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「疲れをためない」暮らし方 コロナ時代に6つのコツ

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日経Gooday(グッデイ)

未曽有のコロナ禍によって、私たちの生活は大きく変わった。外出時には夏でもマスクを着用。ビジネスの現場ではオンライン会議が普及し、テレワーク(在宅勤務)も増えている。そんな中、「たいして動いてないのに、やたら疲れる」「眠れない」「うつっぽくなった」など、心身の不調を感じる人も少なくない。コロナ時代に少しでも疲れをためないようにするにはどうしたらいいのだろう? 疲労と休息に詳しい、精神科医で早稲田大学スポーツ科学学術院准教授の西多昌規さんに聞いた。(本記事は日経Gooday 2020年12月15日付記事を再構成したものです)

座りっぱなしの生活は命にかかわる

新型コロナウイルスの大流行でテレワークを導入している企業も多い。ホワイトカラーのデスクワークはもともとパソコン作業が中心だったが、かつては顔を合わせてやっていた会議や商談もオンラインで行われることが珍しくなくなった。一歩も家を出ない日も少なくない、などという人もいるかもしれない。

座りっぱなしで動かないことを英語で「セデンタリー」というが、2019年に比べれば多くのビジネスパーソンはセデンタリーの時間が増えているだろう。最近の研究から、これが極めて健康に悪いことが明らかになっている。

例えば8つの研究から3万6000人以上のデータを解析したところ、セデンタリーの時間が長いほど死亡リスクが上がり、最も長い人たちのリスクは最も短い人たちの2.63倍もあった(BMJ. 2019;366:l4570)。がんのリスクも高くなる。米国で約8000人の中高年をセデンタリーの時間で3グループ(長・中・短)に分けて調べると、セデンタリーが長いグループのがんによる死亡リスクは短いグループより52%高かった(JAMA Oncol. 2020;6(8):1210-7)。座りっぱなしの生活は命にかかわる危険があるのだ。

「テレワークをしている人は、意識して座りっぱなしを避けなくてはいけません」と、精神科医で早稲田大学スポーツ科学学術院准教授の西多昌規さんは注意する。

「仕事に集中していると長時間座りっぱなしになりがちです。1時間に1回は席を立つことを意識したほうがいい。1日1回は外に出ましょう。それだけで運動不足の解消というわけにはいきませんが、セデンタリーの防止と日光を浴びる効果があります」(西多さん)

日光を浴びるとビタミンDが作られる。ビタミンDは骨を強くし、免疫力を高める作用がある。実際、不足している人がビタミンDを摂取すると、急性気道感染症の発症リスクが減ったという報告もある(BMJ. 2017;356:i6583)。現在、新型コロナウイルスに対する効果を調べる研究もいくつか行われているという。

酷使される目を休めよう

動かないことに加え、テレワークで働いているとオンとオフを分けにくくなっていることも大きな問題だ。

「オンとオフの境がなくなって、延々と仕事をしている状態になりやすい。その結果、肩がこる、目が疲れる、眠れない、動いていないのに疲れる、などさまざまな不調が起こるようになります」(西多さん)

家では大きなモニターなどを置く空間的余裕がなく、ノートパソコンで仕事をしている人も多いだろう。だが、ノートパソコンはどうしても前かがみの姿勢になるので、長時間作業していると肩こりや頭痛を起こしやすい。これが不調をもたらす大きな原因の一つだ。「長時間ノートパソコンを使う人は、パソコンを置く台を使ったほうがいい。専用のスタンドもいろいろ出ています」と西多さんはアドバイスする。

長時間のパソコン作業では目を酷使することにもなる。特に移動時間や、会議や来客での離席の機会がないテレワークでは、オフィスにいるとき以上に目を休めることが難しい。西多さんは「1時間に1回、2~3分目を閉じることを心がけてほしい」と話す。

ちなみに米国眼科学会では、眼精疲労の予防のため、パソコン作業をするときに「20-20-20の法則」を推奨しているという。「20分ごとに20秒間、20フィート(約6m)先を見る」というものだ。20分ごとに作業を中断するのは難しそうだが、目を休める時間も短いのでうまくリズムをつかめば案外やりやすいかもしれない。

