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安い・うまい・おしゃれ フレンチ感漂う新橋立ち飲み

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NIKKEI STYLE

東京・新橋は、安くて手軽な酒場や立ち飲みが多いことで有名。でも、そこに新興勢力が登場している。安くて、うまいのは当たり前、それに加えてオシャレなのだ。その店は「STAND BY Mi(スタンドバイミー)」。近年の立ち飲み業態の中では、最優秀なのではないか?

店は、新橋の象徴とも言える烏森神社のすぐ近く。古い居酒屋やスナック系が並ぶ小さな路地にある。間口は狭い。半間(90センチ)くらいか。ただ、入り口から、やたらにカッコ良い。入り口の透明なガラスには、少しレトロな書体で「たちのみ スタンドバイミー」と書いてあるのだが、その奥に広がる店内に不思議な高級感が広がる。

細長い店内は手前に立ち飲みスペース。その奥にわずかなテーブル席がある。入ると、目立つのが、カウンターのデザイン。最近の酒場は、白木を使うことで老舗感を出す店が多いが、こちらは、翡翠(ひすい)色の大理石風のしつらえ。「お! ここは違う」という印象を与えてくれる。店内には、外食慣れしていそうな30代女性客が半分くらい占めている。

驚くのは、つまみのレベルの高さだ。

「ひとくちおつまみ」は、250円で10品ほど提供しているが、フレンチの前菜を食べている雰囲気。例えば、「サバタルト」は焼いた食パンにラタトゥイユ、炙(あぶ)りしめサバを重ねて、ひと口で食べられるようにしている。

「トマト トマト トマト」は複数のミニトマトに、オリーブオイルと塩、コショウをかけている。素材そのものを提供する意図で、ありそうでない品だ。そもそもお通しが、小さめのカップに入れたにんじんのムース。これが絶妙なのだ。洋風だしの上質さが感じられる逸品で、これを目当てに訪店する客も多いようだ。

つまみが別格なのは、当然だ。シェフ、スーシェフ(2番手)とも、『ミシュラン東京版』で星を取った「ラトリエ ドゥ ジョエル・ロブション」の出身。基礎技術が上級。それを立ち飲み業界に持ち込んだわけだから、レベルが違う。

ちょっとしたつまみを楽しんだあとは、ミシュランシェフの実力が出るメイン系の料理を頼みたい。一押しは、「牛ほろほろ肉」(780円)。牛ほほ肉の塊をフォン・ド・ヴォーとブランデーで煮込んで軟らかくした上、煮汁は煮詰めてソースにする。2つ付いていて、1つは5センチくらいの小ぶりなのだが、少し濃いめの味付けが酒に良く合う。ご飯に乗せて丼にしてもいいくらいだ。要望すれば、人数分にもしてくれる。

もうひとつ選ぶなら「フレンチチキン南蛮」(480円)だ。宮崎の郷土料理「チキン南蛮」が発想のベースだが、肉は単なるから揚げではなく、大ぶりの鶏を丸ごと揚げている。通常のから揚げは、小麦粉とカラッとした食感を作ることができる片栗粉を混ぜることが多いのだが、この店では、少しふわっとした、天ぷらに似た味わいで作っている。

ポイントは、タルタルソースだ。居酒屋や酒場では、チキン南蛮は定番になりつつあるが、ソースの濃厚さ、複雑さは、比較にならない。これが480円って、本当に驚く。

当然、こうした料理に合わせた酒もレベルが高い。

面白いのが、店オリジナルの「烏森ハイボール」(580円)。麦焼酎をシェリー樽で熟成した酒で、酒場より少し高いが、甘い香りは、通常のハイボールとは違った体験ができる。「大人のすっきりファンタぶどう」(480円)は女性向けのドリンク。赤ワインを炭酸で割った。口当たりの良さが特徴だ。

店内に漂う上質な雰囲気、センスがよくおいしくて手ごろな価格の料理。これで流行らないわけがない。実際、予約をしないと、フリーでは入りづらい。3回ほど訪店しているが、毎回店の前で待っている客がいた。ただ、立ち飲みスペースは回転が早く、時に席が空くので、事前に店に電話をしておくと良いだろう。

実は、この店、外食業界では珍しい試みをしている。

「牛ほろほろ肉」は、会員制レストラン「TREIS(トレイス)」の河島英明シェフのレシピを受け継ぎ、作ったものだし、「フレンチチキン南蛮」は、人気フレンチレストラン「CRAFTALE」の大土橋真也氏が監修したものだ。「スタンドバイミー」は、単なるカッコ良い立ち飲み店ではないのはこうした理由からだ。

店だけでなく、店の経営でも「ひと味」違っている。

「スタンドバイミー」を経営するのは、ミナデインという新興企業。社長は大久保伸隆氏という30代の経営者だ。

この大久保氏、宮崎地鶏を名物にした「塚田農場」のヒットで上場を果たしたエー・ピーホールディングス出身。アルバイトでキャリアを始めながら頭角を現し、最後は30歳そこそこで営業のトップである副社長を勤めた人物。創業者である米山久氏から、「俺の次は大久保」と言われた「社長候補」だった。

ただ、独立志向を持っていた大久保氏は、2018年にエー・ピーを辞め、ミナデインを夫婦2人で立ち上げる。そこで最初に作った店が、烏森神社の目の前で、神社が地権者の、昼は喫茶店、夜は居酒屋という「烏森百薬」だった。これには、業界人全員が驚いた。「あんな立地が取れるのか!」と。大久保氏は、それほど大変なこととは思っていなく、エー・ピー時代から新橋の不動産会社とは付き合いがあり、その縁でたまたま空いていた物件を契約することができたという。

その後、大久保氏は新橋を主戦場と決め、店を増やす。すぐ近くに2号店の「らんたん」をオープンし、その後に開店したのが「スタンドバイミー」だ。ただ、それぞれ小さな店ではある。「烏森百薬」や「らんたん」が一杯の場合、それぞれでお客を融通している。

新橋といえば「魚金」が有名だが、「スタンドバイミー」を含めた、上質な「ネオ立ち飲み」が今後広がる可能性は高いと思っている。特に既存の酒場が古くなっている新橋では、スタイリッシュで、料理がおいしく、コスパが良い店は目立つ。特に女子には魅力的に映るだろう。お手軽酒場を飲み歩く「センベロ女子」は、ひとつのトレンドとなっているが、もう少しカッコ良さに敏感な、意識高い系の女子に受けている気がする。

「オヤジ」の街と呼ばれる新橋だが、街は日々進化を続けている。なじみの店に行くのも良いが、たまには誰かを連れてこんな店で「軽く一杯」も悪くない。「先輩、こんな店、よく知っていますね」と言われること請け合いだ。

*価格は税別

(フードリンクニュース編集長 遠山敏之)

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