――オンラインの弊害とは。
Aさん ツイッター上で「質問箱」という匿名で質問できるサービスがあるのですが、大学生もよく使っていて、その中で他の人を傷つける投稿があったり、友人のすごくプライベートな情報が流されたりするのを見ると、みんな心が不安定なのかなと感じます。他にも友達の写真を勝手に複製してSNSで偽アカウントが作られたり、くだらないいじめみたいなのがあったりするんですよ。同じ大学というだけでフォロー関係になっていて、つながりの垣根が低いからこういう事態が起きているのかなと。
Dさん 私も友達から聞いたのですが、大学の学科のグループLINEも誰かに荒らされて消滅したらしいです……。
Cさん 僕の学科も1年生のグループLINEがあったのですが、変な人が入ってきて、自分のユーチューブ動画を連投し出すというカオスな状況になって、僕は抜けましたね。
――結構穏やかじゃない事態が起きていたんですね。色々と不安定な状況のなか、自分自身の大学生活で、コロナの影響で困ったことや、残念だったことってありますか。
Cさん 自分が今入っている学生団体のイベントはコロナ以降、Zoomでの開催になっていて、それだとどうしても熱量や盛り上がりに欠けるなと感じます。
Aさん 今の大学を選んだ理由の一つは交換留学制度だったんです。選抜があるので英語の勉強を頑張っているのですが、今年の交換留学は中止で、再開のめどが立っていません。受験勉強のモチベーションだったので、それはすごく大きいです。大学院に進んででも、絶対留学したいので、それは諦めたくないですね。
Bさん 私は何か学んだことや経験したことも人に話したいタイプなので、人に会って刺激しあえないのがとても消化不良でした。そもそも高校で所属していたオーケストラの引退公演がコロナで中止になってしまったこともひきずっていましたね。しかも入学後は授業がすごく大変で、情報に押し流される感じ。自分が好きだったことがどうでもよくなっちゃうぐらい、無気力になっていました。
オンラインイベントで「好きなこと探し」
――Bさんが言うように、モチベーションが下がる、という人は多かったかもしれません。せっかくのキャンパスライフが始まらないなか、皆さんはどこに活路を見いだしましたか。
Bさん 夏休みに少し余裕が出てきて、このままじゃだめだという思いから、本当は気分が乗らないけど色々イベントに参加したんです。高校のときに交流のあった外国のオーケストラと一緒にオンラインで合奏するイベントに参加したり。あとは大学で多様性をテーマにしたイベントがあって、企画運営に手を挙げたんです。私は障害者の方の生活がコロナでどう変わったのかということをテーマにパネルディスカッションを企画しました。とりあえず何か興味あることは続けて、小さな成功体験を積み重ね、気持ちも少しずつ前向きになってきました。
Aさん 高校までの勉強って机で勉強するというタイプのものが多いですが、大学になってからはそれだけが学びじゃないなと思って、学外の人と話したり、企画に参加したりするタイプの多面的な学びの機会を増やすようにしました。たまたま同じ学部の先輩が主催した座談会に参加したことがきっかけで、起業家や社会人との勉強会に参加できるようになり、今まで会ったことないタイプの方から、生き方の選択肢を聞いて人生勉強をしていました。
Cさん 僕も大学の外に活路を求めて、いろんなところに足を突っ込んで好きなもの探しをしてきました。自粛期間中はオンラインサロンに参加して、面白い社会人や学生とたくさん出会えました。もともと自分は保守的な性格でしたが、感性に優れた方など、違う価値観に触れたのは刺激になりました。こういうところでインプットできたことを、今は学生団体でアウトプットしている感じです。
Dさん 私は1年生の間は好きなことを見つける期間で、2年生以降にそれを極めるというふうに考えていました。だから、自分が所属している学内情報サイトを運営する学生団体でもミスコンテストの運営やフリーペーパーの作成など色々なことに手を出しまくっていました。最近はホームページのデザインに興味があります。私が提案したデザインが採用されることも多く、これが向いているのかもしれないと思って、もっと勉強して究めていきたいなと思っているところです。
(つづく)