――仕事で対面しないので、スーツを着なくなったとの声も聞きます。打つ手はありますか。

「特に若い世代は、誰かがスーツを着る機会をつくらない限り、緩いほうへ、緩いほうへ、といってしまいます。うちの会社だって社員はほとんどスーツを着ていません。ですが、月曜日は違います。月曜はドレスアップの日と決めていて、うちで扱うランバンやポール・スミスのスーツを着て、スーツがないブランドの社員も相応にドレスアップして仕事をする。私もネクタイを締め、きちんとした格好です。この試みはドレスアップマンデーといって、01年に紳士服メーカーが集まって始めたキャンペーンで、うちではずっと継続しているんです」

「服をつくるところでも服を買う場合でも、人と人とが直接会わないと伝えられないことがたくさんあると思います。デジタルだけでは難しいですよね」

「時々ネクタイ」で身が引き締まる

――社内でスーツを着る機会をあえて作っているのですね。どんな雰囲気になりますか。

「面白いですよ。ポール・スミスの店頭経験者は普通じゃない、個性的なスーツをまとって出社してきますし。やはり、たまにそうして、ええもんを着たら、カッコいいと気付く。私は、スーツは男に一番似合う、男の戦闘服だと思っています。普段はカジュアルでノータイでも、時々ネクタイをきゅっと締めると身が引き締まる」

「メガバンクでもカジュアルスタイルが解禁となって、1日内勤だったらカジュアルでもいいか、というのはアリでしょう。でも、外に出てお客さまのところにいくときは、気分も変えてぴしっとする。仕事の装いにメリハリがある、ということはすごくいいんじゃないかなと思います」

――きょう着ているのはポール・スミスのセットアップ。遊び心のあるポール・スミスは大人が着てこそのブランドだと感じます。

「これはジャージー素材で、おなかが出てくるとこういう伸びる素材が着やすい(笑い)。色はグリーン系。上着のフラワーホールのエンジ色を拾って、相性が良いボルドーや茶系でチーフやタイ、靴をまとめました。基本、色はたくさん使いたくないという考えです」

ジャケットの裏地、ボタンホールの糸などにアクセントとなる色を使うのがポール・スミスならでは。白シャツはロンドンの旗艦店の入り口に着想した、しゃれた柄入りだ

「今の分野を担当するようになって、仕事では自分の扱っているブランドを買って着るように、と教え込まれました。自分で着ることで良い点や悪い点がわかるし、それを消費者の視点でフィードバックできるからです」

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