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ドローンの活用などスマート農業の進展が生き残りのカギを握る

ドローンの活用などスマート農業の進展が生き残りのカギを握る

よく目にする経済ニュースについての疑問に日経の記者が基礎からわかりやすく答える書籍シリーズ「Q&A 日本経済のニュースがわかる!」(日本経済新聞出版)。最新の2021年版からキャリアづくりに参考にしたい気になるテーマを厳選して紹介します。6回目は、農林水産業について解説します。

Q 日本の農林水産業はどのようにして生き残りを図りますか?
  
A スマート農業などの技術の発展を追い風に経営力のある担い手を増やす必要があります。貿易自由化は海外への販売を伸ばすチャンスでもあります

低さが目につく日本の食料自給率

農林水産省によると、2018年度の食料自給率はカロリーベースで37%、生産額ベースで66%でした。海外に目を向けると、17年のカロリーベースの自給率は米国が131%に達し、欧州の主要国もフランスの130%を筆頭に60%前後には届いています。生産額ベースでも米欧の主要国の多くが70%を上回っており、日本の低さは目につきます。

50年前の1968年度時点ではカロリーベースで65%、生産額ベースで91%あり、そこから下落傾向が続いています。近年こそ低下のペースは緩やかになっていますが、2015年に打ち出した、25年度にそれぞれ45%、73%に引き上げる目標の達成は容易ではありません。

自給率が低下した理由の1つは貿易自由化です。1980年代からの日米協議や94年に妥結した関税貿易一般協定(GATT)の多角的貿易交渉(ウルグアイ・ラウンド)を通じ、農林水産品の関税引き下げなど輸入自由化が進みました。

近年も2018年12月発効の環太平洋経済連携協定(TPP)、19年2月発効の日欧経済連携協定(EPA)、20年1月発効の日米貿易協定により、輸入関税が引き下げられたり、低関税で輸入できる枠が広げられたりしています。牛肉や豚肉など自由化された農産物は輸入が拡大する傾向にあります。

農林水産業に従事する人の減少や高齢化も無視できません。耕地面積と農産物販売額が一定以上の「販売農家」は19年に113万戸となり、2000年の半分以下の水準です。農業が「仕事の主」という基幹的農業従事者の平均年齢は19年時点で66.8歳となっています。

こうした厳しい状況を乗り越え、日本の農林水産業の生き残りを図るには、経営体力や技術力、消費者の需要を読む力などを1つでも多く備えた担い手を増やして競争力を高めるしかありません。

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