今年は8Kテレビに手が届く ソニー「立体映像」に驚き

2020年は新型コロナウイルスの感染拡大による影響を音楽・映像(AV)機器業界も受けたが、同時に巣ごもり需要によって新たなニーズも生まれた。21年はどのような動きが予測されるのか。平成生まれのライターが、昭和世代のオーディオ・ビジュアル評論家に聞いた。

東京五輪が8K普及のカギに

小沼理(28歳のライター) あけましておめでとうございます。昨年はAV業界が新型コロナウイルスの影響を受けた1年でした。

小原由夫(56歳のオーディオ・ビジュアル評論家) そうですね。今年こそ収束に向かってくれるといいのですが。

小沼 一方、「巣ごもり需要」が大型テレビの需要を後押しするなど、新たなニーズもありました(記事『あなたは何を買った? 20年の新作AV機器をチェック』)。小原さんから見て、21年にはどんな機器がヒットしそうですか?

小原 ヒットを大きく左右するのは東京五輪でしょう。多くのテレビメーカーはここ数年、五輪に向けて大型・高画質テレビを打ち出していましたから、開催できるかどうかで需要は大きく左右されるのではないでしょうか。

小沼 昨年は各メーカーから8Kテレビが続々と登場しましたが、8Kの普及についてはいかがでしょうか?

小原 国内ではなかなか8Kコンテンツが増えない現状があります。8K放送はNHKのBS8Kのみで、民放にまで普及していません。そのNHKも「BS8Kについて、東京五輪後にあり方を検討する」と発表しています。

小沼 コンテンツが増えないと買いたいと思う人も増えませんよね。その意味では、東京五輪が開催されて8K中継が注目されるかどうかは、8Kの今後を占う一つの決め手になるかもしれません。

小原 1月にLGエレクトロニクス・ジャパン(東京・中央)が55インチの8K液晶テレビ「55NANO95JNA」を発売します。55インチは8Kテレビとしては現時点では最小で、価格も27万円前後と比較的安価です。製品自体はどんどん手が届きやすくなっています。配信ではYouTubeが8K映像に対応していて、見ると圧巻です。

LGの8K液晶テレビ「55NANO95JNA」。8Kテレビで55インチはこれまでのラインアップの中では最小で、さらに手軽になった

5Gで変わるハイレゾストリーミング

小沼 昨年、国内で高速通信規格「5G」のサービスが始まりました。21年はさらに活用が進むことが予想されますが、AV業界にはどんな影響がありますか?

小原 5Gで8Kも変わる可能性がありそうです。コンサートやスポーツといったエンタメ映像を、5Gを利用して8K映像でライブ配信する試みはすでに行われていますし、連動して普及していくかもしれません。

小沼 昨年の5Gはまだ実験的な要素が強かったですけど、今年はさらに浸透していくかもしれませんね。オーディオの面でも5Gは影響があるのでしょうか?

小原 高音質の音楽を配信するハイレゾストリーミングサービスがさらに普及するでしょう。ハイレゾ音源のファイルサイズは1曲あたり150~300メガバイト(MB)ほど。これをストリーミングで聞こうとすると4G回線では時間がかかってしまいますし、プレーヤーにダウンロードしようにもファイルサイズが大きいので曲数を入れられません。5Gによりこれまでは時間がかかっていた高音質大容量の音楽ファイルを短時間でストリーミングできるようになることで、オーディオにも変化があると思います。

小沼 ハイレゾストリーミングサービスは現時点では「Amazon Music HD」や「mora qualitas(モーラ クオリタス)」などがありますが、新たなサービスも増えていきそうですね。他にもオーディオ機器に変化が起きそうです。

小原 21年のうちにどこまで進展するかはまだわかりませんが、ハイレゾ対応のスマートフォンや音楽プレーヤー、ワイヤレスイヤホンなどは今後確実に増えていくと思います。

2019年にサービス開始した「Amazon Music HD」。HD(High Definition)音質で7000万曲以上、HDを上回る高音質のUHD(Ultra High Definition)では500万曲を聴くことができる
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