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国際観光客は増える? コロナ禍で受け入れる国の事情

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ナショナルジオグラフィック日本版

米国やフランス、ドイツで新型コロナウイルス感染症が猛威を振るっている。感染拡大を抑えるために再びロックダウン(都市封鎖)に入る国もある一方で、ウイルスがまん延している国からの観光客を受け入れ始めている場所がある。なぜなのだろう?

米国のレストランやバーが、経済的理由で飲食の提供再開を余儀なくされているのと同様に、エジプトやコスタリカなど観光収入をあてにしている国では、国境を閉ざしたままでは経済そのものが立ち行かないのだ。

こうした国では、国民の生命を守りながら、いかに外貨を獲得するかという難しい問題に、人々が頭を抱えている。現在、リスクと利益のバランスを取りながら、外国人観光客の受け入れを再開した人気の観光地をいくつか挙げてみよう。

観光に依存する経済

世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)によると、観光産業は2019年に3億3000万もの人を雇用していた。これは、全就業者の約10人に1人が、この業界で働いていた計算になる。ところが、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)によりそのうち約1億2100万人の職が失われると、WTTCは推測している。国内総生産(GDP)の14%近くを観光業が占めるカリブ海諸国などでは、新型コロナによる国境封鎖で、とりわけ深刻な痛みを経験している。米コーネル大学ホテル経営学部教授のスティーブ・カーベル氏によると、カリブ海地域のほとんどの国では、外国人観光客の80~90%が北米からの旅行者だという。

国境を開放することによる経済的効果は明らかだが、各国がどのような考えに基づいて再開に踏み切ったのかまでははっきりしない。「決定は政府の裁量に委ねられています」と話すのは、米国のツアー会社スコット・ダンUSAの社長ジョン・スペンス氏だ。「科学的アドバイスに基づいていると思いたいですが、国内の観光業界から相当の圧力がかかっているはずです」

新型コロナ関連の規制やリスクに関する最新情報を得ることは、旅行会社にとって不可欠な重要業務だ――こう考えたスペンス氏は、情報収集専門の正社員を雇った。旅行プランの旅先に選定すべき国かどうかを判断するために、米国務省からの最新情報や、現地の米大使館ウェブサイト、英国政府による渡航情報、WTTC、その他の情報源を常に確認している。

国境を閉鎖しなかった国々

経済に占める観光産業の割合が著しく高い国には、コロナ下にあって一度も国境を閉鎖していない国もある。その1つがメキシコだ。メキシコでは、陸路での国境越えを一部制限してはいるものの、基本的に米国からの入国に制限を設けていない。また、入国時に詳しい検疫もなく、到着時に検温を求められるくらいだ。在メキシコ米国大使館は、ソーシャルディスタンス(社会的距離)や手指消毒など基本的な情報をウェブサイトに掲載する以外は特に対応策を取っていない。

外国からの観光客がメキシコ国内に落とすお金は、19年で250億ドル(日本円換算で2兆6000億円)近い。最大の割合を占める観光客が、米国からの旅行客だ。メキシコのGDPに占める観光業の割合は実に15%を超える。

メキシコ商工会議所の観光担当副会頭であるロベルト・ザパタ氏は最近、記者団に対して、20年3月以来、同国の観光業は1日当たり1億8000万ドル(約190億円)を失っていると語った。また、観光部門における20年の収益は、多く見積もっても19年の収益の45%にしか達しないだろうと予測している。

アフリカのタンザニアも、渡航制限をほとんど設けていない。タンザニアでは、パンデミック前に観光収入が年間25億ドル近く(約2600億円)あった。20年6月、ジョン・マグフリ大統領は、事実に反して国内のコロナウイルスは消滅したと宣言。その後は、新規感染者数の報告もやめてしまった。大統領は、奇跡的なウイルスの消滅は、祈りとハーブティーのおかげであると主張し、外国人旅行客にタンザニアへ訪れるよう今も積極的に呼び掛ける。だが、在タンザニア米国大使館は、同国の医療施設には患者があふれかえっており、依然として感染リスクは高いと警告している。

