「変化」への免疫力をつけようとする意識が高まる

一方、働く人たちの意識や価値観も大きく変わっています。20年、特によく聞こえてきた声は次のようなものです。

「“安定”なんて、もうどこにもないですよね」

「変化に対応できる自分になっておかなければいけませんよね」

何年も前から、名だたる大手企業が「終身雇用を維持できない」と宣言したり、業績好調な中でも早期退職制度を推進したり。直近では「ジョブ型雇用」を打ち出したりする中で、「大手企業に勤務していても安定は望めない」という意識が広がってきていました。

そこへもってコロナ禍がダメ押し。働き方においても生活においても急激なパラダイムシフトが起き、いよいよ「変化対応力」の重要性が身にしみた人が多いようです。「変化に対する免疫力をつけなければ」と。

一昔前、大手企業で10年以上も経験を積んだ人であれば、「私のキャリアならどこにでも転職できるだろう」と自信にあふれていました。今は違います。「30代になって1社しか経験がないなんてヤバくないですか。こんな私でも転職できるでしょうか」。こういった不安を漏らす人が増えているのです。

そんな思いから転職に踏み切る人もいます。今の会社を辞めたくない事情がある人は「副業(複業)」へと向かっています。副収入を得ることを主目的とせず、「新しい経験・スキルを得たい」という目的で異業種を副業先に選ぶ人が多くみられます。

コロナ禍でリモートワークが定着したことで、より副業(複業)に取り組みやすい環境となりました。21年も、副業(複業)というスタイルで新たなチャレンジをする人が増えることでしょう。

「リモートワーク」を条件に転職先を検討する人が増加

「リモートワーク中心で働きたい。それが可能なら、どの地域にある会社でもかまいません」。転職の相談を受けていると、そんな声も増えてきました。

つい先日、ファイナンスのプロフェッショナルの人と話しました。非常に優秀で、最高財務責任者(CFO)として引く手あまたとなるであろうその人は大阪在住。大阪に住み続けることを希望し、「リモートワーク主体であれば、東京の企業でも、その他どの地域の企業でもいい」と、全国の求人を対象に検討することになりました。

コロナ禍を機に始めたリモートワークの生活スタイルにメリットを感じた人は多く、転職先として「リモートワークOK」の会社を希望するケースが増えています。

優秀な人ほどセルフマネジメント力が高いので、リモートワークのほうが生産性が高まり、かつゆとりを持って暮らせる、新たな勉強をするための時間も確保できると、その魅力に気付いたというわけです。

今後は、リモートワークと出社を適切に組み合わせ、ハイブリッドな勤務体系を確立した企業に優秀な人材が集まるようになると思われます。企業は人材獲得のためにも、リモートワークを取り入れた新しい働き方を開発していく必要性がより強まったのではないでしょうか。働く人にとっては、働き方も住む場所も、さらに選択肢が広がっていくと思います。

この年末年始、皆さんもこの先のキャリアをどう築いていきたいのか、どんな場所でどんなライフスタイルを実現したいのか、じっくり考えてみてはいかがでしょうか。家族と相談するにも、いいタイミングだと思います。そして頭の中でイメージするだけでなく、ぜひアクションプランにまで落とし込んでみることをお勧めします。

※「次世代リーダーの転職学」は金曜掲載です。この連載は3人が交代で執筆します。

森本千賀子
morich代表取締役兼All Rounder Agent。リクルートグループで25年近くにわたりエグゼクティブ層中心の転職エージェントとして活躍。2012年、NHK「プロフェッショナル~仕事の流儀~」に出演。最新刊『マンガでわかる 成功する転職』(池田書店)、『トップコンサルタントが教える 無敵の転職』(新星出版社)ほか、著書多数。

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