検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

検索朝刊・夕刊LIVEMyニュース日経会社情報人事ウオッチ
NIKKEI Prime

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

NIKKEI Primeについて

朝夕刊や電子版ではお伝えしきれない情報をお届けします。今後も様々な切り口でサービスを開始予定です。

/

カリブ最初の民はほぼ絶滅していた、南米から侵入者

詳しくはこちら

NIKKEI STYLE

ナショナルジオグラフィック日本版

700以上の島々が点在するカリブ海。人類は、いつからどのようにしてこの島々に住むようになったのか。考古学者たちは長年にわたり、大胆な航海者たちの起源と移動ルートを解明しようと苦心してきた。そして今、古代人のDNAから、島々の秘められた歴史が明らかになりつつある。

驚くべき発見のひとつは、スペイン人の侵略が始まる1492年より1000年以上前に、南米からの新参者たちがカリブ諸島の先住民をほぼ絶滅させていたかもしれないということだ。さらに、スペイン人が到来した時代の島民も数は、これまでの推定よりかなり少なかった可能性も浮かび上がった。

数年前までは、カリブ諸島のような温暖で湿度が高い地域の骨からDNAを抽出することは不可能だった。だが、遺伝子解析技術の進歩のおかげで、米ハーバード大学の遺伝学者デビッド・ライク氏の研究室では、ベネズエラからバハマ諸島にかけて各地で発掘した174体からDNAを抽出することに成功した。

その成果が、2020年12月23日付で学術誌「ネイチャー」に発表された。7月にはデンマークのコペンハーゲン大学の研究室が、93体のカリブ諸島の古代人のゲノム分析に関する論文を学術誌「サイエンス」に発表しており、今回の発表はこれに続くものだ。この「サイエンス」誌の論文の共同著者で、ドイツ、マックス・プランク人類史科学研究所の所長であるヨハネス・クラウス氏は、今回の快挙を受けて「カリブ海諸島の古代の移住の歴史を、詳細に知ることができるようになります」と語っている。

どちらの論文でも確認されているのは、およそ2500年前に、製陶術を持つ農耕の民(セラミック時代の人々)が南米の北東沿岸を出航し、カリブ海の島々を移動し始めたことだ。しかし、彼らは島の最初の入植者ではなく、多くの島で狩猟採集民と遭遇した。先に定住していたのは、およそ7000年前から6000年前に中米や南米北部の沿岸からやってきた人々だった。

この先住の狩猟採集民(古期の人類)は、新たな入植者が到来してまもなく、ほぼ全滅したとみられている。セラミック時代の人骨には古期の人間の遺伝子特性がわずかだったことから、この2つの集団が交わる機会はまれだったことが推察される。セラミック時代の人々は、現代のアラワク語を話す人々とつながりがある。新たに入植した彼らは、先に定住していた狩猟採集民に取って代わった。狩猟採集民は、病気や戦いによって滅びたと推測されている。

しかし、この異なる2つの集団間の交流については、複雑な歴史をうかがわせる興味深い例外も見つかっている。

「驚いたことに、古期の生活様式が、900年ごろまでキューバ西部に残っていたのです」と、米フロリダ自然史博物館の考古学者で、「ネイチャー」論文の共同著者であるウィリアム・キーガン氏は話している。「彼らは他の集団とほとんど交わることなく、ひっそりと生活していたようです」

興味深い発見

ハーバード大学の論文で最も興味深い発見のひとつは、スペイン人が到来した当時、プエルトリコやイスパニョーラなど大きな島の先住民の人口がスペインの記録より大幅に少なかったという点だ。

コロンブスがカリブ海を訪れてから10年後、あるスペインの修道士が、イスパニョーラ島(現在のハイチとドミニカ共和国)の人口を350万人と推定している。だが、最新の数理モデルに基づいて遺伝子データを当てはめたところ、住民はわずか数万人だったことが示された。ヨーロッパ人の侵略がもたらした病気やその他の影響で数十万人もの先住民が命を落としたという従来の説に、疑問を投げかけるものだ。

「古代の人口を推定するこの新たなアプローチは、過去の移住や文化の変容に対する見解を根本的に変える可能性があります」と、クラウス氏は話している。

スペイン人の入植後に多くの先住民が死亡したものの、遺伝子調査によれば、彼らのDNAは、ヨーロッパからの入植者や奴隷にされたアフリカ人の遺伝子と混在して現代の島民に受け継がれている。

「ネイチャー」誌の論文著者たちによれば、今回のデータの収集や分析は、子孫のコミュニティや現地のカリブ人の研究者たちと協力して行われたという。この調査は、ナショナル ジオグラフィック協会の支援を受けている。

つながりを築く

比較的人口が少ない島の住民が、数世紀にわたってどのように近親交配を避けてきたかという謎は、まだ解明されていない。大陸からの大規模な移住が行われた形跡はない。考古学者の話では、新たな証拠から、島々の間の広範囲に及ぶ交流によって遺伝子の多様性が維持された可能性が示されているという。

米バンダービルト大学の遺伝人類学者で、今回の調査には参加していないジェイダ・ベン・トレス氏は、「ネイチャー」誌に発表された論文について「この地域の人々のつながりが明らかになりました」と評している。トレス氏の研究チームは、次のステップは、スペイン人が1492年に到来するまではどちらかというと閉鎖的だったカリブ海の島々の間のリンクを解明することだと考えている。

米メリーランド大学の人類学者、ミゲル・ビラー氏は、「ここは、世界有数の活動的で強い結びつきのある海域だったのです」と語る。「考古学だけでは不可能でしたが、DNAの活用によって、カリブ海域の歴史がようやく明らかになるでしょう」

(文 ANDREW LAWLER、訳 稲永浩子、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2020年12月26日付]

春割ですべての記事が読み放題
有料会員が2カ月無料

有料会員限定
キーワード登録であなたの
重要なニュースを
ハイライト
登録したキーワードに該当する記事が紙面ビューアー上で赤い線に囲まれて表示されている画面例
日経電子版 紙面ビューアー
詳しくはこちら

ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
春割で無料体験するログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
春割で無料体験するログイン
図表を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した図表はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
春割で無料体験するログイン

権限不足のため、フォローできません

ニュースレターを登録すると続きが読めます(無料)

ご登録いただいたメールアドレス宛てにニュースレターの配信と日経電子版のキャンペーン情報などをお送りします(登録後の配信解除も可能です)。これらメール配信の目的に限りメールアドレスを利用します。日経IDなどその他のサービスに自動で登録されることはありません。

ご登録ありがとうございました。

入力いただいたメールアドレスにメールを送付しました。メールのリンクをクリックすると記事全文をお読みいただけます。

登録できませんでした。

エラーが発生し、登録できませんでした。

登録できませんでした。

ニュースレターの登録に失敗しました。ご覧頂いている記事は、対象外になっています。

登録済みです。

入力いただきましたメールアドレスは既に登録済みとなっております。ニュースレターの配信をお待ち下さい。

_

_

_