「机の上に観葉植物や猫の写真など、目に入ると気持ちがなごむものを置いておくと、パソコンの画面から目を離すきっかけになりやすいうえ、ストレスをやわらげてくれます。室内に緑があると、リラックスして仕事の集中力が高まるという報告もあります」(西多さん)

「完全な休日」が難しければ半日だけでも

オンとオフを分けにくくなったことには、スマホの普及も大きかった。スマホがなかった古き良き時代には、休日に仕事の連絡が来ることも少なく、仕事を忘れて気分を切り替えることも比較的簡単だった。ところがスマホを持つようになると、どこにいてもオフィスのパソコンに送られたメールを見ることができる。休日にもメールが入るため、なかなか仕事を忘れることができない。

そこに来て今のようにテレワークが増えると、平日と休日、1日の中のオンとオフを分けることはいよいよ難しくなってくる。

「今の時代、スマホを捨てるわけにはいきませんが、目と頭を休めるために必要以上にスマホを見ない工夫は必要でしょう」(西多さん)

例えば、夜の10時を過ぎたらスマホの電源を切るのはどうだろう。人と話すときは機内モードにする、といったことでもいいだろう。西多さんは「ポケットに入れておくとすぐに取り出してしまうので、なるべくカバンに入れている」と言う。あまりスマホに縛られないように、自分なりのルールを考えてみてほしい。

休日も完全に仕事を忘れるのは難しい時代だが、西多さんは「休日を分割する」方法を薦める。

「例えば日曜日を午前と午後に分けて、午前中は仕事をする代わり、午後は休日と割り切って自分の好きなことを楽しむのです。テレワークの平日もエンドレスで仕事をしないように、仕事は何時まで、と決めてしまうのもいいと思います」(西多さん)

仕事の時間が終わったらスマホを見ない、というのも良い方法だ。よく言われるように、寝る前にスマホを見ると感情が刺激されて目がさえてしまいやすい。実際、寝る前にスマホを見ると睡眠の質が悪くなることも確認されている。

人と顔を合わせることが大切

わざわざ集まらなくても、オンラインで会議をすることが普通になってきた。自宅にいながら会議ができるし、参加者たちの顔が見えて声も聞ける。便利で良い面も多いが、一方で「オンライン会議は疲れる」と感じる人もいるようだ。

「オンラインでの会話が疲れやすいのには、画像と音声に微妙なズレがある、人の顔の大きさや明るさがまちまち、対面でなら自然に入ってくる情報が届かない、終わるとすぐに退出するので雑談ができない、などいろいろな理由が考えられます。そのように感じている人が多いせいか、一時はやったオンライン飲み会もだんだん減ってきているように感じます」(西多さん)

一方で、こもりがちな生活の中、精神的な疲れを緩和するためにもできるだけ大切にしたいと西多さんが強調するのは、家族以外の人と話すこと。「できれば直接会って話すことが重要」だと言う。

なぜ、家族以外の人と直接会って話すことが大事なのか。オンラインでの会話は上記のような理由で疲れやすいうえ、用件だけで切り上げなければならない雰囲気もあり、気軽な雑談や悩みの相談などをしにくい面もある。それと違って、人と直接会って話すときは、ささいなことやデリケートなことも比較的話しやすい。また、家族以外の人との会話では適度な緊張があるうえ、直接顔を合わせての会話では入ってくる情報がより多く、相手の表情や声のトーンから微妙な感情を読み取りながら対応するなど、無意識のうちに脳の様々な部分が活性化されやすいからだ。

テレワークが普及して以来、不眠を訴える人も増えているという。エネルギーの消費量が少ない、生活時間が不規則になりがち、といった理由も考えられるが、「人と会わないことも大きいのではないか」と西多さんは指摘する。

