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おでんがシチューに遭遇? 寒い冬にジンワリと染みる

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おでんは、実に多様性がある食べ物だ。

だしを効かせたあっさりとした関西風、濃口しょうゆを使いながら、さっぱりと仕上げた関東風、みそ文化で生まれた名古屋圏のみそおでん、だしが真っ黒でタネが串に刺さっている静岡おでん。全国各地に「ご当地おでん」があると考えても良い。この30年はそこにコンビニやスーパーなどの小売店も力を入れており、「おでん戦国時代」とも言えるほど。

酒場では、古くからメインのつまみの一つではあるが、そこに新しい切り口でおでんの多様性を広げようとしている店がある。「おでん屋 たけし」。現在都内では、池袋、有楽町、新橋、新宿御苑に4店。ほかに大阪・なんばと、群馬・桐生に店がある。

このおでん酒場の面白さは、だしに凝っていることだ。多くのおでんはカツオだしとコンブ主体だが、「たけし」は、九州地方でよく使われる「あごだし」がメイン、そしてサブが「鶏だし」だ。野球で言うところの「インハイ」のような攻めたラインアップとなっている。

あごだしの商品は、焼いたトビウオからとっただしを使ったもの。静岡名物の黒おでんほどではないが、結構、色が濃いめ。だが、食べてみると、塩っ気はさほど強くない。ダイコン、がんもどき、練り物、卵など定番商品は、こちらで煮る。

そして、もっと攻めているのは鶏だしだ。鶏だしおでんを提供している店は、そこそこあり、比較的、鶏の濃いうま味を生かしながら、クリアに仕上げているケースが多い。ところが「たけし」は、ラーメンの世界で一つのジャンルを確立している「鶏白湯(とりぱいたん)」スープより、さらに濃度があるタイプ。味わうと、どこか和風味を感じるが、印象は、ほぼシチュー。「これは、おでんとシチューの融合や?!」

店の一押しは、「骨付き鶏」。鶏モモ肉を事前に煮込んで、ホロホロになった状態で、鶏だしと合わせて提供する。980円と少し高いが、ボリューム感があり、2人でシェアしてもよい量だ。これは完全にシチューの世界と思う。「ロールキャベツ」(250円)も同様だ。おでん酒場という店でなく、別の場所や自宅で出されたら、食べ手は間違いなくシチューと思うだろう。

小憎いのは、この濃厚鶏だしと、野菜とうまく合わせている点だ。「ヤングコーン」(200円)、「春菊」(220円)、「玉葱」(250円)がラインアップされており、注文が入ると、野菜と鶏だしを合わせて煮ている。古い考えでは「おでん」ではないのだが、これがなかなか良い。かつてトマトおでんに遭遇した時には「これはスゴイ」と驚いたが、このやり方は「アリ」だ。当然だ。シチューと野菜は相性が良い。「春菊」は、オススメだ。

この鶏だし、濃度が高いためか、メインのおでんと違い、小さなおでん鍋で緩やかに加熱し、注文があると、そのだしを取り出し、鍋で具材と合わせて加熱し、提供している。煮詰め過ぎて、味が濃くなったり、焦がしたりする危険性に配慮しているのだろう。

店は、比較的小ぶりだ。カウンターがドーンとあり、そこにあごだしのおでんが入った、1メートル近い大きな赤銅の鍋が鎮座する。いわゆるおでん店の伝統的な風情だ。老舗系は、ほとんどこうしたプレゼンテーションを実施しているが、それを踏襲している。カウンターの外は、テーブル席だ。一人飲みをするなら、早めの時間に訪店し、おでん鍋の目の前に陣取るのが楽しいだろう。

鍋前にいる恩恵は、店のスタッフの動きがよく分かることだ。見ていると、水分の蒸発に合わせて、追加のだしを注いでいるのが、意外に頻繁なのがわかる。調理担当のスタッフも30分おきには、だしを小皿に入れて味見している。煮詰め過ぎるのをチェックしているのだろう。これも店を訪れる「おいしさ」の一つだ。

ただ、決して安くない。名物と銘打った高額品以外は、あごだし系のスタンダード品が、最低1品180円から280円。鶏だし系は、200円から380円だ。実はドリンクもさほど安くなく、「角ハイボール」が450円、スタンダードの「酎ハイ」が420円だ。軽く飲んでつまんで3000円というところだろう。

まあ、おでんをメインとする老舗や有名店は、もっと高いところが多いから、それに対しては、リーズナブルと言えるのだろうが、大衆酒場のような「安さ」を求めて入ると、少しガッカリ感があるかもしれない。ここはあくまでおでんの新しさを楽しむ「おでん酒場」なのだ。

経営するのは、たこ焼き店「築地 銀だこ」を経営するホットランド。「なぜ、たこ焼き屋がおでん?」という疑問は当然だが、ホットランドは数年前から酒場業態の展開に力を入れている。

「銀だこハイボール酒場」がその第1弾。だが、すでに60店を展開している。その次として、白羽の矢を立てたのが、俳優の伊原剛志が創業して成功したお好み焼き・鉄板焼きの「ごっつい」。2018年10月に買収している。その後に開発したのが「おでん酒場」である「たけし」だ。

おでんは冬季商品としてのイメージが強いが、コンビニでは8月から9月にかけて、販売を始める例が多くなっている。通年商品に近づいているのだ。老舗や個人店でおでんを売りにする店は少なくないが、高価な印象がある。そこにチャンスを見いだしたのだろう。そして、おでんなら仕込みが容易で、現場調理を極力減らせる可能性がある。

ホットランドは、たこ焼きという商品をメインに全国展開した稀有(けう)な企業だ。ただし、既に国内で約460店を展開し、出店余地がなくなっている。そこで海外展開を図るとともに、国内では酒場業態を広げている。酒場業態を取りまとめる部門をギンダコスピリッツとして別会社にし、さらなる展開も意図している。「銀だこハイボール酒場」を大衆化した「銀だこ大衆酒場」や、ホットランドが持つ業態をフードホール風に集合させた「銀だこハイボール横丁」も出店してきた。

これまでおでんをメインにチェーン化した企業はない。その点、この挑戦には拍手を送りたい。ただ、まだ大繁盛とは行っていないことも事実だ。まあ、そんな堅苦しいことを言わず、おでんそのものを手軽に楽しむには、良い店と思う。特に、鶏だしで野菜を炊いたメニューは、とても良い。テークアウトにもなじむし、だしそのものを販売できる可能性を秘めている。

シチューっぽい「おでん」。一度試してみてはいかがだろうか。

(フードリンクニュース編集長 遠山敏之)

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