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5.7万年前のお宝 消えたオオカミをミイラで発見

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ナショナルジオグラフィック日本版

2016年の夏、金採掘者のニール・ラブレス氏がカナダのユーコン準州で思いがけない「お宝」を発見した。永久凍土から姿を現したのは、これまで見つかっている中でもっとも古く、もっとも完全な姿をしたオオカミの凍結ミイラだった。

古生物学者に調べてもらったところ、オオカミは子どもで、メスだった。今から5万7000年前の更新世、マストドンなどの大型動物が生息していた今のカナダ北西部に暮らしていた。発見されたオオカミの愛称「ジャー」は、この辺りに住む先住民トロンデック・フウェッチンの人々の言葉で「オオカミ」という意味だ。

更新世(約260万年前から1万1700年前)は、その大半が氷河時代だった。極地の氷床は現在よりもはるかに大きかった。この時代の貴重な動物は、シベリアのツンドラからも見つかっているが、ユーコンでここまで保存状態がよいオオカミが見つかった前例はない。

ジャーについての論文は、2020年12月21日付の「Current Biology」誌に発表された。「シベリアでは、このような形で動物が永久凍土に保存されることは珍しくありません。しかし、ユーコンやアラスカなど、北米ではあまり一般的ではありません」と、米デモイン大学の古生物学者で、論文の筆頭著者でもあるジュリー・ミーチェン氏は話す。

「すばらしい保存状態です」と、デンマーク、コペンハーゲン大学の古生物学者ロス・バーネット氏も同意する。氏は今回の研究に参加していない。

ジャーが優れているのは、目に見える部分だけではない。生後7週間で死んだことから何を食べていたかまで、数多くのことがわかるとミーチェン氏は言う。

消えたオオカミたち

ジャーが生きていたのは、北極の氷河が一時的に後退し、草地が森に変わっていた間氷期だ。この時代には、マストドンやラクダ、ジャイアントビーバー、そしてジャーのようなハイイロオオカミが生息していた。

カナダ、マクマスター大学の古遺伝学者タイラー・マーチー氏は、「捕食者の視点から氷河時代の生態系を見るうえで、肉食動物がここまでの保存状態で見つかるというのは、ほかでは考えられない状況です」と話す。氏は今回の研究に参加していない。

現在、ハイイロオオカミは北米の荒野の象徴的な存在になっているが、この動物は米大陸で進化してきたわけではない。もともとはユーラシア大陸に登場し、50万年以上前の更新世後期にベーリング陸橋を渡って北米にやってきた。

 ミーチェン氏らは、DNAの痕跡を調べることで、ジャーが今はもういなくなっているオオカミのグループに属していたことを突き止めた。

このオオカミには、アラスカとユーラシア両方のオオカミと遺伝的なつながりがあったが、現在ユーコンに生息するオオカミは、それとは異なる遺伝的特徴をもっている。つまり、最初にユーコンで暮らしていたハイイロオオカミは死滅し、そのときすでに南方に進出していたグループに取って代わられたと考えられる。

「太古のDNAは、進化の歴史や過去の生態系が想像以上に複雑であることを教えてくれます」とマーチー氏は話す。ジャーの遺伝子がなければ、このような死滅や置き換わりが起こっていたことはわからなかっただろう。

若くして死んだ太古のオオカミ

ジャーはどのような生活を送っていたのだろうか。生後7週間で死んだということは、ちょうど乳離れして通常の食べものを口にし始めていたはずだ。歯の特徴から、ジャーは川で食料を得ていたらしいことがわかっている。現代でもこの辺りに生息するキングサーモンのような魚かもしれない。現在のアラスカに生息するオオカミの多くも、大型の動物よりも魚を食べることのほうが多い。

だが、ジャーは若くして死ぬことになった。死因は、巣穴が崩壊したことではないかと考えられている。短時間で埋まったことが、良好な保存状態につながった。ホッキョクジリスやクロアシイタチなど、この時代の他の哺乳類にも、同じようにして保存されたものがある。

ジャーは、2つの氷河時代の間に生きていたというだけでなく、今は別々になっている2つのオオカミのグループの間に存在していた。

ジャーの遺伝子を研究すれば、太古の世界におけるこのオオカミの位置づけや、その時代から何が変わったのかについて理解を深められるはずだ。バーネット氏は、「古代のDNAは、更新世後期のダイナミックさをありありと描き出してくれます。このようなことは、骨からだけではほとんどわかりません」と話している。

更新世を通して動物の生態はどのように変化していったのか。それは、保存されているサンプルに残された古代のDNAの痕跡から、明らかになり始めたばかりだ。しかし、ジャーは重要な手がかりを与えてくれる。骨と遺伝子を組み合わせて研究すれば、氷河時代の失われた世界をのぞく新たな窓を手にすることができる。

次ページでも、発見された貴重なミイラの写真をご覧いただこう。

(文 RILEY BLACK、訳 鈴木和博、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック 2020年12月22日付の記事を再構成]

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