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僕がキャベツを買った理由 体験彩る工夫、落語でも

立川吉笑

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NIKKEI STYLE

2021年、あけましておめでとうございます!!!

この1年間、コロナ禍の影響でいくつもの仕事がキャンセルや延期になったから収入が減っているだろうなぁとは予想していたけど、年末休みを使って確定申告の準備を進めたところ、計算ミスしたのかと不安になるくらいの金額が浮き彫りになって、もはや笑うしかない状態になっている立川吉笑です。

拡張現実的な販売方法

今年もまだまだ大変な状況が続きそうなのは理解しつつ、それでも前を向いて目の前の仕事に取り組んでいくしかないなぁと思っていた矢先、楽しそうな仕事が舞い込んできた。

「煎茶堂東京」というお茶屋さんから、お茶をテーマにしたオリジナル落語を作ってほしいという依頼だ。こういった企業PR案件を受注することはしばしばあるが今回特にワクワクしたのは、月額500円で毎月2種類のお茶っ葉と、合計15ページくらいのちょっとしたリーフレットが一緒に届けられる「TOKYO TEA JOURNAL」というサブスクリプション(定額課金)サービスだ。

リーフレットには一緒に送られてきた茶葉の特徴とか生産者さんの想(おも)い、おいしいお茶のいれ方や、オススメのお菓子などが記されている。さらには毎号「津軽三味線」とか「落語」というようにテーマが決まっていて、それにまつわる特集記事が用意されている。内容も濃くクオリティーとしては本屋で販売されている雑誌となんら遜色がない。

これまでもこの連載で書いてきたように、僕は「別角度からの情報が付加されることで日常の見え方が変わる」拡張現実的なものが好きだ。例えばスタジアムで野球観戦するとき、同時にラジオ中継でも聞いてみる。そうすることで、打者のこれまでの成績や練習中の様子、スタンドからは見えないベンチの様子、ブルペンの様子など、目の前の現実以上の情報がインプットできて、試合が立体的に見えてくる。これが拡張現実的だと捉えているのだ。

「TOKYO TEA JOURNAL」もまさに同じで、届いた2種類のお茶っ葉は店員さんが吟味して選んだものだから間違いなく素晴らしいものなんだけど、それをそのまま飲むだけじゃなくて、リーフレットを読むことで別角度の情報が付加されて、より違ったように感じられるようになる。お茶をお茶として届けるんじゃなくて、「お茶を飲むという体験」ごと届けてもらっているような、そういう魅力を秘めている気がしてならない。

昔通っていたスーパーでの話。そこのスーパーは農家さんが野菜を直接納品しにくるコーナーがあった。「私が作りました」みたいなプロフィル写真入りの商品がズラーッと並ぶ中、異彩を放っていたのは千葉でキャベツを作っているおじさん。普通は畑をバックにした作業着姿だったり、家族勢ぞろいの写真だったりするのだけど、そのおじさんのキャベツについていたのは、なぜか草野球をしているときの写真。ユニホーム姿のおじさんがホームベースの前で仁王立ちしていた。

野菜コーナーを見るのが癖に

「なんだこれは?」と面白くなって、ついそのおじさんのキャベツを買った。しばらくしてまた野菜コーナーを見ると、今度はおじさんがバッターボックスに立っているときの写真がつけられたキャベツがあった。「えっ、別パターンもあるの!?」。興奮してそのおじさんのキャベツを買った。

それからというもの、スーパーの近くを通るたびに新しい写真の入ったキャベツが入荷していないか、野菜コーナーを見る癖がついた。その結果、「内野の守備についているおじさん」「盗塁しているらしく、とても躍動しているおじさん」という別パターンの写真を発見し、そのたびにキャベツを買った。最初はキャベツを買いに行っていたけど、気づけば「プロ野球チップス」を買っておまけの選手カードを楽しむ子供と同じように、おじさんの草野球写真目当てでキャベツを買うようになっていた。

「おいしいお茶を見つける」とか「おいしいキャベツを作る」というのは大前提として、これだけあらゆるものが手軽に手に入る時代だからこそ、さらにその上の何かしらを届ける工夫が必要なのかもしれない。「お茶を飲む」とか「キャベツを買う」という体験を彩る工夫というか。

そう考えると僕の場合の商品は「落語」ということになる。「面白い落語を作る」というのは大前提として、さらにその上に「僕の落語だからこそ」という体験をどうやって彩るのか。今年はそんなことを考えてみようと思う。まずは試しに落語会のチケットに野球をやっている僕の写真を載せてみようか。

立川吉笑
 本名は人羅真樹(ひとら・まさき)。1984年6月27日生まれ、京都市出身。京都教育大学教育学部数学科教育専攻中退。2010年11月、立川談笑に入門。12年04月、二ツ目に昇進。軽妙かつ時にはシュールな創作落語を多数手掛ける。エッセー連載やテレビ・ラジオ出演などで多彩な才能を発揮。19年4月から月1回定例の「ひとり会」も始めた。著書に「現在落語論」(毎日新聞出版)。
立川談笑、らくご「虎の穴」 記事一覧はこちら

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