「体を作る筋肉、皮膚や髪、内臓などの組織、ホルモン、酵素などは、ほぼたんぱく質を材料として作られていて、特に筋肉においては、水分以外の約80%がたんぱく質によって構成されています。また、筋肉のたんぱく質は緊急時に分解されてエネルギー源としても使われることがあります」(藤田さん)

カラダの大部分はたんぱく質からできているということか。たんぱく質がいかに大切かが分かる。また、たんぱく質は気を付けていないと不足がちになる、とも聞く。やはり毎日とるべきなのだろうか?

「はい、毎日摂取する必要があります。食事などで取り込まれたたんぱく質は、アミノ酸へと分解され、体の各部位でたんぱく質に再合成されます。体内では、たんぱく質の合成とアミノ酸への分解が常に行われており、またアミノ酸の一部は燃焼されたり排せつされたりしてなくなるので、たんぱく質を毎日新たにとらなくてはならないのです」(藤田さん)

毎日摂取するとなると、気になるのはその量。素人考えだと、「カラダにいいならたくさんとればいいじゃないか」と思いがちだが…。

「1日当たり3食合計60~70gが理想です。中高年の場合は体重1キロ当たり、0.4gを目安としてください。この計算式でいうと、体重50kgの女性であれば1食あたり20g、3食合計で60gとなります。私自身もこの計算式を利用しています。また、1食で1日分をまとめてとろうとせず、必ず3食に分けてとるようにしましょう」(藤田さん)

1食でどうすればたんぱく質20gがとれるだろうか。肉・魚であれば、部位にもよるが100g当たりだいたい20g程度のたんぱく質を含んでいる。豚ヒレ肉なら2~3切れ、サバなら1切れ、イワシ缶1個が目安になる。

また、卵1個のたんぱく質は約6.2g、牛乳200mLで6.8g、納豆1パック(50g)で8.3g程度だ。ご飯やパンなどの穀物にもたんぱく質は含まれており、ご飯は茶わんに軽く1杯でたんぱく質が3.8g、食パンなら6枚切り1枚で5.6g程度になる。これらを組み合わせて、まずは1食20gを目指そう。

がんばれば何とかとれそうな量だが、「朝や昼は時間がなくて、食事の準備が十分にできず、そこまでの量をなかなかとれない」という方もいるだろう。だがご安心を。「たんぱく質は、プロテインでとってもOKです」と藤田さん。

「プロテインは、肉からたんぱく質を摂取した場合よりも、筋肉の合成が早いと言われています。だからといって、食事の代わりにプロテインだけで済ますことは、あまりお勧めできません。あくまでも補助と考えるようにしましょう」(藤田さん)

藤田さんによると、筋肉の合成だけを考えればプロテインのほうが効率がいいのかもしれないが、肉や魚を食べるのはほかの栄養素をとるためでもある。そのため、食事で不足した分、プロテインで補うという考え方がいい、というわけだ。

筋トレ後1~2時間以内にプロテインを飲むのが効果的

「筋トレで筋肉をつけたい人は、プロテインは筋トレとセットにしましょう。飲むタイミングは、厳密に考えなくてもいいとも言われていますが、筋トレの後1~2時間以内に飲むと筋肉の合成が高まるのでより良いと考えられます」(藤田さん)

なお、プロテインを飲むと、それだけで満腹感が得られることがある。そのため、「ダイエット中の人は、食前にプロテインを飲めば、お腹がある程度満たされるので、食事を食べ過ぎることがなくなるかもしれません」という耳よりな情報を藤田さんに教えてもらった。逆に高齢者の方は、食前に飲むと食事が十分にとれなくなるかもしれないので、食後に飲むといい、とのことだ。

ところで、たんぱく質というと、大豆などの「植物性たんぱく質」、肉などの「動物性たんぱく質」に分けられるが、藤田さんが筋肉を増やすためにお勧めするのは「動物性」だという。

「動物性のたんぱく質の利点は、アミノ酸が豊富で、バランスよく含まれているということ。また必須アミノ酸の一種で、筋肉の合成を促すロイシンが豊富なこともお勧めする理由の一つです」(藤田さん)

ロイシンと筋トレがmTORを刺激して筋肉合成を促す

ただし、動物性たんぱく質を摂取するために肉や魚を食べるときに注意したいのは、脂質のとり過ぎだ。藤田さんは、「赤身肉やカツオなど、できるだけ脂肪が少ないものを選ぶようにするといいでしょう」とアドバイスする。

おつまみで言うなら、鶏のから揚げよりも鶏のグリル、マグロやカツオなどの赤身の刺し身にすれば、脂質のとり過ぎは防げそうだ。ささみの梅しそ巻き、だし巻き卵なども良いかもしれない。また、植物性たんぱく質でも、特に含有量が多い高野豆腐の煮物などはお勧めだ。

なお、筋肉を増やしたいというよりも、筋肉量は維持しつつダイエットしたいという方は、納豆や豆腐などの植物性たんぱく質をとると、脂肪の燃焼効果も期待できるという。

藤田さんによると、「たんぱく質だけでなく、筋肉の合成を促進する食べ物も一緒にとったほうがいい」とのこと。中でも「ビタミンB群とビタミンDは積極的にとるべき」だという。

「ビタミンB群は運動後の疲労回復をサポートし、ビタミンDは筋肉の合成を促進します。これらは、意識して、たんぱく質と一緒にとってほしい栄養素です。また、ほかにも、ビタミンC、亜鉛、鉄、糖質、カルシウムなどをバランスよくとることが大切です」(藤田さん)

ビタミンB群のうちB6は、アミノ酸の再合成を手助けする働きがあり、赤身の魚やささみに多い。ビタミンDは青魚などに多く、また日光を浴びることで体内で合成される。

筋トレラブの酒好きの多くは、「筋肉=たんぱく質」という図式が頭にあるので、ついほかの栄養素をないがしろにしがちかもしれない。また、カラダを絞り込むため、糖質制限をしている人も少なくないが、「糖質が不足すると、筋肉の分解につながるので注意してください」と藤田さん。筋トレで筋肉をつけたいなら、糖質もきちんととらなければならないのだ。

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