正月太りの正体 酒の飲み過ぎ? それとも食べ過ぎ?

日経Gooday

お正月太りの原因は、おせち料理なのか、酒の飲み過ぎなのか……。 (c)kappachan-123RF (c)wnaoki-123RF
お正月太りの原因は、おせち料理なのか、酒の飲み過ぎなのか……。 (c)kappachan-123RF (c)wnaoki-123RF
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お正月の休みが明けて体重計に乗ると、明らかに体重が増えている、ということはないだろうか。こうした「正月太り」は、酒の飲み過ぎが原因で起こるのか。それとも、おせち料理などの食べ過ぎが原因なのか。そして、正月太りを解消するためには、どんな食材をとるといいのか? 酒ジャーナリストの葉石かおりが、管理栄養士で大人のダイエット研究所代表の岸村康代さんに話を聞いた。

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年始明けに怖いもの、それは体重計である。

年末に仕事を納めた後の解放感、そして「お正月だからいいか」という悪魔の言葉のダブル攻撃によって、戒めから解き放たれた酒飲みの食欲&酒欲はとどまることを知らない。

特に正月は、「飲んでください」とばかりのアテが並ぶおせち料理がトリガーとなる。暖房の効いた暖かい部屋で、ゴムのパンツをはいて朝からおせちをつまみながら飲む酒といったらもう……。この甘やかし状態を三が日にわたって繰り広げるのだから、太らないワケがない。そして1月4日の朝、体重計に乗って悲鳴を上げるのが恒例となっている。

いや、「恒例」とか言っている場合ではない。普段せっかく厳しい体重管理をしているのに、たった数日間で、その努力が水の泡になってしまうなんて! いったい、太るのは酒が原因なのか、正月料理の食べ過ぎが原因なのか。ここはもう、ダイエットのプロに、正月太りの原因と、それを解消する方法について指導していただくしかない。数千人のダイエット指導を行ってきた管理栄養士で、大人のダイエット研究所代表の岸村康代さんにお話を伺った。

おせち料理の「味付け」に秘密が…

先生、すっかり“巨大化”してしまいました(涙)。年末年始って、どうしてこう太るんでしょう?

「ズバリ、食べたり飲んだりして摂取したエネルギーの量と、体を動かして消費したエネルギーの量のバランスが悪いのです。普段は、通勤などで歩いたり、駅の階段を上り下りしたりしていますが、年末年始はそれがなくなり、運動量がぐっと少なくなります。それに加え、お休みなので時間もあります。暇を持て余すと、口さみしくなって、つい食べてしまう。動かないのに、必要以上に飲んだり食べたりする。これが太ってしまう原因です」(岸村さん)

うう、耳が痛い。分かっていても、年末年始は欲望が抑えられなくなる。さらに今は、新型コロナウイルスの影響でステイホームが良しとされているので、外出しなくなり、ますます運動量は減るばかりである。

動かないのにだらだら食べてしまうのに加え、おせち特有の味付けもまた、正月太りを促進する「負のループ」を作ってしまうという。

「おせちは、伝統的な日本の料理なので、ヘルシーなイメージを持つ人もいるかもしれません。でも実は、保存が効くようにしょうゆや砂糖を使って濃いめに味付けされているものが多く、糖分と塩分を多く含む料理なのです。糖分はご存じのように血糖値を上げ、中性脂肪をため込みやすくします。塩分をとり過ぎると、体は塩分濃度を一定に保とうとして、それを薄めるために水分をため込むので、むくみの原因になります。甘辛い味付けはお酒もご飯も進みますし、酔えば食欲に歯止めが利かなくなることも。『糖分+塩分』は究極の太る味付けセットなのです」(岸村さん)

おせちに限らず、甘辛い味付けの料理は本当に酒に合う。正月太りを解消したいならば、すき焼き、照り焼き、煮物などにも注意したほうがよさそうだ。

肉の部位の選び方や調理法にひと工夫でカロリーダウン

「注意していただきたいのは、糖分、塩分だけではありません。脂質もです」と岸村さん。

三が日が明け、いざ正月太りを解消するためにダイエットを始めようと思うなら、甘辛い料理を避けるだけでは不十分だ。最近は、ご飯などの糖質を控えめにする「糖質制限ダイエット」が人気だが、岸村さんによると、糖質を控えた結果、脂質をとり過ぎては意味がないという。

「ダイエットというと、糖質制限を思い浮かべる方が多いのですが、脂質にも注意しないと、思うように体重が減りません。脂質は1g当たり9kcalです。糖質とたんぱく質はいずれも1g当たり4kcalなので、その倍以上もあります。糖質制限をしていても、アブラたっぷりの豚バラ肉や皮つきの鶏肉を食べていたらやせにくくなります。また脂質を多くとると胃腸に負担がかかり、腸内環境を悪化させます。さらに、脂質の多い食事をしていると悪玉のLDLコレステロールが増える場合があり、動脈硬化や心疾患のリスクへとつながるのです」(岸村さん)

ダイエットという観点からは、「お肉」と大きくひとくくりにせず、部位の選び方や調理法にも注意してほしい、と岸村さんは話す。

実際、肉は部位によって大きくカロリーが異なる。豚バラ肉と豚ヒレ肉では、同じ200gであっても、豚ヒレ肉のほうが500kcal程度も低い(『日本食品標準成分表2020年版(八訂)』を基に計算、以下同)。また鶏むね肉の場合は、250gの皮つきと、210gの皮なしでは120kcal程度も差がある。

岸村さんによると、これは魚にも言えることで、「同じまぐろ100gでも、赤身とトロ(脂身)では200kcal程度の差があります(くろまぐろ、天然の場合)」とのこと。ちりも積もれば山となる、カロリーも積もれば脂肪となってしまうのだ。

部位によってカロリーに差が出る

『日本食品標準成分表2020年版(八訂)』を基に計算

「調理法でもカロリーに大きな差が出ます。揚げ物は、素揚げ、唐揚げ、かき揚げなどの天ぷら、という順番にカロリーも脂質も高くなっていきます。揚げ物は絶対にダメというわけではなく、お酒のおつまみだったら、唐揚げよりも小エビの素揚げにするとか。唐揚げやかき揚げは、“ごほうび”としてたまに食べるとか、量を少なめにして食べるようにするだけでも、摂取カロリーが変わっています」(岸村さん)

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