人は自分が経験したことや感じたことを誰かに話し、共感を得ることで、その思いを自分の中で「消化」していく面がある。しかし、それができないまま夜を迎えると、布団に入ってから、あれこれ考えてしまうことになる。「そうしたことを防ぐためにも、昼間はできるだけ人と話をして、自分の思いや考えを聞いてもらうことが大切です」(西多さん)

特に、もともと人とのおしゃべりが好きな人で、一人暮らしをしている人にとっては、気軽に人と会って話すことが難しい今のような時期は、注意が必要だ。「思いを吐き出したり、共感を得たりする機会が減ることで、自己肯定感をなくし、『自分はいる価値がない人間だ』などと考えるようになる人もいます」(西多さん)

新型コロナウイルスの感染者が増加傾向にある中、同居している家族以外の人と直接会う機会を作るのは難しいのが現実だろうが、心が疲れていると感じたら、直接会えないまでも電話で誰かと話してみるのはどうだろうか。

運動すると疲れが取れる?

仕事以外のことに没頭する時間を持ったり、体を動かしたりすることも、疲れを緩和するのに有効だ。

「仕事のストレスを解消するためにも、休みの日には何でもいいので"長く続けていける楽しみ"を持ってください。インドアな趣味よりも、できればアウトドアのほうがいい。一番いいのは運動です。私も週1回、10kmのジョギングをすることにしています」(西多さん)

仕事で疲れているのに運動なんかしたらますます疲れそうに思う人もいるかもしれないが、医学的には運動によって疲れが取れることが分かっている。

最近の研究から、心身に負担をかけると体内にFF(Fatigue Factor=疲労因子)というたんぱく質が増え、これが脳にシグナルを送ることで疲労を感じることが分かってきた。一方、FR(Fatigue Recovery Factor=疲労回復因子)という疲労で傷ついた細胞を修復するたんぱく質もあり、FFが増えるとFRも増えるようになっている。最初にFFが増えて疲労を感じ、やがてFRが増えて疲労回復が進むわけだ。西多さんは「FFがある程度ないとFRは活性化しません」と話す。

運動をすると体内でFFとFRが産生される。フルマラソンのような激しい運動をすると疲労因子FFの働きが強くなりすぎるが、ジョギングやウオーキングといった、軽く息が上がる程度の「適度な運動」をすると疲労回復因子FRの働きのほうが強くなる。「休みの日に体を動かすと、不思議と疲れが取れてすがすがしい気分になる」ということを感じている人は多いだろうが、それは決して気のせいではないわけだ。

コロナ禍によって、私たちはかつてないライフスタイルの変化を強いられている。この変化は一時的なものではなく、かなり長く続くことになるかもしれない。コロナ時代に心身の健康を保ちながら暮らしていくには、今までにない工夫が必要だ。

【コロナ時代に「疲れをためない」暮らし方のポイント】
●座りっぱなしを回避する
1時間に1回は席を立ち、1日に1回は外に出る

●前かがみにならない
長時間ノートパソコンを使う人は、パソコンを置く台を使う

●目を酷使しない
1時間に1回、2~3分目を閉じる

●仕事やスマホから完全に離れる時間をつくる
「休日の午後は仕事をしない」「夜10時を過ぎたらスマホを見ない」などルールを作る

●人と直接話す時間をなるべく確保する
自分の思いや考えを人に話すだけでストレスはかなり減らせる。眠れないときや疲れを感じるときは、電話などで人と話すのも一策

●適度な運動をする
適度な運動をすると疲労回復因子FRの働きが強くなることが分かっている

(文 伊藤和弘)

[日経Gooday2020年12月15日付記事を再構成]

西多昌規さん
精神科医、早稲田大学スポーツ科学学術院准教授。1996年、東京医科歯科大学医学部卒業。米ハーバード大学医学部リサーチフェロー、自治医科大学精神医学教室講師、米スタンフォード大学医学部客員講師などを経て、2017年より現職。すなおクリニック(さいたま市)などで診療を行う。日本睡眠学会評議員。日本スポーツ精神医学会理事、編集委員長。『休む技術』(だいわ文庫)など著書多数。

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