【ケース3】コロナで明日はないのかも…と思い、10年ぶりに正社員で働き始める<#専業主婦からの再就職>

「コロナによる在宅勤務も、働き続けられる追い風になりました」と語る古川さん
古川麻未さん(33歳)
● PR・コミュニティマネージャー
● 夫と幼稚園児の3人暮らし

専業主婦だった古川麻未さんは、働きたいという思いを長年抱いていた。だが、娘は幼稚園に通い、夫が1年後に地元広島に転勤予定、両親も近くにいない状況では、働くことに自信が持てなかった。「でもコロナで、明日は来ないのかもしれないという恐怖を感じたんです」。「『○○ちゃんのお母さん』で人生を終わらせたくない」という思いが募り、友人から紹介されたPR会社のパートに挑むことに。「チャンスだと思いました。ライフプラン表を作って、私が働くことに前向きではなかった夫にプレゼンし、“夫ブロック”を阻止。朝4時起きで勉強や家事をする日々を重ねました」。

結果、職場での働きぶりが認められ、10年ぶりに正社員として採用された。広島に戻っても、在宅勤務でPR の仕事を続けられるという。「慣れない生活で体は疲れていますが、楽しくて仕方ない。でもそれ以上に、週末の家族との時間が、大切でいとしいものだと気づきました」。

<価値観がこう変わった!>
一度きりの人生、心残りのない生き方をしたい

未経験の仕事に挑むのは不安で、子育てとの両立にも自信がなかったが、コロナのニュースで明日が普通に来ることが当たり前ではないと気づき、やりたいことをやろうという気持ちに。

チェンジで幸せになれた秘訣

【秘訣1】普段から友人らに働きたい意思を伝えていた
ネットで就職先を探したが、勤務時間などの条件が合わず、なかなか決まらなかった。「普段から、周りの友人に『働きたい』という気持ちを口にしていました。そこからチャンスにつながりました」。

【秘訣2】ライフプラン表を作り、働くメリットを夫にプレゼン
働くことに決して賛成でなかった夫を説得するために、作成したライフプラン表を見せながら、何歳でどんなお金がいくら必要かを説明。収入の柱が増えるメリットを力説した。

【秘訣3】夫や娘に感謝を伝え、応援する・される関係を築く
夫や娘に応援してもらうために、協力してくれたら感謝の気持ちを、口頭やLINEで伝える。「自分の仕事の話もしつつ、『あなたも毎日大変だと実感した』といった感想も、夫に伝えるように」。

【秘訣4】時短メイクグッズやオイシックスで時間を節約
塗るだけのスティックファンデーションや、食材宅配サービスを使い、時間を節約。朝4時起床の朝型生活に変え、家事を済ませ、仕事のための情報収集に集中。
人生でかかるお金を可視化
<コロナを機に「行動して手に入れた幸せ」>
社会とのつながり、収入増の安心感、家族と濃密に過ごす休日

新しい生活に疲れて、休日の早朝にマッサージに駆け込むことも。「でも、在宅勤務のおかげで子育てとの両立がしやすく、収入が増えた安心感も。娘と遊ぶ休日が楽しみになりました」。

<ここはちょっとデメリット>
睡眠時間が2時間減少&朝がバタバタ
<行動できた私の格言>
笑いなさい。笑えばきっと福が来てくれるから(祖母からの手紙の言葉)

【ケース4】コロナで旅やマラソンの楽しみがゼロに 保護犬との生活で心機一転<#ペットと暮らす #転職 #転居>

「日々の小さな幸せが本当の幸せだと相棒(チャシローくん)に教わりました」と語る小原さん
小原亜希子さん(40歳)
● ダイセル ヘルスケアSBU WELLMETHODプランナー
● 愛犬と同居

子どもの頃から大の動物好きだった小原亜希子さん。しかし、出張が多く、休日も旅行やマラソンで家を空けがち。飼うのは半ば諦めていた。

2020年初め、「40歳がラストチャンス」と考え、転職を決意。大阪の企業の2次面接まで進んだもののコロナ感染拡大に伴い、選考は一旦延期に。「正直、東京から大阪に行くことに迷いもあった」と言う小原さん。ところが、コロナで自身を見つめ直す時間を得たことで新生活への不安が期待へとスイッチ。緊急事態宣言直前に採用を勝ち取り、新居はペット可物件を選んだ。

転職・転居後、新しい環境にスムーズになじめたことから、「今が動物と暮らすタイミング」と保護犬の譲渡会に参加。生後6カ月のチャシローと出会う。最初はおびえていたチャシローだが、小原さんの細やかな世話で少しずつ距離が縮まっていった。「チャシローとの穏やかな時間がとても幸せ。夢に思い描いていた生活を手に入れました」。

<価値観がこう変わった!>
マラソンなど外での楽しみがなくなり環境を一新したい気持ちに

コロナ感染拡大で転職活動がストップ。月1~2回参加していたマラソン大会も軒並みキャンセルに。押し寄せる閉塞感のなかで、仕事も住環境もすべてを一新したい気持ちが膨らんだ。

チェンジで幸せになれた秘訣

【秘訣1】ステイホームで転職・転居・犬を飼うをじっくり計画
ステイホームが始まり、プライベートの予定はキャンセル、仕事は在宅勤務中心に。おかげで、転職・転居・犬と暮らすという3つの計画にかける時間がたっぷり取れた。

【秘訣2】在阪の友人のアドバイスで部屋探しはピンポイントに
緊急事態宣言が迫るなか、大阪在住の友人から「住みやすい」とお墨付きの地域に絞って部屋探し。わずか1日で理想的な「2LDK・ペット可物件」が見つかった。

【秘訣3】新たな職場と仕事に慣れる期間を設ける
新生活に当たり、まずは仕事に専念。「今の職場のメンバーは意識が高く、仕事がスピーディー。ペットに対する理解もあるのが助かりました」。

【秘訣4】保護犬への接し方は経験者や愛護団体に相談
事前に情報収集したが、定石通りの飼い方では繊細な保護犬に合わない場合も。「愛犬家の義姉や愛護団体に相談し、チャシローに合う接し方を模索しました」。
2LDKの1室を犬用の部屋に
<コロナを機に「行動して手に入れた幸せ」>
「日々の暮らしのなかでも十分心は満たされる」と知ったこと

ずっと「自分で自分を幸せにできる」と思っていたが、それは旅やマラソンなど外で得られる刺激があってこそ。唯一無二の相棒を得て、日々の暮らしで心が満たされる幸せを知った。

<ここはちょっとデメリット>
掃除の回数が増えて、自分中心の生活ではなくなった
<行動できた私の格言>
機が熟するまでは動かない。熟したと感じたら素早く行動に!
中島みきさん
カヤックSMOUT事業部長。SMOUT(スマウト)は、移住したい人や地域と関わりたい人と、地域のプロジェクトに携わる人々とを、オンラインでつなげる移住スカウトサービス。
https://smout.jp/

(構成・取材・文 高島三幸、取材・文 工藤花衣/土井裕美、写真 南 健二=城戸さん撮影/小野さやか=岸さん・古川さん撮影 /太田未来子=小原さん撮影)

[日経ウーマン 2020年11月号の記事を再構成]