コロナ広げる?花粉症 今季は強力な対策「助っ人」もウィズコロナ時代の花粉症対策(上)

くしゃみをする、目をこする、といった花粉症患者の動作は、新型コロナの拡大につながりかねないという。では、どんな対策を打てばいいのだろうか。写真はイメージ=PIXTA
くしゃみをする、目をこする、といった花粉症患者の動作は、新型コロナの拡大につながりかねないという。では、どんな対策を打てばいいのだろうか。写真はイメージ=PIXTA
日経Gooday(グッデイ)

2021年春の花粉飛散量は、広い範囲で昨シーズンより多くなりそうだ。花粉症の症状が引き起こす、くしゃみをする、目をこする、といった動作は、新型コロナウイルス感染症の拡大につながりかねない。そのため、今季はこれまで以上に徹底した花粉症対策が必要だ。心強いのは、従来の薬では十分な効果を得られなかった重症患者にとって強力な「助っ人」が登場したこと。2019年末に花粉症の新薬として新たに認められた抗IgE抗体医薬「ゾレア」だ。一体どんな薬なのか。ゾレアを中心に2021年の花粉症対策を2回に分けて紹介する。

昨シーズンより花粉飛散量は多くなる

新型コロナウイルスの感染拡大が止まらないなか、また花粉の季節が近づいてきた。日本気象協会などの発表によると2021年春の花粉飛散量(スギ、ヒノキ、北海道ではシラカバ)は例年よりは少ないものの、昨シーズンより多い地域が多数ある。

(2020年比、日本気象協会 ※2020年12月9日の第2報より)

花粉症の人の割合は地域によっても異なるが、2016年に東京都が行った調査では都全体でスギ花粉症推定有病率は48.8%に達していた。まさに花粉症は国民病だ。症状の程度は「マスクなどで花粉を避ければなんとかしのげる」といった軽症者から、「病院で治療を受けていても仕事や日常生活に支障をきたしている」といった最重症者までさまざまだ。

花粉症のせいでコロナが急拡大する可能性も?

「今シーズンは、重症度を問わず全ての花粉症患者で症状ゼロを目指したい」と語るのは日本医科大学大学院の大久保公裕教授だ。これは厚生労働省の会議で日本感染症学会の舘田一博理事長など感染症専門医らと導き出した結論だという。意外に思われるかもしれないが、花粉症は新型コロナウイルス感染症と同じ呼吸器系の疾患であるため、新型コロナウイルス感染症の流行に関与する可能性があるのだ。両者の関連が懸念される大きなポイントは下記の2点だ。

●くしゃみによる花粉症患者から周囲へのウイルスの拡散

新型コロナウイルスは、感染しても症状の出ない人(無症候感染者)が多いことは知られている。無症候感染者が他の人に感染させるリスクがどれぐらいあるかは研究途上にあるが、感染者が花粉症になり電車内などでくしゃみをすることで、たとえマスクをしていてもウイルスを拡散させてしまう可能性がある。

●花粉症症状で花粉症患者自身へのウイルス感染リスクが高まる

花粉症患者は、鼻水を拭いたり、目をこすったりしがち。つり革などを触った手で、口元、鼻、目などを頻繁に触ることで新型コロナウイルスの感染リスクが高まる。

大久保教授は「花粉症のせいで新型コロナウイルスが急拡大するという事態を避けるためには、患者と医師が一緒になって、例年以上に症状改善に努めることが大切」と話す。

発症の流れを知ることは、対策を考えるヒントになる。そもそも、花粉はどのようなメカニズムで「くしゃみ」「鼻づまり」「鼻水」「長引くせき」「目のかゆみ」「涙」「肌荒れ」といった多様な症状を引き起こすのだろうか。

花粉症の発症メカニズム

花粉症の発症メカニズムは上図の通りだ。まず鼻、目、口などに花粉が入る(1)。マスクや花粉対策メガネを使ったり、帰宅時に外でコートや帽子の花粉を払ったりすることが大切だ。しかし、それで花粉の侵入を完全に防ぐことはできない。防ぎきれなかった花粉が粘膜に入ると、患者の体内では、免疫細胞の一種であるB細胞がその情報をキャッチ。B細胞はIgE抗体(免疫グロブリンE)を作り(2)、このIgE抗体が肥満細胞の表面にある受容体に結合する(3)。

肥満細胞に結合したIgE抗体が再び花粉侵入の情報をキャッチすると(4)、肥満細胞は花粉を排除しようとヒスタミン、ロイコトリエンといった物質を放出(5)。これらが粘膜組織に作用すると(6)、花粉を吹き飛ばそうとくしゃみが出たり、花粉を洗い流そうと大量の鼻水が出たりする。このとき粘膜の毛細血管が拡張し、鼻づまり、目のかゆみなども起きる(7)わけだ。

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既存治療で効果が不十分な患者のための新薬「ゾレア」
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