積立投資3つのざんねん 防ぐ極意は「やめない」

2021/1/12
写真はイメージ=PIXTA
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現役世代は自分で年金を作る必要があり、自分年金づくりには投資信託の積立投資が適している、ということはだんだん知られるようになってきました。2020年は新たに積立投資を始めた人も多かったようです。

投資信託の積み立てを始めたら、あとはよい意味で「ほったらかし」にすればよいことは前回ご説明したとおり。でも、中には値動きが気になってほったらかしにできない人をみかけます。今回はそうした「ざんねんな積立投資」を見てみましょう。

積立投資の3つの「ざんねん」

2020年は新型コロナウイルスの感染拡大でいろいろな変化がありました。20代、30代で資産運用を始めた人が増えたのもその一つです。

つみたてNISA(少額投資非課税制度)の口座数を2019年末と2020年9月末で比較してみると、20代は約1.6倍、30代は約1.5倍に増えています。「老後資金2000万円問題」などで自分年金の必要性に目覚めた人が、テレワークでできた時間を利用して積立投資を始めたのかもしれませんね。これはよい変化といえます。

積立投資を始めたら、あとはあれこれ考えず積み立てを続けていけばよいのですが、それができない人がいるんですよね。おもに次の3つのケースです。

ケース1)値下がりすると怖くなってやめてしまう

2019年末までに積立投資を始めた人の中には、2020年3月に世界中で株価が暴落して、それまで積み立てた資産が減ってしまったという人もいるはずです。積み立てている投資信託が大きく値下がりしたり資産が減ったりすると、怖くなって積み立てをやめてしまう、あるいは積み立てた投資信託を売ってしまう、という人がいます。それは「ざんねん」。

前回も解説したとおり、投資信託の積み立てでは、値下がりしたときに多くの口数を買うことができ、それが資産を増やすことにつながります。値下がりしたときに積み立てをやめてしまうと、このメリットがいかせません。

株価は暴落しても、その反動でまた値上がりするのがふつうです。なので、値下がりしたからといってあわてたり怖がったりする必要はありません。値下がりしても「たくさんの口数が買えている」と考えて淡々と積み立てを続けることが大切です。

ケース2)値上がりすると売ってしまう

一方、2020年の後半は年末に向けて株価が大きく値上がりしました。積み立てた資産が増えたので、その全部または一部を売ってしまった人もいるかもしれません。

株式投資では、持ち株が値上がりしたら売って利益を確定することが重要だとされているし、投資の目的が短期的に利益を上げることならばそれでもよいのですが、目的が自分年金づくりだとしたら利益確定のための売りはNG。売ってしまったら、自分年金づくりが中断してしまいます。売ったお金で別の金融商品を買うとしても、何をいつ買うか考えなければならず「ほったらかし」ができません。自分年金づくりのための積立投資は、値上がりしても売却して利益を確定させる必要はないのです。

ケース3)すぐに結果を求める

積立投資を始めて数カ月たっても値上がりしないと「このファンドはダメだ」と言って別の投資信託に乗り換えたり、「積立投資はもうからない」と決めつけて積み立てをやめたりするせっかちな人がいます。これも「ざんねん」。

投資信託は、幅広く分散投資することで値動きを抑える仕組みなので、短期間で大きく値下がりすることが少ない代わりに、短期間で大きく値上がりすることもないのがふつうです。

だから、コツコツと時間をかけて資産を増やしていかなければなりません。自分年金づくりが目的なら、ゴールは20年、30年先なのですから、それでよいのです。

積立投資の結果はすぐには出ない、と心得て積み立てを続けましょう。

「やめない」で長期に続ければ運用成果も

積立投資を「やめない」ことは、運用成果にもつながります。

金融庁が、1985年から毎月同額で国内外の株と債券に均等に投資した場合のデータを示しています。これは、国内外の株と債券に投資する投資信託を積立購入したというのと同じことといえますね。

期間を1985年から5年間、1986年から5年間というふうに、1年ずつスタートをずらして5年間積み立てたとき、そのそれぞれの運用成績(年率)を見ると、12~14%増えた5年間もあるのに対して6~8%のマイナス、つまり元本割れした5年間もあるというように、スタート時期の違いによって運用成績にばらつきが出ました。

一方、期間を20年間にすると、スタート時期にかかわらず運用成績は2~8%の範囲に収まりました。期間を長くするとその間の値動きの影響を受けにくくなり、元本割れする可能性も大幅に減ることがわかります。投資信託の積み立てで運用成果を得るためには、20年くらいの長い時間が必要というわけです。

今のような低金利だと預貯金ではお金が増えません。その中で現役世代が資産づくりをするには預金以外の金融商品を利用しなければなりませんが、それには値動きがあって、時には元本割れすることもあります。

そうした値動きに負けない方法が「分散」「積み立て」「長期」の3つ。それを同時に実現できるのが、投資信託の積み立てを長期で行うことであり、「長期」というのは、20年くらいがめやすとなります。「やめない」ことが自分年金づくりのための積立投資の極意なのです。

コロナ禍で収入が減って毎月の積立投資が厳しくなった人もいるかもしれません。その場合でも、毎月の積立額を減らしてできる限り積み立てを続けてください。それもムリなら、積み立てを一時中断して、少し余裕ができたときに再開しましょう。

馬養 雅子(まがい・まさこ)
オフィス・カノン代表。ファイナンシャルプランナー(CFP)、1級ファイナンシャルプランニング技能士。千葉大卒。法律雑誌編集部勤務、フリー編集者を経て、ファイナンシャルプランナーとして記事執筆、講演などを手掛けてきた。著書に「だれでもカンタンにできる資産運用のはじめ方」(ナツメ社)など。http://www.m-magai.net