withコロナ時代の新しい食事

スナックという言葉にはもともと「軽食」という意味がある。より広い意味でスナック菓子を捉え、「3時のおやつ」向けではない、かといって食事に取って代わるものでもない、今起こっている食生活やライフスタイルの変化に合った新しい食の選択肢を提供するのがニューノーマルおやつなのだ。

ポテトチップスにも料理名の付いたフレーバーの商品があるが、それらはあくまで味のイメージを表しているだけであり、例えば「バーベキュー味」のポテトチップスに肉が入っているわけではない。しかし、4月発売予定の「ポテトと料理」はこうしたフレーバーだけのスナック菓子とは一線を画す。実際に「デミグラスハンバーグ」では原材料に肉を、「タルタルフィッシュ」では魚を使っており、本格的な料理同様に煮込んだソースをポテトの生地で包んでいる。肉や魚はソースに溶け込んでいるので、食感があるわけではないが、しっかりとした料理を味わっているかのような満足度の高い、今までのスナック菓子にはなかった新しい感覚を提供できる商品を目標に開発が進められている。

発売を目指し、今も試作と検討が重ねられている

一方、「ハッシュドポテト」という商品は以前からあり、小さいサイズのスタンディングパウチで商品展開していた。ところが、こちらはコロナ禍で売り上げが減少。小サイズはオフィスなどでの需要が多かったためだ。そこでニューノーマルおやつの一つとして大きくリニューアルした。家庭でのニーズに合った大きなサイズに容量変更するとともに、新たに具材入りをラインアップに追加。ベーコンチップを生地に混ぜ込むというのは初めての試みだった。

スナック菓子で中食市場に進出

単にフレーバーだけではない、しっかりと具材を使い、料理を感じさせる今までにないスナック菓子であることを、どうすればユーザーにうまく伝えることができるのか。「そのコミュニケーション、特にネーミングの開発に多くの時間を費やした」と新井氏は言う。

スナック菓子だが料理でもある。あるいは、料理だがスナック菓子でもある。昼食でも夕食でも、おやつでもない。そんな食べ物を表す言葉や概念は、今までにはなかった。パンは食事、ポテトチップスはおやつといった固定的な考えをひっくり返し、「そういう食べ物があるんだ」という認識をゼロからつくっていく。それが「ニューノーマルおやつ」というジャンルであり、「ポテトと料理」というブランドの役割だ。

現在、成長著しい中食市場への進出という側面もある。「すでにコロナ禍以前から、若い世代ではスナック菓子を中食の選択肢の一つにしている人が増えていた」と新井氏は指摘する。中食によりふさわしい商品を開発することで、積極的に中食需要を取り込みたい考えだ。ニューノーマルおやつ4商品で、初年度15億円の売り上げを目指している。

(デザインジャーナリスト/エディター 笹田克彦)

[日経クロストレンド 2020年12月22日の記事を再構成]

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