DXの本質をつかむ

ビジネスの新潮流となったデジタルトランスフォーメーション(DX)について理解するのに役立つのが須藤憲司著『90日で成果をだすDX入門』参考記事 DXでつまずかない戦略 ウェブ事業改善のプロが指南)です。DXにはいろんな捉え方がありますが、本書は「デジタルを活用して、圧倒的かつ優れた顧客体験を提供し、事業を成長させること」と定義します。業務効率化やプロセス改善に役立てる程度ならば、それは「デジタル化」に過ぎません。より稼げるようになることこそがDXの原理原則なのです。

キーワードは「つながり」です。デジタルを使っていろんなものをつなげていくと、新しいビジネスモデルが見えてきます。テーマの一つは、組織の壁を壊すことです。ただし、最初から「DXで組織全体を改革します」といっても難しい。まずはスモールスタート。自分の部署の中で壁をなくすチャレンジからはじめます。ここでは「90日」と期限を区切っていますが、当然、DXは短期間では達成できません。まずは目先の成果を出すことや、小さな成功体験を積み重ねることが重要になります。

本書の刊行は2020年3月でした。その後、著者の須藤氏はウエブで「#DX白書2021」を公開しています。白書には様々なデータを紹介しています。例えば、コロナによる死者は日本では少ないですが、「経済的な犠牲者」は外国に比べ数が多くなってしまいます。公的な休業補償やセーフティネットが不十分なことが一因でしょう。また、コロナに対応した新しいビジネスモデルに打って出る事業者が少ないことも影響しているようです。

成功したいなら20代は「群れるな」

土井英司著『20代で人生の年収は9割決まる。』は、リスクを恐れず、新しいことにチャレンジしていく姿勢を教えてくれます。(参考記事 生涯年収を決める20代の仕事 資格より役立つものは)。タイトルに20代とありますが、30代、40代でも読みごたえがあります。それぞれの年齢でやっておくべき事柄があります。より高く飛躍するためにどうしたらよいか、を戦略的にわかりやすくまとめたのがこの本です。

土井氏は、チャレンジし続けるビジネスパーソンのロールモデルといえる人物です。慶応義塾大学総合政策学部を卒業して、新卒でゲーム会社に就職。その後、編集者・取材記者・ライターを経て、「Amazon.co.jp」の立ち上げに参画しました。「カリスマ・ブック・バイヤー」として名をはせ、27歳で同社の社長賞にあたる「Company Award」を受賞しています。

2004年には独立してエリエス・ブック・コンサルティングを設立。『人生がときめく片づけの魔法』の近藤麻理恵氏をはじめ、多くの著者の出版プロデュースに携わっています。自らも作家として、10万部を突破した『「伝説の社員」になれ!』などベストセラーを執筆。1年間に1000冊以上のビジネス書を読む「ビジネス書のプロ」としても知られ、日刊の書評メールマガジン『ビジネスブックマラソン』編集長としても活躍しています。

本人の実践が裏付けになっているだけに説得力は抜群です。「人と同じ事をやっていても仕方がない」と断言し、自分なりのゴールを目指すなら、リスクを負うべきだと檄(げき)を飛ばします。そして「20代に友だちはいらない」と言い切ります。端的に言うと「群れるな」です。

経済コラムニストの大江英樹氏が著した『知らないと損する 経済とおかねの超基本1年生』は、特に新社会人や就活学生にお薦めします(参考記事 知らないと損する コロナ時代に役立つ経済の基本知識)。人生で大きな損をせずに済ませるために、本書を通じて「経済から考える」という習慣を身に付けてください。コロコロと変わる社会環境に、小手先に頼りたくなるかもしれませんが、基本が大切です。コロナを経験した私たちは、次に同様のことが起きたら、どうやって自分の身を守ればいいのでしょうか――。若いうちからの投資も含めて、今あるお金をどう生かすかしっかり学びましょう。

教養書として、まとまった時間のある時に熟読していただきたいのが武藤泰明著『マネジメントの文明史』参考記事 ピラミッドからアマゾンまで 歴史で学ぶ経営の仕組み)です。ピラミッド建設の時代までさかのぼり、マネジメントの進化をたどった経営論の入門書です。もう一度、ビジネスモデルや組織のあり方について考えたいときには、こういう時代を振り返る一冊がヒントを与えてくれます。

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