
ビームスのディレクター西口修平さんは、世界的に著名なウェルドレッサー。実は、クラシックを軸とするエレガントな装いにヴィンテージウオッチを合わせる名手でもあるのです。愛用時計とその付けこなし方を披露していただきました。
クラシックな装いには、ヴィンテージ時計が良く似合う
セレクトショップのビームスのなかでも、時代性あるクラシックスタイルを提案する「ビームスF」。西口修平さんは、その次世代クラシックレーベルを手掛けるディレクター。
新たな男性服に関する提案力もさることながら、独自の感性にてヴィンテージミックスのコーディネート・テクニックにも定評がある人物です。世界中のファッションメディアにおいて西口流スタイルが日々紹介されるだけでなく、インスタグラムでは約11万人のフォロワー数を誇る、当代きってのファッショニスタなのです。
そんな西口さんは、小物使いに関しても超一流。なかでもヴィンテージ時計におけるチョイスの絶妙さと、洒脱に付けこなすテクニックは、マスタークラスと言える腕前です。そこで、ヴィンテージ時計に寄せる思いの丈や付けなす際のこだわりを伺ってみました。
「学生の頃からクラシックスタイルに憧れていて、そんな着こなしには時計もクラシカルなものがマッチすると考えていました。
リアルなクラシックスタイルを知るテキストとして最適なもののひとつに、往年のハリウッドムービーが挙げられます。1940~60年代を描いた映画では、お洒落な紳士たちが小ぶりの機械式時計を品良く付けて登場します。そういった装い方を自分も取り入れようと、ヴィンテージ時計の道に入りました。
それに、ヴィンテージウオッチには一期一会の出合いがあるように思います。長い時間を経て、ようやく自分の手元にたどり着いた感じとでも言いましょうか。昔ながらのつくりの良さや古色も当然ポイントですが、そういった特別感に心が動かされます」
そんな西口さんがこの日選んだのは、1950年代の金無垢ロレックス。いわゆる“ノンオイスター(非防水)”と呼ばれる、今となっては希少なスモールセコンド式のドレスウオッチです。
きょうの装いは、アルフォンソ シリカのオーダースーツをメインとしたリラックス感のあるスタイル。英国的なキャバルリーツイルの一着に、ヴィンテージロレックスが調和しています。
「ご存じのとおり、ロレックスはスイスの時計ブランドですが、創業当時は本社をロンドンに置いていました。英国での販売に軸足を置いていた時期があり、このモデルも英国製のデニソンケースをまとったモデル。ただしインデックスの意匠はロレックスらしく、極めてオーソドックスなアラビア数字。ソフトな仕立てのスーツをニットで着こなす装いに、ほど良くマッチしていると考えます」
ここでちょっと解説すると、デニソンケースとは、デニソン・ウォッチケース・カンパニーという英国の会社が製造していた時計ケースのこと。当時、英国市場のみに供給された高品質なケースなので、時計好きやコレクターからも人気を集めているのです。

THE NIKKEI MAGAZINE 4月誕生!
Men's Fashionはこの4月、あらゆるビジネスパーソンに上質なライフスタイルを提案するメディア「THE NIKKEI MAGAZINE」に生まれ変わります。限定イベントなどを提供する会員組織「THE NIKKEI MAGAZINE CLUB」も発足します。先行登録はこちら