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2週間コロナ隔離は必要か 短縮で負担軽く追跡効果も

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NIKKEI STYLE

ナショナルジオグラフィック日本版

新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるため、ほとんどの国が濃厚接触者や外国からの入国者に14日間の隔離を求めている。しかし、本当に2週間の隔離が必要なのか。最近の研究で、安全を確保したまま隔離期間を短くする方法がいくつか提案されている。

中国出身でベルギー在住の写真家ジャスティン・ジン氏は2020年11月下旬、父親が中国の自宅で病に倒れ、大きな手術をすることになったと聞き、すぐ帰国の途についた。しかしパンデミックは、通常なら簡単な移動を、2週間を超える試練に変えた。

ジン氏は中国に到着すると、上海のホテルに隔離された。部屋のドアはカメラで監視され、廊下は新しい到着者が通るたびに消毒された。食事はドアに届けられ、トイレを洗い流す前にトイレを殺菌するためのバケツと消毒剤を与えられた。「自分がUFO(未確認飛行物体)に誘拐された標本のように感じました」とジン氏は言う。

2週間にわたる隔離は、当人の経済的・精神的負担が大きいうえ、政府や企業もそのために莫大な資源を費やさなければならない。隔離期間を短縮できれば負担が軽減され、隔離への人々の抵抗も少なくなることが期待される。

隔離期間の短縮を提案する専門家はその根拠として、コロナウイルスはおおむね感染後9~10日には感染力を失うという研究結果を挙げている。また、最新の研究によると、検査戦略の改善と隔離期間の短縮を合わせることで、単に14日間隔離するよりも感染拡大を防ぐ効果があることも示されている。

こうした研究を踏まえ、米疾病対策センター(CDC)は20年12月2日、隔離戦略として2つの新たな選択肢を発表した。CDCとしては可能であれば14日間の隔離を推奨するが、一方で、ウイルスに暴露したと思われる日から5日目以降の検査で陰性が出れば、1週間で自主隔離を終えてもいい。もし検査が受けられない場合、10日間症状が出なければ隔離を終了できるというものだ。

短い隔離期間と隔離終了時の検査

数理モデルを用いて、検査戦略と隔離期間の短縮によって隔離の負担を減らせることを示したのは、生物学者のジェフ・タウンゼンド氏が率いる米エール公衆衛生大学院の研究チームだ。

隔離戦略が成功するのは、陽性者の感染力が最も高いときに隔離に入った場合に限る。しかし、コロナウイルスの潜伏期間に関する最新のデータによれば、ウイルス量や発症のピークが、必ずしも感染力のピークと一致するわけではないらしい。

これらの情報を合わせて、エール大学のチームは、コロナウイルスの感染拡大を防ぐには、隔離期間を8日にして、隔離開始時と終了時にPCR検査を実施すると、検査なしで14日間隔離した場合と同程度、あるいはそれ以上の効果があることを示した。ただし、24時間で結果が出るPCR検査を隔離7日目に実施することを条件としている(この論文は、査読前の論文投稿サイト「medRxiv」に20年11月30日付で公開された)。

研究チームは、オーストラリアの石油会社BHPが所有する2基の海洋石油ガスプラットフォームで実際にこれを検証することにした。狭い空間で人々が作業する石油プラットフォームではウイルスがまん延しやすい。しかし、操業を停止してしまっては会社に数百万ドルの損害が出るため、会社側も従業員の安全を守りながら操業を続ける最善策を模索する必要があった。

検証を始める以前は、BHPは従業員がプラットフォームで作業を始める前に、全員にPCR検査を実施したうえで3日間の隔離を義務付けていた。

検証では20年6月以降、1基のプラットフォームが5日間の隔離に移行し、20年8月から2基目が7日間の隔離に移行した。また、隔離開始時と終了時に検査を行った。

隔離期間を少しずつずらしたシナリオをそれぞれ比較した研究チームは、隔離開始時だけの検査では多くの陽性者が見逃されてしまうことを示した。計算の結果研究チームは、隔離期間を7日とし、隔離開始時と終了時に検査をすることで、隔離後の感染が98%予防できるとした。

