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映画「新解釈・三國志」プロデューサー、松橋氏(右)と北島氏

映画「新解釈・三國志」プロデューサー、松橋氏(右)と北島氏

映画プロデューサーは忙しい。企画、監督、脚本、キャスト、スタッフの選定、予算管理、撮影、編集、宣伝など映画1作のあらゆる局面に携わる。同時進行で10本余りの企画を抱えることも珍しくないという。主役の劉備玄徳役に大泉洋を起用し、話題を呼んでいるコメディー映画「新解釈・三國志」を手がけたプロデューサー、松橋真三、北島直明の2人にヒットの条件を聞いた。(敬称略)

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映画ファンにとって、誰がどんな役どころで出演するかのキャスティングは一番興味を引かれるところだ。「新解釈・三國志」では絶世の美女の貂蝉役に渡辺直美、不美人の歴史的な代名詞となっている孔明の黄夫人に橋本環奈を当てるなど遊び心が満ちている。

松橋「映画プロデューサーは企画に始まり、公開、宣伝まで映画1本に毎回1つの会社を起業しているような感じです。終われば、また次の企画に移ります。しかし1回ごとにクルクル変えていくのは、それでいいのかなと思いますよね。キャスティングでは、継続させられるもの、長く一緒にやれる人はいないかという気持ちも持ちながら進めていきます」

松橋真三 1994年日本衛星放送(現WOWOW)入社。2000年公開の「バトル・ロワイアル」に協力プロデューサーとして参画。05年に独立。「るろうに剣心」「銀魂」など漫画作品の実写化を数多くヒットさせる。19年の「キングダム」は興行収入57億円超の興行収入を記録した。クレデウス社長。

松橋真三 1994年日本衛星放送(現WOWOW)入社。2000年公開の「バトル・ロワイアル」に協力プロデューサーとして参画。05年に独立。「るろうに剣心」「銀魂」など漫画作品の実写化を数多くヒットさせる。19年の「キングダム」は興行収入57億円超の興行収入を記録した。クレデウス社長。

松橋「これは、という新人はまずトライ期間として1作、次回作ではキャリアをステップアップできる役を振り当てます。常に次の配役も想定しながらキャスティングしています」

松橋がブレーク前から起用してきた若手俳優は少なくない。その一人に、2021年のNHK大河ドラマで主役の渋沢栄一を演じる吉沢亮がいる。マンガ原作のコメディー映画などで経験を積ませた。それでも「キングダム」で準主役に抜てきした時点では、数多いイケメン俳優の一人にすぎなかった。松橋は「吉沢しかいない」と若き秦の始皇帝役に押し込んだ。今や若手スター男優の旗頭だ。

松橋「どんどん成長していって、やがて主役を張り、将来こちらもチャンスをもらう。大物スターをいっぱいそろえて『お願いします』と頭を下げるだけではプロデューサーは務まらない」

北島「キャスティングで考えるのは組み合わせの妙。人気俳優を集めれば必ず成功するわけではありません。メディアやネットの情報があふれる中で、既視感のある組み合わせでは、どんな展開になるか、ファンは簡単に想像できてしまう。『新解釈・三國志』では大泉洋さんとムロツヨシさんの組み合わせが大きなポイントです。コメディアンとして現在1位、2位を争う人気者ですが、共演するのは初めて。今回は2プラスアルファの効果を期待しました」

それでも映画のヒットには人気俳優は欠かせないように思える。

北島「人気モノは必要ですが、俳優だけとは限りません。人気原作、有名監督……どこを映画のフックにするか、最後はバランスだと思っています。次のスターをつくっていかなければならない」

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