正月太り解消のため積極的にとりたい食材は?
肉のどの部位を選ぶかや、調理法にも留意することが大切だということはよく分かった。
それでは、休み明けに、正月太りを効果的に解消させ、かつ確実にカロリーをコントロールするには、どういった食材を取り入れた料理がいいのだろうか?
「お正月明けにお勧めなのは、とにかく野菜です。『野菜のシャワー』でカラダを満たすようなつもりで、野菜をたくさんとりましょう。たんぱく質に加え、野菜の食物繊維を多くとると、胃や腸に長くとどまることもあり、満足感が長く続きます。特に、きのこ類はお勧めです。食物繊維が豊富な上に、アルコールや脂質の代謝に必要なビタミンB群も豊富。また、納豆、めかぶ、オクラのようなネバネバ系は、糖質の吸収を抑え、血糖値の上昇を穏やかにする効果があります。おつまみとしても人気の枝豆もダイエットの強い味方。糖質をエネルギーに変えてくれるビタミンB1、食物繊維、たんぱく質もたっぷりです」(岸村さん)
正月太り解消のため取り入れたい食材

年末年始に酒のシャワーを浴びた人は、正月が明けたら野菜のシャワーでリセットを。野菜をとる量の目安は「1食あたり、両手のひら1杯分以上」だと岸村さんは言う。きのこ類やめかぶ、オクラ、枝豆なども、つまみとしてもうまく取り入れたい。
結局、酒は「エンプティカロリー」なの?
正月太りの原因について話を戻すと、岸村さんのお話をいろいろと伺った結果、酒というよりはつまみのほうに問題があるのではないか、と感じた。確かに、酔っぱらって歯止めが利かなくて食べ過ぎてしまう場合もあるだろう。「アルコールはエンプティ(ゼロ)カロリー」という説も、酒飲みの間ではいまだに信じられている。酒自体のカロリーは、どれぐらい気にしたほうがいいのだろうか?
「お酒はエンプティカロリーと言われたりしますが、アルコールは1g当たり7kcalのエネルギーがあります。一説では、アルコールはエネルギーとして使われやすいので、その7kcalをそのまま摂取カロリーとして計算しなくてもよい、という考え方もあるようですが、新しくなった食品成分表(八訂)でも、アルコールはやはり1g当たり7kcalとして計算されるように記載されています」(岸村さん)
1g当たり7kcalと言うと、脂質よりはカロリーが低いが、糖質やたんぱく質よりは高い。ましてや、ゼロ(エンプティ)ではない。
「さらに、糖質が含まれているお酒は血糖値を上げることで、中性脂肪を蓄えやすくします。また炭酸入りのお酒も注意が必要です。炭酸の消化促進効果と、アルコールの酔いによって、気づかぬうちに食べ過ぎていることも多々あるからです」(岸村さん)
どうやら「酒はエンプティカロリー」は酒飲みの都合のいい解釈だったようだ。この件については、今後、この連載でまた掘り下げていきたい。
そして、正月太りを本気で解消したいと思うなら、食事のカロリーコントロールと内容の見直しだけでなく、酒量も考慮しないと結果は出そうにない。事実、私の周りでも酒量を減らすことに成功した結果、やせることができた人が多く存在する。
正月太りに限ったことではなく、体重のコントロールは健康維持、そして長~く酒を飲み続けるためにも必須だ。ここはひとつ、奮起せねばなるまい。
次回は、酒飲みにぴったりなダイエット方法を、食事や生活面でのアドバイスを中心に、引き続き岸村さんに伺っていく。
(文 葉石かおり=エッセイスト・酒ジャーナリスト、図版制作 増田真一)
[日経Gooday2020年1月8日付記事を再構成]
