海外配信拡大、著作権処理が課題

こうした見本市で海外のバイヤーの目にとまると、アーティストは海外レーベルとの契約や現地でのイベントへの出演などにつながっていく。一方で20年は、ネットを使って海外のファンに直接アプローチする動きも加速している。

ソニー・ミュージックレーベルズ(東京・千代田)は、米国拠点のアニメ配信事業会社Funimation Global Groupの「Funimation.com」で、ソニーミュージックが持つ音楽映像コンテンツをストリーミング配信する。第1弾として、ロックバンドFLOWのライブ映像「FLOW 超会議 2020 ~アニメ縛りリターンズ~」を20年11月13日から、米国、カナダ、英国向けに配信し始めた。フランスやロシア、デンマークなどでも配信している。

米国やカナダ、英国などに向けて配信されている「FLOW超会議 2020 ~アニメ縛りリターンズ~」(撮影/柴田恵理 写真提供/ソニー・ミュージックレーベルズ)

冒頭のSpotifyのライブにも出演したEnd of the Worldは、グローバル・ニュー・アルバム「Chameleon」のリリースを記念して20年11月7日に無料配信ライブを実施した。End of the Worldは、SEKAI NO OWARIがグローバル展開を目的として取り組む新プロジェクト。11月27日に発売したアルバム「Chameleon」は全曲英語で収録され、世界で配信されている。

20年10月に開催されたジャニーズのアイドルグループ・Snow Manの単独ライブも中国に配信され話題となった。

現地でビジネスを拡大するには、何度も足を運ぶなどファンとの接点をどう増やすかがカギといわれる。コロナで動きにくくなった今は、アフターコロナに向けて、ネットで接点を増やす――。Spotify presents Tokyo Super Hits Live 2020をスポティファイジャパンと企画したクリエイティブマンプロダクション 代表取締役 清水直樹氏も「日本ではクラブでライブをするようなアーティストなのに、中国では1000~2000人クラスの会場が埋まる。ストリーミングで新たなマーケットができているということ」と分析する。ネットに活路を求める動きは拡大しているが、海外の視聴国での著作権使用料の支払い処理や納税も必要。こうした課題をクリアして成果が上がれば、海外戦略が大きく変わる可能性もありそうだ。

(日経クロストレンド編集長 吾妻拓)

[日経クロストレンド 2020年12月17日の記事を再構成]

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