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その後、TBSの単発ドラマ『書類を男にしただけで』で、書類の不備で男性として転職してしまったヒロイン・箕輪祐希を男装して演じた。『美食探偵』での男装シーンがきっかけでキャスティングされたそうで、「こうやってつながることもあるんだ」と思ったそう。

コミカルなシーンも多かった『美食探偵』での苺役に、ホラーコメディの『妖怪シェアハウス』、社会派ラブコメと銘打った『書類を男にしただけで』と、この1年で開花したのが、小芝のコメディエンヌとしての才能だ。テンポの良いセリフ回しとコロコロと変わる表情で視聴者を魅了した。

「最近、『コメディエンヌ』って、記事でも書いてくださる方が増えました。私はトリッキーなことができる性格でもないし、ビジュアルも普通なので、『個性がないな』って、ずっとコンプレックスだったんです。でもコメディ作品が増えて、見た人が『いいね!』と言ってくれて。1つの個性になってきた気がして、うれしいです。

私は元気な女の子や、真面目でいい子の役が多かったんですけど、シリアスな役も演じたいし、犯罪者のような怖い役もやってみたい。怖い役は、10代から言っているのにご縁がないんです(笑)。

うれしいことに20年はドラマ出演が多くて。ドラマは撮影期間が長いぶん、共演者の方やスタッフさんとコミュニケーションが取れるので、楽しいですし大好きです。でももちろん、映画にも出演できるように頑張りたい。舞台もすごくやりたいんですよね。まだ2作しか経験がないですが、普段とは全然違う声の出し方や動きをするので勉強になります。

あとは、配信作品にもとても興味があります。民放じゃないからこその踏み込んだ内容が多かったりするので。そういう場で、今までできなかった役に挑戦できたらいいなと思っています。将来的には、映画、ドラマ、舞台、配信とバランス良くやっていけたらいいなっていうのが本音です」

21年は“非・コメディ”で幕を開ける。『僕の生きる道』(03年)、などのヒューマンドラマの名手・橋部敦子が脚本を手掛ける、1月期の『モコミ~彼女ちょっとヘンだけど~』(テレビ朝日系)に主演。人とのコミュニケーションが苦手で内気な主人公・萌子美を演じる。

「コメディ作品が続いていたので、楽しみです。モコミはモノと会話ができるという、普通の人とは違う感覚を持っている女の子。しゃべるとヘンな子だと思われるので人と話すことが苦手になった彼女が、勇気を出して前に進む姿を丁寧に演じていきたいです。

21年は、芸能界入りして10年。最初はマネジャーさんに言われたことをやるだけだったのが、現場に慣れて、『どうしたら役に寄り添えるんだろう?』と考えるようになりました。このお仕事の楽しさが分かってきた感じがします。

10年後には、『この人が出てるんだったら、見たい』と思ってもらえるような女優になりたいです。私が大好きなのは、満島ひかりさんや安藤サクラさん、蒼井優さん。例えば、満島さんの泣くお芝居は、こっちまで胸が苦しくなって泣いちゃうような力がありますよね? そんなふうに人の心を揺さぶる女優になりたい。そのためにお芝居をもっともっと磨いていきたいです」

(ライター 泊貴洋)

[日経エンタテインメント! 2021年1月号の記事を再構成]

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