では改元の影響がはっきりと浮かび上がる。昭和の「昭」と年号を組み合わせた「昭二」「昭三」が昭和2年、3年にそれぞれ首位に浮上。「昭一」も上位に食い込んだ。また「昭」「和夫」もトップテンに顔を出すなど、改元は名付けの有力な材料やヒントになっていたようだ。
俳優の中山昭二さん(昭和3年生まれ)、小沢昭一さん(昭和4年生まれ)、小林昭二さん(昭和5年生まれ)らはその代表例かもしれない。