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大阪大学大学院生命機能研究科教授の吉森保氏

大阪大学大学院生命機能研究科教授の吉森保氏

「科学が発展しすぎた時代だからこそ、それぞれが自分の力で判断できるように、科学的な素養を身につけたほうがいい」と世界的生命科学者である吉森保氏はいいます。著書『LIFE SCIENCE 長生きせざるをえない時代の生命科学講義』(日経BP)から、生命科学の世界を少しのぞいてみましょう。

◇   ◇   ◇

新しい薬をつくるには、普通はどのくらいかかる?

吉森氏は、大阪大学大学院生命機能研究科と医学系研究科の兼任の教授です。専門は細胞生物学で、細胞内の現象である「オートファジー」というものを研究しています。特に、哺乳類のオートファジーの研究で世界的な存在です。

この本では、先生に現在の新型コロナウイルスの理解のために知っておけばいい知識はもちろん、それ以外にも押さえておいた方がいいことを聞いています。

たとえば遺伝子組み換えのことを知っておくと、買い物のときに何を買うか自分で判断できるようになるし、ちょっとした表をきちんとみられるようになれば、エセ科学にだまされることもありません。

先生が知っておけばいいと言っているのは、たとえばこんなことです。

・断定する人は科学的に怪しい
・「相関関係」と「因果関係」の違いを知っておく
・すべての生命の基本は細胞なので、細胞の成り立ちを知っておくと病気の理解も早い
・免疫について
・炎症について
・ワクチンについて
・老化の最前線研究はどこまで進んでいるか

たとえば、現在の新型コロナウイルスで急がれるのは、ワクチン開発です。薬の開発の流れとしては、まずは培養細胞で実験します。培養細胞とは、試験管の中にある人間の細胞です。生命科学の研究では培養細胞がしばしば基本になります。

ウイルスに対する薬であれば、まず培養細胞にウイルスを感染させ、人の体に感染したのと同じ状態を再現します。そして、ウイルスが培養細胞の中で増えているところに、薬をかけてウイルスの増殖がストップすれば、人に効く可能性があるわけです。

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