 この研究からタウンゼンド氏は、隔離前の検査で陰性と判定されると、誤った安心感を与える恐れがあり、感染者を特定するには隔離終了時の検査こそが鍵になると結論付けた。また、7日以降に検査を先延ばしにすることはあまり意味がない。タウンゼンド氏によると、BHPの成功を受けて、他の石油・ガス採掘会社も同様のやり方を採用したという。

帰省を考えている人も、帰省前にできるだけ長い間自主隔離するほか、検査をするなら出発直前まで待つようにとタウンゼンド氏は勧めている。感染してすぐに検査をしても、体内のウイルス量が少なすぎて検出されず、偽陰性が出る恐れがあるためだ。

隔離期間短縮で接触者追跡も容易に

隔離期間を短縮することで、接触者追跡の効果が上がるという予測もある。感染者は、どこへ行ったか、誰と会ったか聞かれても正直に答えようとしないことがある。感染リスクの高い行動をとっていたことを認めたくなかったり、接触した友人や関係者に迷惑をかけたくないという理由からだろう。英国では、現在の検査と接触者追跡システムで、接触者の20%ほどしか特定されていない。しかも、そのほとんどは家庭内接触だった。

英スコットランドにあるセント・アンドリュース大学の感染症専門医ムーグ・セビック氏は、接触者を全員追跡するよりも、感染したりさせたりするリスクが最も高い接触者に焦点を絞ったほうが効果的であると主張する。2次感染の約80%は、20%の感染者から拡大すると言われている。そこでセビック氏は、感染者の接触者を全員追跡するのではなく、感染を最も拡大させやすい人、いわゆるスーパースプレッダーを最優先とすべきだと提案する。

米ハーバード大学医学大学院の計算疫学者マイムナ・マジュムダー氏と博士研究員のアンドリュー・ペロー氏も、セビック氏と同様の考えから、接触者全員へ一律2週間の隔離を求めるのではなく、リスクに基づくアプローチで隔離期間を短縮できるという予測を立てた。隔離の日数は、接触者が感染してそれを他の人へ拡大させる可能性があるかどうかによって決まる。

ペロー氏は、「感染者と接触した人々が発症するかどうかを見守ることです」と解説する。もし発症すれば、元の感染者は他の人にも感染を広げる可能性が高いということになり、その場にいた他の接触者も今後発症する可能性が高くなる。

通常の手続きでは、陽性と判定された人は接触した人々の情報を追跡者に提供する。追跡者はこれらの人々に連絡を取って2週間自主隔離するよう求める。一方、リスクに基づくシステムでは、感染者が参加したイベントでウイルスに暴露したと思われる人全員を追跡する。その中で誰かが症状を示せば、全員に知らせて隔離期間の延長を要請する。もし、2~3日たって誰も発症しなかったら、その後誰かが発症するリスクは低いと考えられ、全員が隔離を早めに終えることができる。

「このアプローチの利点は、最大のスプレッダーを最初に追跡するので、同じ隔離日数でも感染拡大の抑制効果が高いことです」と、ペロー氏は説明する。このほうが接触者の隔離への同意も取り付けやすいし、同じイベントに参加していた誰かが発症したとわかれば、他の人は隔離を途中でやめてしまう傾向が少なくなると、マジュムダー氏は考えている。

コンピューターモデルを使った感染シミュレーションの結果、ペロー氏とマジュムダー氏は、リスクに基づいた隔離措置に、隔離終了時の検査を組み合わせることで、隔離期間を短縮して感染拡大のリスクを低く抑えることができると予測した。以前のCDCガイドラインに従うと、接触者全員が隔離した日数の合計は平均62.1日だったのに対し、リスクに基づく隔離措置では36.1日に短縮される。

次ページでも、ジン氏が中国で撮った自身の隔離の様子を紹介しよう。

(文 VIVIANE CALLIER、写真 JUSTIN JIN、訳 ルーバー荒井ハンナ、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック 2020年12月2日付の記事を再構成]

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