スペンス氏は「東アフリカならケニアの方が安全だ」と考えている。「ケニアは、国境をいつ開くか、またどのような条件で外国からの来訪者を受け入れるかを慎重に検討してきました」。ケニアでは、約200万人が観光業に従事し、国外からのフライトを4カ月近く禁止していたが、20年8月1日から再開している。

コスタリカの慎重なアプローチ

ケニアよりも、さらに慎重なアプローチを取り、大々的な安全対策を導入して再開した国がコスタリカだ。コスタリカでは、年間で40億ドル(約4160億円)あった観光収入が、今年は減少して70%ほどになるとみられている。

コスタリカの観光大臣を務めるグスタボ・J・セグラ氏は、「数十万もの人が仕事を失ってしまいました」と発言。事実、観光業に直接または間接的に関連する60万人の職が失われた。観光業はコスタリカのGDPの8%以上を占め、例年約300万人の外国人観光客が訪れる。その半分近くが米国人だ。だから「一日も早く米国の観光客がコスタリカに戻ってきて、以前と同じようにお金を使ってほしい」と関係者がこぞって切望するのはもっともなことだ。

旅行客にも国民にも安全な形になるよう、観光客の受け入れ再開を政府は慎重に進めた。20年7月に、まず国内の観光を再開、8月初めには人数を制限してヨーロッパからの観光客の入国を許可した。ビーチは毎日午後2時半に閉められ、ガイド付きツアーも、家族連れなど一緒に旅行する少人数のグループに制限した。

こうした努力もあってか、「今のところコスタリカへウイルスを持ち込んだ観光客も、滞在中にウイルスに感染した観光客もいない」(セグラ氏)。なお、20年9月からは、米国の一部地域からも受け入れを再開している。

コストと利益をてんびんに

カリブ海の島々も、少しずつ米国からの観光客を受け入れ始めている。観光業がGDPの50%以上を占める米領バージン諸島などが、先陣を切って6月に受け入れを再開し、その後セントルシア、タークス・カイコス諸島、ドミニカ共和国、そしてもっと最近ではグレナダも後に続いた。

19年、カリブ海諸国を訪れた観光客の総数は3150万人で、400億ドル(約4兆1600億円)以上の収入をもたらした。今年は、この観光収入が50%以上減るとみられている。

グレナダは、20年10月上旬に米国からの観光客受け入れを再開したが、その前に政府は、カリブ海観光協会や公衆衛生局と緊密に連携し、感染対策の様々な措置を講じた。グレナダの新型コロナ感染者数は、41人にとどまっている。

非居住者は、入国前7日以内にPCR検査で陰性の判定が出ないと入国できない。入国後は、滞在先のリゾート地またはホテルで4日間自己隔離し、その後再び検査を受ける。2回目の検査が陰性であれば、国内の他の場所を観光できる。

国境を再開する前にどれだけ慎重に対策を講じても、アウトブレイク(集団感染)を防ぐのは難しい。「いくら予防策を取ったとしても、ウイルスは入ってきてしまうでしょう。旅行者が持ち込んでしまうものなのです」と語るのは、米ノースカロライナ大学の疫学者ナバルン・ダスグプタ氏だ。「問題は、そうなったときにどう対応するかです」

グレナダでは、そのために広範囲な接触者追跡ができるよう態勢を整えている。また、2000人以上の観光業従事者を対象に感染対策の訓練を行った。コスタリカは、高い評価を受けている公的医療体制を武器にする。例えば、国中どこに行っても予約なしに受診できる診療所がある。「観光業にとってはこれが非常に重要です。我が国では、どんな田舎でも免許を持った医師にかかることができます」。また、新型コロナ関連の入院や隔離を補償する旅行者保険への加入を義務付けている。

外国人観光客の受け入れ再開を成功させるには、感染拡大の防止と封じ込めが重要なカギだ。「旅行先の国が自分の安全に配慮してくれていると感じられなければ、人は旅行には行かないでしょう」と、カーベル氏。「それなりの安全性を提供する国に、市場は報いてくれるはずです」

次ページでは、いつかは訪れたいカリブ海の絶景をお届けする。1日も早く、また旅に出かけられる日が来ることを祈りたい。

(文 BRUCE WALLIN、訳 ルーバー荒井ハンナ、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック 2020年12月2日付の記事を再構成]

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