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芸も料理も同じ「サプライズが感動に」 木村祐一さん

食の履歴書

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NIKKEI STYLE

お笑い芸人、コラムニスト、俳優、映画監督まで、多彩な顔を見せるタレント、キム兄(にい)こと木村祐一さん(57)。プロ並みの腕前を持つ料理は「サプライズが感動になる。芸人の道とよく似ている」とレシピ本などを多数出している。

京都市内で生まれ育った。父親は金加工業。物心ついたころには家で父が金箔や金粉を器用に貼る姿を眺めていた。母は職人の父を手伝うこともあった。給食の献立や母の作る晩ご飯のメニューを楽しみにする子どもだった。好きなメニューは「焼き飯」。母がその日冷蔵庫の中にあった食材と、ご飯をフライパンでいため合わせたものだ。

母の料理は味噌汁にベーコンを入れるなど「基本にとらわれず自由だった」。だから時折、だしや調味料を入れ忘れ、失敗することもあったが、とびっきりうまい日もある。今のキム兄の得意料理が「鍋やチャーハンなど手間のかけ方次第で絶妙の味わいになるもの」である原点は母の自由な料理からかもしれない。

初めて包丁を握ったのは小学校4年生ごろ。親は家業で忙しいから夕飯は遅い時間で、いつも腹が空いていた。また、軟らかい食感のものが好きな父に合わせた母の料理に、物足りなさを感じて「自作してみよう」と思い立った。

「いつもの軟らかいモヤシやキャベツでない、シャキシャキ感を存分に味わってみたい」。背丈が足りず踏み台を使いつつ、親に代わってご飯を炊いて、夕飯の一品に野菜炒めを作った。繰り返し作るうちに、弟がキム兄の料理を心待ちにするようになった。子どもの料理ながらも「人を喜ばせることの楽しさを初めて感じた」。

中学時代は3年間、野球漬けだったが、再び料理と接点を持ったのは高校時代のアルバイトで。部活動や学外の仲間と組んだロックバンドに励み、朝は新聞配達、夜は新京極のレストランで働いた。洋食との出合いに心が躍った。教えられたメニューは40年以上前では珍しいカルボナーラ、クロックムッシュ、デザートにアップルパイ……。スパゲティのナポリタンかミートソースだった時代に、おしゃれな料理を次々作った。

ホテルマンや染め物職人を経験

高校を卒業して入社したのがホテルだ。新人で配属されたのはコーヒーショップ。宿泊客向けに朝7時から夜11時まで、食事を提供する。

ウエーターとして働きながら調理場をじっと観察したり、味付けについてコックを質問攻めにしたり。客に味を聞かれたら、すぐに答えられるよう「社員割引価格ながら自腹を切って次から次へと食べ込んだ」。ある日、その熱心さを認められコックに調理場に呼ばれた。「オムレツを教えてやろう」。シンプルだからこそ作り手の技術が味わいに直結するメニュー。細かい手さばきを観察することで、火加減の大切さを学んだ。

2年勤めたホテルを退職し、次に就いたのが染め物職人の仕事。今も着物を染めている夢をみるほど仕事が板についていたというが、3年ほどして中学校の同級生から「俺と一緒にお笑い芸人になろう」と熱く口説かれた。23歳で吉本興業へ。「失敗すれば職人に戻ればいい」と考えていたが、サプライズを客に与えられると、笑う顔が返ってくる。弟が自分の料理を楽しみにしてくれた時に感じた喜びが芸人の道を続けさせた。

しかし売れない貧乏暮らし。食費をいかに安く上げるかを常に考えて大阪・梅田の劇場では、先輩が楽屋に中華料理の出前を取るのを横目に、サラダ巻き1本か安い立ち食いそばで昼をしのいだ。「いつかあの中華料理店で出前を取りたい」と誓った。

家ではとにかくご飯。強い味方が塩だ。とびきり大きい業務用を購入した。「励みの塩だね。使い切る頃には芸人として成長していますようにという」。食べたい料理に思いをはせながら、塩を見て自分を奮い立たせた。

学生時代に担任から「頼まれたら金も貸すんか」と心配されたほど、「頼まれたら断れないタイプ」。気づけば構成作家、俳優、映画監督と活躍の舞台を広げたのを「飽き性だから色々やりたいだけ」と笑うが、実はどれも熱心に頼られ、応えた結果だ。

各界の著名人から声がかかり、妻の友人にも手料理を振る舞う機会が多い。和食、フレンチ、イタリアンと、メンバーに合わせて変幻自在だ。キム兄の芸で目立つのが「写術」。散歩で見かけたヘンな看板や身近な風景、人の様子に突っ込みを入れる。当意即妙の芸風は料理でも「おっ!」というサプライズを与え続けている。

【最後の晩餐】 人が作ったものやなくて、自分で作ったものを食べたい。メニューはチャーハンかなあ。具材はその時の気分もあるけど、やっぱり卵チャーハン。卵に塩と、タマネギを使ったシンプルなものを作るだろうなあ。

ウナギの食感を感じる

粒の際だったコメとしっかり食感のウナギの相性抜群、うな重。ギタリストのCharさんから教えられ10年以上、キム兄が家族と通うのが東京・恵比寿の「うな徳」(電話03・3461・5105)。焼いた後に蒸してタレをかける江戸前。ウナギの身の食感をしっかり感じられるよう加減を工夫する。裏メニューでキム兄お薦めのヒレ焼きはウナギ7~8匹分のヒレとニラを巻き付けて焼いたもので「とにかく仕事が丁寧」。多いときには週に1度のペースで通い、店主を「じいじ、ばあば」と娘が慕うほど。いわば木村家の食卓だ。うな重や串焼きをはじめ「お酒を飲む人も多い」(店主の加藤正典さん)ので、ポテトサラダにチーズをのせた「焼ポテサラ」、刺身や焼き鳥まで、ウナギ以外の料理も豊富に取りそろえる。

(田中早紀)

 きむら・ゆういち 1963年京都府生まれ。高校卒業後、ホテルマン、染め物職人などを経て、23歳でお笑い芸人に。ドラマ・映画では俳優としても活躍する。ホテルマン時代から磨く料理の腕前はよく知られ、「キム兄&クックパッドつまみ越え」(主婦と生活社)など多数。

[NIKKEIプラス1 2020年12月26日付]

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