宮野真守 みんなの思いに「今できることを諦めず」

日経エンタテインメント!

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声優を核に、役者やアーティストとしても躍進を続ける宮野真守。2020年は大ヒットドラマ『半沢直樹』にも出演。片岡愛之助演じる金融庁担当検査官・黒崎の部下である古谷として、短い出番ながら大きなインパクトを残し、SNSを中心に話題をさらったことも記憶に新しい。

そんな宮野が20thシングル『ZERO to INFINITY』を発売した。声優としても出演する、『ウルトラギャラクシーファイト大いなる陰謀』(YouTube・ウルトラマン公式チャンネルにて配信中)の主題歌で、作詞も担当する表題曲に加え、『Beautiful Doll』『HELLO!』の2曲を収めたニューシングルとなっている。

1983年6月8日生まれ、埼玉県出身。子役として活動後、2001年声優デビュー。08年にはキングレコードよりアーティストデビューを果たす。ミュージカル『ウェイトレス』は21年3月、日生劇場他で公演予定(写真:藤本和史)

「アーティストとして『ウルトラマン』シリーズの主題歌を担当させていただくのは3作目になります。09年から10年以上ウルトラマンゼロの声をやらせていただくなかで、前2作では等身大な成長途中の思いをゼロの気持ちとともに僕の気持ちも乗せて歌詞を書いたんです。でも、『ZERO to INFINITY』に関しては、演じてきた10年の間にゼロ自身がとてもとても強く強く成長していって、後輩たちも増え、師匠にもなって、本当に大きくなったなあという思いがあったので、青臭さを表現したこれまでの主題歌とは違う方向性の曲がいいなと漠然と考えていました。逆にオラオラいってみようかなとか、楽曲も激しくアゲアゲな感じにしようかなとか。そう考えていたら、世の中はコロナ禍になってしまって…」

今だからこその絆を歌に

「(『ウルトラギャラクシーファイト 大いなる陰謀』の)坂本浩一監督もこの状況下でどう作っていくかをすごく大事にされていて。希望に向かってウルトラマンが光を見せていくというか、絆をつなぎ手を取り合い、力を合わせて自分たちの未来を切り開いていくというメッセージを込めて、今だからこそ描ける作品を作りたいという思いを聞かせてくださいました。

それで僕も方向性を改めて、希望のあるグルーブ感と光り輝くメロディーライン、そして歌詞も坂本監督の思いに呼応して、いま僕がこの時代に感じる、ウルトラマンだからこそ言える強い絆のメッセージを込めて『ZERO to INFINITY』はできました」

カップリング曲の『Beautiful Doll』は、歌詞のほとんどが英語という意欲作。1月放送開始のテレビアニメ『Levius レビウス』のエンディング曲で、宮野が演じるキャラクターが抱く愛をテーマにした美しいミドルバラードだ。そして「明るくポップなアイドルソング」を目指したという『HELLO!』は、作詞・作曲のSTYと宮野の打ち合わせの様子からレコーディング風景まで、制作の裏側を自身のYouTubeチャンネルで配信中の動画配信プログラム『Road to LIVING!』で公開するという新たな試みがなされている。

「僕自身、20年はいろんなものが中止になり悔しい思いもしました。それこそ、音楽活動において非常に大きなチャレンジになるはずだった6月のメットライフドームでの公演が『できない』となったときのつらさは、僕だけじゃなくスタッフ一同大きなものがあって…。だけど僕らはエンターテインメントを届ける側なので、それでもどうにか、なんとか届けようと考えるし、そうあるべきだと思うんですね。そこで、とにかく動こうと始まったのがYouTubeでの動画配信でした。ライブが中止になったことは、お客さんにとってはただただ喪失感が大きかったと思うんです。だけど見方を変えるとこんなにも求めてくれる人がいたんだと感じる出来事にもなり、とにかくみんなの思いをつなげたくて。まさか自分がYouTubeをするとは思っていなかったですけどね(笑)。で、そのチャンネルに『テーマソングがあってもいいですね』ということでできたのが『HELLO!』です。

曲にどんな思いを込めているのかとか、どういうふうに曲が出来上がっていくのかとか、これまでファンの方に伝えきれていなかったなと思うんです。せっかくなので今回はそれをファンの方たちに見てもらおうと!

STYさんが『雅マモル(宮野がライブなどでふんする架空の新人アイドル)の曲を作りたい』と言っていたのがポップな曲調につながったり、タイトルが決まった流れなども公開していますので、配信を見てこの1曲にどんなふうにクリエイティブが詰まっているのか感じてもらえたらうれしいですね。本当に三者三様のジェットコースターのような1枚になったなと思います」

諦めずに模索すれば見つけられる

前述の『半沢直樹』や2人芝居『カチカチ山』への出演、『おげんさんといっしょ』などでも存在感を発揮。もちろん声優としても20年12月5日に主演するアニメ映画『Fate/Grand Order-神聖円卓領域キャメロット-前編Wandering; Agateram』が公開。コロナ禍にあっても多種多様な活躍を見せた。

21年も日生劇場で3月上演のミュージカル『ウェイトレス』に出演するなど勢いは増すばかりだが、自身は20年をどう振り返り、これからをどう考えているのか。

「単純に自分の話だけをすると、20年も恵まれていたと思いますし、これまでやってきたことが実を結んできたというか、ただただありがたいです。『半沢直樹』では片岡愛之助さん演じる黒崎さんの横にいられることが幸せでしたし、堺雅人さんをはじめとするプロフェッショナルな方々のなかで芝居ができたことは何よりも勉強になりました。あるクイズ番組を見ていたら、『半沢直樹』に出た声優は誰? 答えは『宮野真守』、みたいな問題が出ていて、『あっ、俺ってそういうイメージになってるんだな』って。それはちょっと面白かったです(笑)。

でも、20年はエンターテインメントについて考えることは多かったと思いますし、どうしたらいいか分からないという状況は今も続いていて……。コロナ禍でいろいろな言葉が生まれましたけど、『不要不急』という言葉が出たときに、エンターテインメントは?ってみんな考えたと思うんですよね。娯楽の多くを封じられて、どう楽しんだらいいのか、そもそも楽しんでいいのかと。

でも、そうなってよりみんながエンターテインメントを求めたと思うんです。そこへの思いがどんどん強くなっていった。だから、僕も今できることをしていこうって思ったんです。どんな状況でも、諦めずに模索すれば可能性を見つけられることに気づくことができました。

21年もどうなるかまだ分からないですし、難しいなとも思うんです。でも、立ち止まらないでエンターテインメントを続けていけたら。目の前のこと1つひとつ丁寧に向き合って、未来へ進んでいければいいなと思っています」

『ZERO to INFINITY』
2020年12月9日発売の20thシングル。『ウルトラマンギャラクシーファイト 大いなる陰謀』の主題歌『ZERO to INFINITY』など3曲を収録。「今の状況下で感じている思いを、三者三様それぞれの形で曲に込めています」(宮野)。プラネタリウムで撮影したジャケット写真も印象的(1300円/キングレコード)

(文 山内涼子)

[日経エンタテインメント! 2021年1月号の記事を再構成]

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