「絵里さんについては、収入や生活レベルはどれくらいで、どのようにして今に至ったのか。脚本の岡田(恵和)さんからいただいた人物設定を参考に考えたりしました」

リングに上がる気持ちで挑んだ映画

1月8日公開の出演映画『おとなの事情 スマホをのぞいたら』は、世界18カ国でリメイクされたイタリア映画『おとなの事情』の日本版。鈴木さんはとあるパーティーでスマートフォンを出し合い、「今からかかってきた電話はスピーカーモードで、メールも全部公開する」というゲームに夫婦で参加することになった精神科医・六甲絵里を演じている。

「ひとつのシチュエーションで物語が進んで、最初と最後では、まったく違う感情が生まれる。舞台のような会話劇で、とてもやりがいのある作品だなと思いました。それから、『この作品では、リハーサルをしっかりやって撮影に入ります』とお聞きしたのも大きかったですね。リハーサルって、面白いんですよ。『このセリフ、そんなふうに言うんですね!』と刺激を受けたりして、いろんな化学反応が生まれる。お話をいただいたときからやる気マンマンで、『ぜひやらせてください』という感じでした」

六甲絵里役を演じる鈴木保奈美さん (c)2020 Sony Pictures Entertainment (Japan)Inc. All rights reserved.

「これまでドラマや映画でいただいてきた役のなかで、絵里さんは一番ダメな女でしたね(笑)。精神科医として開業していて、時々コメンテーターとしてテレビに呼ばれるような、ちょっとしたセレブ。でも精神科医なのに精神的に幼い部分があって。賢い人なので、それに自分で気づいて葛藤もしている。そんな彼女が、私はとてもいとおしいなと思いました」

夫の六甲隆役は益岡徹さん。共演には東山紀之さんや常盤貴子さんら演技派が並び、大人が楽しめるシチュエーションコメディーになった。

「ちょうどスマホを出し合うテーブルが丸かったこともあって、『さあ、きょうもリングに上がるぞ! 上がったら7人でファイトだぞ!』という気持ちで挑みました。ただ、みなさん大人で、プロなので、この作品はコミュニケーションが大事だと分かっている。待ち時間もなんとなく現場にいて、役について話したり、世間話をしたりしていましたね。また監督がとてもスイートな人で。私が絵里さんを嫌な女にしそうになると、必死に引き留めてくれるんです。本当に良いチームでしたし、知的で楽しい現場でした」

「絵里さんは私がいただいてきた役のなかで、一番ダメな女(笑)。でも、人は良いところばかりじゃなく、ダメなところも、それはそれで魅力だと思うんです」
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スマホを持って変わったこと